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CNET Japan ブログ

「電車男」に見る2ch文学の可能性

2004/06/03 09:26
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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先週は日本に出張していた(KBS・岡田先生、ゲストブログ1週間ありがとうございました)のだが、仕事以外での日本における最大の収穫は、「電車男」について知ったことであった。日本出張中はいつも忙しくて忙しくて、あまりネットにつながっていられないのだが、そんなわずかな時間の中で読んだ、川野俊充さんのAbacus::blog「2ちゃんねるで泣く」(5/27)で、

「電車男と聞いて「?」という人はとにかく読むべし.感動しますた.」

とあった。これを読んだときの僕は、まさに、「「電車男」と聞いて「?」という人」の1人。そんなわけで「電車男」って何なんだ何なんだ、と頭の片隅に残しながら、土曜日、CNETオフミーティングに参加し(参加者の皆さん、僕もたいへん楽しいひとときでした)、それが終ったあと、伝播投資貨幣(Picsy)を提唱する鈴木健さんが主催する「飲み会」に参加した。

「電車男」に対して深まる謎

この「飲み会」には「0次会」と称する「1杯飲みながらの勉強会」みたいなものが付いているのだが、そこで鈴木さんがPicsyについてのプレゼンをしてくれることになっていた。ところが冒頭で彼が示した講演タイトルが、何と「「青い鳥」と「電車男」にみる2ch文学の可能性について」。またまた「電車男」の登場だ。ほとんど1970年以降生まれの人たちばかりのこの「飲み会」出席者たちは、これだけで大爆笑。「ぽかーん」としていたのは、43歳の僕と、僕がこの会に誘った50歳の友人の2人だけ。

この「「青い鳥」と「電車男」にみる2ch文学の可能性について」はスピーチの「つかみ」で、実際にはそのテーマでの講演はなく、その後はPicsyの説明が続いたのだが、僕の頭の中は「電車男」って何なんだ、という「満たされぬ思い」で一杯になってしまった。その「満たされぬ思い」を抱いたまま、日曜日にシリコンバレーに帰国した。

そして家に帰ってすぐ、本連載のアクセスログを調べていたら、「うえはら」さんのBlogを読んで仰天。

「一夜明けて、引き続き電車男の事をつらつらと考えている。話の中身もだが、やはり、2chでああいうことが起こり得るというのが俄かに信じがたく、そのあたりをうだうだと考えている。これが、梅田さんの言うところの、ネット世代とPC世代を隔てる「ネットの向こうに存在する不特定膨大多数に対する信頼(トラスト)の有無」だろうかと考えたりもしてみる。

私も自分ではぎりぎりネット世代のつもりだが、私には、ここまで自分にとってクリティカルな問題をいきなり2chに放り投げる勇気は無い。そこまでの信頼は無い。もちろん、私だって、ネットワークの不特定多数から助けられたことはある。が、それは不特定多数とは言っても、同好の士であったり、友達の友達であったり、何らかの色付けのあるコミュニティである。もう少し、無色に近い場合もあるが、その場合でも返事をくれるのは、たとえ何所の誰かは分からなくても、少なくともハンドルネームは持った個人である。その点で電車男と2chの「名無しさん」達との間のコミュニケーションとは大いに異なる。「名無しさん」達とのこのようなコミュニケーションに関しては、もはや、完全に私の想像の範囲を超えてしまっている、としか言いようが無い。そういう意味において、同じ信頼という言葉は使っていても、信頼のモードが違ってしまっている。」

電車男はインターネット世代?

