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CNET Japan ブログ

なんだかんだ言って気になって仕方ないAppleの動向

2004/09/02 09:50
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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8月26日(木)〜9月3日(金)までの間、梅田望夫さんの代わりに村山尚武さんがゲストブロガーとして登板します。村山さんはシリコンバレーのあるベンチャー企業でBusiness DevelopmentのDirectorを務められており、ご自身でも「Sotto Voce」というBlogを運営されています。村山さんの経歴についてはこちらをご覧下さい。

ここ2回ほど濃い目の話が続いたが、今日はまたApple関連の話題を取り上げたい。

まずは火曜日にパリのApple Expoで発表のあったG5プロセッサ搭載の新型iMacの話題から。

iPod人気にあやかりたいiMac

この新iMac、あちこちのウェブサイト、ブログで「宅配ピザの箱」という表現をされているが、大多数の予想通りのフラットな一体型となった。Appleとしてはどうも今や同社のブランドを引っ張る存在となった感のあるiPodとの類似性を売り物にしたいらしい。Appleのホームページに行ってまず目に入る写真では、iMacとiPodが真横から、その鋭角の立ち姿を見せている。おまけにコピーは「From the creators of iPod. The new iMac G5.」である。CNET News.comのこちらの記事では、iPodが現在の牽引役であるとした上で、

「"I think what Apple is recognizing is that at least right now, the iPod is going to drive its brand, and they want to take advantage of that," said Steve Baker, an analyst at The NPD Group. "Why does this look like the iPod? Because it's clearly positioned as the consumer PC for people who own iPods but don't own an Apple desktop."」

上のコメントでは「iPodを持っているが、パソコンはApple製のもの以外を使っている一般ユーザー向けの製品であるのは明白だ」と断言までしている。

話をデザインに戻せば、Cult of Mac(マック教)ブログでは、このデザインはApple Confidential 2.0を引用し、AppleのヘッドデザイナーJonathan Ive氏が2000年に考案したもので、元々前のモデル(「卓上ランプ」型)に用いようとしていたものだと言う。

「Ive initially conceived of an upright flat-panel iMac with processor and drives mounted vertically behind the display.」

これはまさに今回のモデルそのままであるが、この時点では「エキサイティングなもの、(機能性よりも)デザインの純粋さ」を求めていたJobsのビジョンとは合致しなかったようである。この時のJobs曰く、

「Jobs told Ive, 'Each element has to be true to itself. Why have a flat display if you're going to glom all this stuff on it's back? Why stand a computer on its side when it really wants to be horizontal and on the ground? Let each element be what it is, be true to itself.' 」

上記は「PCの構成要素はその機能を純粋に追求しなければならない。フラットパネルディスプレイを使うのなら、なぜその背後にごてごてとPC本体を搭載しなければならないんだ?本体は地面に横たわっているべきものなのに、なぜ立たせなければいけないんだ?各部品の自然な姿を生かそうよ」と訳すのだろうが、このあとのJobsの発言がふるっている。

「Pointing to the beautiful flora that surrounded him, Jobs suggested the new iMac 'should look like a sunflower.'」

咲き乱れる花を指しながら、「新型iMacは、ヒマワリのようであるべきだ」である。舞台がお花畑だけに、上記の「純粋さ云々」という発言が少し電波の入ったよう、あるいはヒッピー的な発言に聞こえてしまうが、なるほど前のモデル、ヒマワリの花のようである。一言でプロのデザイナーの考えた事をひっくり返すのだからジョブズのカリスマ性(独裁者性?)恐るべし。

ただこの記事では最後に、

「In the harsh light of lackluster sales, Jobs obviously changed his mind.」

「結局売れ行きが芳しくないのでジョブズも気を変えたようだ」としているので、カリスマ性でものが売れるわけでもない、ということか。

この新デザインが売れるかどうかはともかく、「これはG5搭載のPowerBookへの第一歩だ」と書かれたが、G5の放出する熱量を考えると、どうもラップトップ化は困難なようだ。AppleファンによるYourTechBlogのエントリでは「もうじきPowerBookが出るに違いない!」と興奮した様子で書いた後に、”Er, or maybe not.”(「あ、違うみたい」)という発言を追加していた。

新型iMacは買いか?

