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GoogleのKeyhole買収に見るシリコンバレーの栄枯盛衰

2004/10/29 09:59
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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GoogleがKeyholeを買収した。買収価格は非公開。

Keyholeは知る人ぞ知る、まぁそこそこ有名なシリコンバレーのベンチャーである。
新Googleキャンパスから目と鼻の先の距離に、Keyholeの小さなオフィスがある。

地図ベンチャーを買収したGoogle

Sun Jose Mercury News「Google acquires mapping start-up」を読んでみよう。

「Google has made another leap in its quest to organize the world's information, buying a Mountain View start-up whose specialty is 3-D interactive maps of most of the globe.」

「Google's acquisition of Keyhole, a private company about 3 years old, gives it access to tens of thousands of satellite and aerial maps. Google would not discuss its plans for Keyhole, nor any terms of the deal.」

Keyholeは、地球地図ベンチャーとでも言おうか。人工衛星や航空機から撮影した画像と、その意味情報をあわせたデータベースを持って、それをもとにサービス事業を構築しようとしていた。

「Keyhole says it has the world's largest commercial online database of three-dimensional imagery. Stitching together images from satellite and aerial photography, the company covers more than 80 major metropolitan areas and thousands of smaller cities. Its database also includes elevation data, street name information and business listings.」

しかし、Keyhole自身によるこの情報のスタンドアローンの事業化(いまはビジネス分野に集中)よりも、Googleの一部になったほうが長期的により大きな可能性が拓ける。そういう両者の判断であったのだろう。

この記事では、この買収を、Googleの「world's informationを組織化する」というビジョンへの要素の1つと位置づける。

「Henke said the images are from 6 months to 2 years old and not detailed enough to identify people.」

当然、リアルタイムの画像ではなく、常に、最近6カ月から18カ月の間に撮影された画像にアップデートする。つまりそういう程度の時間軸で不変の建物や構造や地形といったものが、このデータベースの対象物である。写真には車や人の影なんかが写っている場合もあるのだが、そういうものはあんまり意味がない。

Wall Street Journal「Google Acquires Keyhole」(要有料登録)では、

「The three-year-old company made a name for itself during the war in Iraq when news outlets, including CNN, used its maps to "fly" over the Iraqi landscape and cities to show viewers where battles were being fought.」

イラクでの戦争報道のときに、CNNでも使われた技術であることを特記している。

Keyholeの起源はSGI

記事には詳しく書かれていないけれど、Keyholeの技術は、もともとはSilicon Graphics(SGI)の技術である。SGIが、自らのグラフィックス性能をアピールするために、このアプリケーションをずいぶん前からよく動かしていた。

元日本SGI社長の関本晃靖氏のシリコンスタジオ・サイトでこんな解説がある。

「彼らが開発したアースビューワは、全地球規模の衛星画像、航空写真、地図、標高といった6テラバイトにも及ぶ空間情報(Geospaital Information)とpoints of interest (POI) データ(ユーザカスタマイズで設定したレイヤー情報)を融合させて、ユーザクライアント側に高速ストリーミング配信する。

それはクライアントのPC側で、地球をナビゲーションするかのように検索でき、リアルタイムに3Dグラフィックスを表示するといった、ブロードバンド向けの、「ストリーミング・デジタルアース」サーバ・クライアントソリューションである。

ストリーミング配信される地形の3Dグラフィック表示は、ビデオゲームと同じく60フレーム/秒で、ユーザのマウス操作に合わせて3D化された空撮写真を15センチ/ピクセルの微細描写で表示する。渋谷のハチ公前ならば、信号を渡っている人の影まで再現してしまうほどのハイスペック・クオリティだ。

レイヤーに組み込みこまれた情報は、例えば、道路名、駅名やレストラン、各カテゴリできる所名などがあり、地球上のどこにいてもワンクリックで自分がその地域で必要としている情報を表示することができる。

日本レストランを検索すれば、モニターに描写された地域にある日本食レストランのアイコンとレストラン名が表示され、興味のあるレストランのアイコンをクリックすると、アクセス住所と電話番号、Webリンクといったイエローページ並の情報が取得できる。情報が豊富な地域は、ハイスペックな3Dで細かな部分まで描写される。」

「ここには、コンピュータグラフィックやインターネット業界のエキスパートを含め、(元)米SGIのスタッフ20名ほどが在籍している。実は彼らは、Keyhole社を設立する前はIntrinsic Graphics Inc におり(この会社も米SGIからスピンアウトして設立した。よってKeyholeはSGIオリエンテッドである)、この開発会社の3Dリアルタイムアプリケーション用統合開発環境、Intrinsic Alchemyのパフォーマンスを示すために開発した技術を商業ベースとして確立させるために、スピンアウトした所以である。」

ところで、最近Googleが引っ越した新キャンパスは、SGI所有のビル群である。SGIが絶頂期に建てたビル群で、SGI経営不振後はその資産が重荷になり続けている。新興勢力のGoogleがそこに入ったのは、シリコンバレーの栄枯盛衰を語る上で、この地ではいつも話題になる。

Keyholeを設立した元SGIのスタッフたちは、このたびの買収で、目と鼻の先にある古巣のキャンパスに凱旋する。奇縁である。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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