まだ見ぬ「電車男」と、僕の先々週のエントリー「ネット世代とPC世代を分ける「インターネットの隠れた本質」」がリンクされているではありませんか。「電車男」って何なんだよ、いったい。

そしておまけにもう1つ。「小林Scrup Book」でも「CNET Blogと電車男に見るハイテク世代論」というエントリーがあり、「ネットの向こうに存在する不特定膨大多数に対する信頼(トラスト)の有無」と「電車男」がセットで論じられている。

「話変わって、最近、自分がいかに先の記事で言うところの「旧世代人」かを思い知らされた、新世代の男を見ました。それは電車男。

やじうまWatchの紹介文を引用しましょう。

独身男のよくある妄想を現実に体験した2ちゃんねらーの物語

男が独身を長く続けていると、「悪漢に嫌がらせされている女性を、我が身で助けて、好かれたい」などというろくでもない妄想が頭をぐるぐると駆けめぐり、自己嫌悪に陥ることがある。しかし、事実は小説よりも奇なり、とはよくいったもので、こんなストーリーを現実にそのまんま体験した男性がいたようだ。このドラマの主人公になったハンドル名「電車男」さんの告白は、2ちゃんねるの「毒男が後ろから撃たれるスレ」で3月から始まり、5月まで続いたようだ。まとめサイトの感動の物語は、読み始めるとほかのことが手につかなくなるので、どうぞご注意を。」

電車男は、自分が恋愛にチャレンジするにあたって2ちゃんねるでアドバイスを求め、2ちゃんねるの情報を自分で取捨選択し、使いこなしています。彼には「困ったら2ちゃんねる」という発想があった。それは、彼が今まで2ちゃんねると関り続けたことにより培われた2ちゃんねるへの信頼であり、2ちゃんねるの中から役に立つ情報を選び取れる、という自信(または自信を持つまでもない確信)があったからに違いありません。2ちゃんねるという特殊なコミュニティに立脚した世代として、「2ちゃんねる世代」とでも呼ぶべきでしょうか。

私の考察に賛同されるか否定されるかはさておき、電車男のまとめは家事を放り出してでもご一読のほどを。」

この「電車男のまとめ」から張られているリンクは、川野さんの「とにかく読むべし」から張られていたリンクと同じ。

とにかく読むべし

こうなったらもう仕方ない。時差でフラフラ、朦朧とした頭で「電車男」を読み始めることにした。何だか異常に長いみたい。全体の構造を理解するのに若干時間がかかったが、読み始めると確かにはまってしまう。

1人ではまっていても仕方ないので妻を呼び、「電車男」とは何たるかとサイトの構造だけ簡単に説明して、「とにかく面白いらしいから読んでみてよ」と誘ってみた。同じ部屋で、僕たち2人は別々のパソコンに向かって、「電車男」をそれぞれ読み進めていったのだが、妻は「皆、優しいねぇ」とか「あっ、「割り勘」 「おごれ」で激しい議論が続いてる。私なら「おごれ」だなぁ」とか言いながら、完全にはまっている。

僕は、本当に頭が朦朧としてきたので、「■ Misson.2 ちゃんと掴んでますから」まで読んで寝ることにしたが、妻はそのまま読み続けていた。「よく途中で眠れるわねぇ」というような目で僕を眺めながら。

妻は深夜までかけて「電車男」を最後まで読んだらしい。翌朝、彼女は、川野さん同様、心から感動していた。以来、彼女はブックマークにこの「電車男」を追加して、細部の再読を続けているようだ。

もちろん僕も、翌朝、「■ Misson.3 彼女はそっと俺の手を引く」以降を、読み進めていった。

結論。鈴木さんの言う「「青い鳥」と「電車男」にみる2ch文学の可能性について」の「青い鳥」については知らないが、「電車男」は立派な「2ch文学の誕生」である、と僕は思った。まぁ「文学」などというと、専門家の方から異論が出るかもしれないので、「新種のエンターテイメント」と言い換えてもよいが、これは間違いなくテレビドラマの原作にはなるのではないか。僕たち夫婦の今週の会話における「電車男」シェアは凄いものがある。2人で、暇さえあれば「電車男」の話をしている。

本欄読者層は、若い人だけではないので、きっと「電車男」って何だよと、僕と同じように思う人も多いかと思う。そういう人は是非、このくらいの曖昧な説明を前提に、「電車男」にはまってみてください。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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