と、かようにあちこちで熱く語られた新型iMacであるが、私のツボに最もはまったのはScobleによる以下の発言である。

「Personally, why get this when you can actually get a Tablet PC that you can take off your desk and walk around with? (中略)Particularly in schools where you need students to actually take notes with a pen rather than with just a keyboard.」

「個人的意見だが、これを買うぐらいなら実際に持ち運んで使えるタブレットPCを買った方が良いのにな、と思う。(中略)特に学校などでは、ペンでノートが取れる方がよほど便利じゃないか。」

さすがMicrosoftのエバンジェリスト(伝道師)、という発言であるし、本体の一体化はしていてもキーボードとマウスは外付けになってしまうこのデザインに「使うために必要な機能を全部一カ所にまとめられないんだったら、なんで金かけてわざわざ『本体』まわりだけ一体型にしたの?タブレットPCなら必要な機能は全部持ち歩けるよ」というユーザーサイドからのツッコミにもなっている。

といったところで、月曜日も登場した「アップルの携帯なら買う」という意見で私と一致した同僚の出番である。彼とは当然この新型の発表があったところでまた議論になったのだが、「これを買うかどうか」という話になったところで、彼の意見は「これならポータブルテレビ兼用に買ってもいいな。家の中をあちこち持ち歩いて好きなところで仕事もできるし、DVDも見れるし。この次はTVチューナー出すんじゃない?あ、でも外付け部品が増えると折角一体型にした意味が無いか。」であった。何だか日本の某社の液晶TVの宣伝のようでもあるが、この発言、上のScobleの意見と考え合わせるとこの新型iMacがひょっとして中途半端なものではないか、と思えてくる。ただ、こうした議論はAppleを買うユーザー(デザイナーなどを除く)の価値観が「機能・価格」の軸だけで構成されておらず、もう1つ「クール感」という軸があるということを考慮していないのは事実であるが…。

自分としては、現時点で買うならこれよりG4ベースのiBookかPowerBookを買うなあ、と思ったのであるが、結局この同僚と近々Apple Storeに実物を見に行こう、という話になった。なんだかんだ理屈はこねても、2人ともMacに抗し難い魅力を感じ、何かあるとつい語ってしまう「病気」なのである。

コンテンツ規格におけるAppleの狙いはどこまで?

新型iMacにだいぶ字数を費やしてしまったが、最後に、月曜日につづきiPodがらみの記事を紹介したい。Drunkenblog(「酔っぱらいブログ」?)に8月初めに書かれた「Convergence Kills」というタイトルのものである。かなり長文であるが、寄せられたコメントと共にかなり読み応えがあるので、ここでは要旨を紹介するにとどめ、あとはぜひ原文をお読み頂ければ、と思う。

内容としては、月曜日に紹介した記事同様、Real対Appleの「喧嘩」の背景にあるものは本当は何か、という論考であるが、ここではAppleの狙いは月曜日に提示した「携帯電話市場への参入」や「携帯電話での音楽ダウンロード規格の所有」というレベルを一歩越えて、「あらゆるデバイスへの、(音楽だけでなく映像も含めた)あらゆる合法デジタルコンテンツダウンロード規格の所有である」としている。

「…they're (Apple) creating a new light-DRM platform that is riding on top of everyone else's platform. iMacs, Windows, mobile phones, everything. Google is also creating a platform riding on the backs of other platforms... except its based around becoming the access point for all things internet. Apple wants that, but for DRM content. They weren't kidding around with their vision of the computer as a hub for your digital life, they just forgot to mention that the hub will come with a lock. And guess who owns the keys?」

Googleがインターネット上にあるもの全ての情報への「入り口」を掌握するとすれば、Appleが目指しているのは、DRMによりコントロールされる全てのインターネット上のコンテンツへの鍵を独占することである、ということである。

筆者は、このコンテクストから、Real対Appleの喧嘩を読み解いている。

「That's why they're so freaked out about what RealNetworks is doing, even though it'd sell iPods. At the end of the day it's not going to be about who is selling what end-play device, it's going to be about who is sitting in the middle. And Apple wants to be that benevolent dictator, parsing DRM-protected content to whatever device you're using at the time.」

「リアルの規格にiPodが対応するのは「iTune Music Storeで損してiPodで稼ぐ」という作戦からすればむしろ好都合なはずなのに、あれだけ強硬に出ているのはDRMコンテンツの配信規格を独占しようという野望があるからだ」ということである。原文の引用は割愛するが、筆者はまた「iPodを売るだけのためにハードウェア会社であるAppleがMusic Storeのような大掛かりなものを作るとは思えない」とも示唆している。

さらに、「iPodでは映像は扱わない」という以前のJobsの発言も実はミスディレクションであって、本当は既に準備中である、という「陰謀論」まで展開している(この点については、AppleのiPod部門でビデオとワイヤレスのインテグレーションのできるハードウェアエンジニアを募集している、という情報もあるので全く信憑性が無い訳でもない)。

私の書いた「iPodはAppleの他企業攻略ウィルス」説とは正反対の結論だが、実に色んな角度からAppleの今後について考察を加えている一文でなので、「お好きな方にはたまらない」ものであると思う。

明日でゲストも終わりだというのに、今日は何だかとりとめのないエントリであった。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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