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eBayはもういらない?

2004/10/14 09:31
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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一昨日から急に本欄へのアクセスが増えておかしいなと思ってアクセスログを調べてみたら、「電車男」出版に関連するヤフーのニュースから本欄6月3日「「電車男」に見る2ch文学の可能性」にリンクが張られていたためであった。もともとこの「2ch文学」という言葉は、伝播投資貨幣(Picsy)を提唱する鈴木健さんが発した言葉だったことは、このときにも書いた。このエントリーへのアクセスが増えれば、その中でリンクを張った先のアクセスも増える。ということで、その鈴木さんのサイトにもアクセスが急激に増えたそうです。それがきっかけで「2ch文学の命名者として、2ch文学と2ch発文学の違いを語ろう」という文章が彼のサイトに書かれていました。ご参考まで。

さて本題に入ろう。

次のeBayの可能性

「ちょっとした自分の経験を披露して、それを拠り所にいきなり、かなり大きなことを語る」というスタイルをBlogではよく見かけるが、成功しているケースは少ない。例外的に面白かったのは、eBayについて書かれた「The Sofa From Hell, or, Envisioning a Post-eBay Future」というエントリーである。書いたのはインターネットスタートアップ創業者のBrian。こういう経歴の人だ。彼自身一時eBayに居たこともあるようだ。「founding Director of eBay Design Labs」だったそうである。先週開催されたWeb 2.0というカンファレンスで、eBayのLouis Monierの発言を聞き、態度を見て、

「At one point John Battelle asked him a question along the lines of, does eBay foresee a threat from the local search services Yahoo and Google are building? At some point you could find goods locally through those search services, and not touch eBay at all. Is eBay worried?

Louis surprised me with his answer. No problem, he basically indicated, after all, we're eBay. It was a we're-the-8000-pound-gorilla, we're-a-global-monopoly, who-could-possibly-be-a-threat-to-us kind of answer.

I think it's time for eBay to consider that the long-awaited two-guys-in-a-garage "next eBay" may be here sooner than they care to think.」

とBrianは書いている。

パネルディスカッションの司会者は、「eBayはYahoo!やGoogleが構築中のサーチサービスに脅威を感じるか? いつの日にかサーチサービスを通してローカルに欲しいものが見つかるようになってしまうのではないか?」という質問をLouisにしたらしい。それに対するLouisの「そんな脅威は歯牙にもかけていない」という感じの反応を見てBrianは驚き、eBayだってそろそろ「ガレージから生まれるnext eBay」について真剣に考えるときなんじゃないのか、彼らの予想よりもうんと早く「next eBay」が登場するんじゃないのか、と書いている。

これがBrianが語る「かなり大きいこと」の問題提起だ。ここから話題が転換し、「ちょっとした自分の経験の披露」になる。

eBayで売れなかったソファがCraigslistで売れた

彼が90年代に買ったソファが新しい家に合わないので、さて売りたいと思って、eBayで売ろうと頑張ったんだけれど、ぜんぜん売れなかった。ちなみに彼が売ろうとしたソファは「this very expensive ultra-contemporary Roche-Bobois sofa」。Roche-Boboisは欧州からの輸入家具(モダンなイタリア家具が多い)を扱う店(ヨーロッパの家具チェーン店)。そこで買ったものすごく高いイタリア製のソファだと思う。

「We tried listing it on eBay. Took tons of nice digital color photos. Wrote a nice long description. Not a single bid. Re-listed it. No bids. 」

eBayでは、たった1つのbidもなかった。
にもかかわらず、Craigslistに載せたら2日で売れてしまった。

「So we posted it, along with all the nice photos, on craigslist. It sold in a couple days, to a nice retired couple.」

と言うのが彼の「ちょっとした自分の経験の披露」だ。

Craigslistは本欄でも先月詳しくご紹介したが、サンフランシスコ、シリコンバレー地区ローカルの生活情報満載のコミュニティ・サイトである。

RSSとローカルコミュニティがeBayの脅威に

そしてBrianはまた「大きな話」に戻ってくる。

「One of eBay's main selling points for years has been: trust and safety. You're gonna be fine if you buy or sell on eBay, even if the other person in the transaction is a total stranger halfway across the world. And that is true. Most of the time, things are fine. Fraud happens occasionally, but the vast majority of the time, even big transactions like computer and car sales go smoothy.

