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Yahooインタビュー解説(3) GoogleとYahooの本質的な違い

2004/06/02 09:23
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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一昨日、昨日に引き続き、5月24日「Yahooが検索エンジンを自社開発した理由」の解説を続けていく。本件は3回連続の今日で終わりで、明日からはまた別の話題に移ろうと思う。

このインタビューでは、うまく話が聞ければ、今考えている「GoogleとYahooの本質的な違いについての仮説」を、YahooのVish Makhijani(VP and GM international Search)にぶつけてみたいと思っていた。

違いは「人間の介在」に対する認識

その仮説とは、Yahooが何につけ「人間の介在」を重要な付加価値創出の源泉だと認識しているのに対して、Googleは「人間の介在」は必要悪だと認識しているのではないか、というものである。

Googleがゴールとして目指している世界は、「Googleの技術者たち(むろんここは人間がやる、当たり前だ。逆にいえばこれができる人間以外はGoogleには要らない)が作りこんでいく彼らのコンピュータシステムが、いったん動き出したら「人間の介在」なしに自動的に事を成していく」という世界なのではないかと、僕は何となく直観している。Yahooは違う。もっと「普通の会社」なのではないか。

たとえば、Gmailのプライバシーの問題についてのGoogle創業者の発言を、本欄4月5日「e-mailへの参入は変わり始めたGoogleの新たな挑戦」では

「Google officials, including co-founder Larry Page, said such concerns are unfounded, noting that company computers, not people, will be analyzing the e-mail messages and matching them to ads in a database. The company posted a privacy policy on its Web site Wednesday night that promises that ``No human reads your mail to target ads or other information without your consent.''」

こうご紹介したわけだが、ラリー・ペイジは、「メールを分析するのはコンピュータであって人間ではない」、「人間は誰もメールを読みません」ということを打ち出し、すべてコンピュータがやるのだから安心でしょ、という思想をしゃべっている。こんなところにも、「人間の介在」なしにコンピュータが自動的に事を成していく世界、が垣間見える。

Yahooから見たGoogle観

「To me, the key core philosophical difference between Yahoo! and Google is the level of involvement of the human beings. How do you think?」

とVishに尋ねた。

「So I would say Yahoo’s focus wasn’t people over machines, I think if you just looked at how the Web grew up, early on, search engines weren’t very good. So humans played a role in classifying what was on the Web, I think. And then search engines came around and search engines tried to tackle what they knew was going to be this problem of scale. So humans could not keep up with how the Web was growing. And so, I wouldn’t say that Yahoo is [Web or wed?] to people and that other folks are [Web or wed?] to machines. I think Yahoo was always about finding what you’re looking for, and that has been true to its core ever since the beginning. I think we try to use human involvement where we believe it improves the user experience, so, I think that that’s kind of a key difference. So we don’t think that machines can always take the place of people.」

これがまず彼の最初のリアクション。ウェブ創世記の検索エンジンの質が悪かったので「人間の介在」が重要だった。それからウェブが爆発的に拡大し、人間では追いつかなくなって今に至っている。そしてその次の「I think we try to use human involvement where we believe it improves the user experience, so, I think that that’s kind of a key difference. So we don’t think that machines can always take the place of people.」という部分が重要だと思う。Yahooは、「ユーザーエクスペリエンスがよくなると信ずる領域には人を介在させる」方針で、少なくともここにGoogleとの「key difference」が存在する、という言い方をしているので、彼は僕の仮説にかなりの程度で同意してくれているような気がした。

そこでさらに、「Googleのほうがすべてを自動化することへの信念・情熱がより深いのではないか」と尋ねたが、それに対するVishの答えは、

「No question. If you just look at our technology, we build some of the best, most scalable technology in the world, but we also use people where it’s relevant to provide an absolutely great experience.」

であった。「No question」と彼は答えた。Yahooは、ベストの技術を用意はするが、さらにその上に「人間の介在」を重視しているのである。

Googleは「Experimental」な会社

6月7日(月)に掲載されるらしいBrian Steel(President, Overture International)のインタビューを終えたCNET Japanの山岸編集長が僕に、

「やっぱりOvertureのトップも、「人間の介在」による価値を強調していました。あと、Googleを評して、Experimentalな会社だという言い方をしていましたよ」

と教えてくれたが、なるほどGoogleをExperimentalというのは言い得て妙である。GoogleのIPO戦略には、そのExperimentalな部分がよく出ているが、すべての面でExperimentalであるところに、Googleの面白さと危うさが同居しているのである。

Yahooから見たGoogle観は、僕が感じている直観を、若干だが裏付けてくれたかなと思う。

「「人間の介在」の程度においてGoogleと他者の考え方を比較して眺める」という仮説をもう少し抱えたまま、Googleを取り巻く競合や、Googleがこれから我々の社会とどう折り合いをつけていくかを、これからもじっくりと考えていくことにしたい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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