But now think 2005. Why might we need eBay less and less? 」

eBayはこの10年、「信頼と安全」をセールスポイントに会社を成長させてきた。それは正しい戦略だった。でもeBayの創業から10年が経過した2005年には、eBayを我々が必要とする程度は低くなっていくのではないか、と彼は言う。

第1の理由は、Craigslistのようなローカルなコミュニティの存在に、RSSのような新技術を組み合わせたような新しい代替案の台頭の可能性である。

「Consider craigslist with RSS, or, better yet, a notification service tied to RSS or email. "Notify me when a sofa with the following attributes and in the following price range and in the following general geographical area goes on sale." And maybe hours or days or weeks or months later, you get that notification, and your dream sofa is for sale, by someone you don't know, but who lives nearby.」

そして第2の理由は、ブロードバンド、インターネットの普及によって、ローカルな地域内でのネットサービス参加者密度が増えてスレッシュホールドを越えたことである。

「There's a much better chance in 2005 that a whole lot of people who live in your own neighborhood or general vicinity will have stuff you want, and you certainly will have stuff they want, and both of you will have ways to find out about each others' haves and wants. Does eBay's trust and safety cushion still offer as much value in such a world?」

そういうローカルなコミュニティでかなり自由に物々交換ができる世界になると、eBayが提供してきた全米・不特定多数を対象とした「信頼と安全」というのは同じだけ意味を持つのだろうか、と言うのである。このあたりは、大都市型市場ではなく田舎点在型市場であるアメリカに特有の議論と言えなくもない。

「If it turns out a neighbor around the corner wants to buy your sofa, would eBay need to be involved in the transaction? If the market shifts locally because there are now enough people nearby to buy stuff you want to sell, or sell you stuff you've been thinking of buying, who needs eBay? Why not just use a "smart craigslist" system instead?」

近所でソファを買いたい人が見つかるのであれば、eBayの関与は不要で、「smart craigslist」があればいいと、Brianは書く。

ここで、eBayがCraigslistに資本参加したことを思い出してほしい。eBayはCraigslistについて、たとえば「Vice President of eBay's User Experience & Design (UED)」のインタビュー記事で、「What about the Craigslist investment?」という質問に対して、

「We're not going to be changing much in the way Craig runs his company. But it's fascinating. In the area of classifieds, we're looking forward to getting more insights into how it works, how users use it, how it compares to eBay, and seeing if there's an opportunity for eBay there.」

と答えている。eBayにとってCraigslistはある意味でDisruptive competitorとも言えるのかもしれないが、そういう存在に対してminority investmentをすることで自らの脅威について学ぶというのは、この世界の企業戦略の常識のひとつになりつつある。

余談だが、このインタビュー記事は、ウェブサイトの「User Experience & Design」に興味のある人にはぜひお薦めの面白い内容だ。

最後にbrianは、

「And maybe the question should also be, do we even need craigslist in such a world? What happens if you can just post lists on your blog of things you want to sell and things you want to buy, and hang them out there in RSS feeds waiting to be scooped up by Technorati-style bots, who in turn notify people who live within driving (maybe even walking) distance of you? If they can come over, inspect the thing you wanna sell, and then fork over real hard cash, carry the thing out to their car, load it up, and drive away, who needs $50 billion intermediaries anymore?」

は「次の疑問としては必然的にそういう世界になると、craigslistすらいらなくなってしまうのかなぁ」と自問する。

RSS Feedをはじめとする技術による完全分散化の流れの可能性をここまで評価し、Craigslist的ローカルコミュニティの存在まで不要になるかもしれないというのはちょっと行き過ぎだろうけれど、全体に、なかなか面白い視点を提供しているBlogだと思った。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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