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回復ぶりをしめすシリコンバレー企業150社

2004/04/13 09:36
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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San Jose Mercury News恒例の「Silicon Valley 150」の2003年版が発表された。

「Silicon Valley 150」とは、シリコンバレーの公開企業トップ150社の分析リストである。総括記事「Growth in sales fuels optimism」では、冒頭で

「Silicon Valley is back in the black.

In 2003, for the first time since the dot-com days of 2000, the top 150 public companies headquartered in the technology capital of the world collectively showed a profit.」

と書かれているように、2000年以来はじめてシリコンバレー全体が黒字化した。

今思えば、2001年と2002年は本当に辛い先の見えない2年間だった。

「Sales grew nearly 11 percent in 2003, the first real growth since 2000. With the recession in 2001, sales at the valley's largest companies fell 18 percent, the first drop since the Mercury News began its survey in 1985. Sales in 2002 rose 5.5 percent, but the rise was largely caused by Hewlett-Packard's acquisition of Compaq Computer and masked an actual decline in sales for most companies.」

2001年から2002年については、こんな記述があるが、そこから考えれば、ずいぶん回復してきたものだと思う。

シリコンバレーの生活実感から言えば、(1)公開企業の業績は上向きで、大リストラの流れは止まりつつある、(2)ただし新規雇用はそれほど伸びておらず、(3)非公開企業のIPOは回復基調だがまだまだラッシュと言うには程遠い、(4)ベンチャー企業への投資も2001-02に比べれば戻ってきたもののまだ盛り上がりに欠ける、(5)バブル期特有の、オフィスビル建設ラッシュが数年遅れで起こる現象ゆえにオフィスレントの価格は下げ止まっていない、(6)ただし高級住宅地の供給は限られているので良い地域から高騰し始めている、といったところであろうか。全くの余談だが、地域経済を潤すGoogleのIPOを待ち望む声は根強いが、「Google創業者がIPOしたくないと言ってごねており、IPOが遅れそうだ」という噂が、特に地元ベンチャーキャピタル業界では流れている。いずれ真偽のほどが報道されてくると思われる。

時価総額が100兆円増加

さて元の記事に戻ろう。

「Ninety-one companies -- or 61 percent -- reported profits in 2003. That's considerably better than the 36 percent in 2001 -- the infamous year of the dot-com bust -- and the 47 percent in 2002.」

150社のうち91社(61%)が利益を出したのは、2001年の36%、2002年の47%から回復基調。

「In the year since the last survey, the market value of the SV150 rose 64 percent to nearly $1 trillion. It is still about half of what it was at its peak, though.」

よって、150社の時価総額の増分が、1トリリオンドルに上った。トリリオンはビリオン(10億)の1000倍だから、1兆ドル。つまり約100兆円の増分。これはでかい。シリコンバレーというところは、人々の資産形成における株式依存度が高い。特に、このSV150に勤める社員は、自社株を中心とした資産形成をしているので、この増分の効果は巨大。それが、高級住宅地の価格高騰という現象に結びついている。

「As sales grew and profits were posted, jobs were cut. SV150 companies employed 38,000 fewer workers in 2003, a 4 percent drop from the previous year.」

ただし雇用は2002年に比べて4%減少した。

そして、売上高における成長株は、コンシューマエレクトロニクス関連とのこと。

「In 2003, OmniVision's sales grew 204 percent and it reported a profit of $41.3 million. Following close behind was Lexar Media, maker of portable USB drives. Lexar sales jumped 137 percent and it posted profit of about $40 million. And SanDisk, known for the memory cards that go into digital cameras, reported a 99 percent increase in sales and a profit of almost $170 million.」

読者の方々には、日本企業の元気な事業部門における「そこそこ当たり前の成長」くらいに感じられるのではないかと思うが、その程度のことでも、それぞれ別々の公開企業で起こり、そういう成果が時価総額にダイレクトに影響して経済を潤すのがシリコンバレー。大企業中心の日本社会と、産業構造がずいぶん違うことの一端が、ここから垣間見えるだろうか。

将来に対する楽天主義がシリコンバレーの特徴

この記事のラストは、San DiskのCEO、Eli Harariの「次の30年も明るいぞ」という言葉で締めくくられている。

「``When I recruit students, I tell them that when I started in semiconductors in 1973, I thought everything to be discovered had been discovered, that the golden age was over,'' he said. ``Now, I'm telling the new guys that are graduating from college how lucky they are. As much as the last 30 years were great, the next 30 will be even greater.''」

1973年に半導体業界に入った頃、発見されなければならないことなどすべて発見されてしまっていた、黄金時代はもう終ったのだと、自分は思っていた、今もそれと同じことだ、今後30年ももっと素晴らしい時代になると、Harariは言う。まぁこうした楽天主義が、この地域の特徴なのだ。

さて、PDFファイルだが、「Silicon Valley 150」一覧表もあわせて発表された。僕は、こういうリストをああでもない、こうでもないと、ずっと眺めていて飽きないのだが、よくもまぁこれだけの会社が、比較的短い時間の流れの中で創造され、この狭い地域に集積したものだと思う。たかがシリコンバレーだが、されどシリコンバレーでもある。

売上高ベストテンは、HP、インテル、シスコ、サン、ソレクトロン、サンミナ、オラクル、カルパイン、アップル、アジレント。

時価総額になると、インテルとシスコの2社がダントツで、2社の合計だけで3380億ドル。為替レートにもよるが、35兆から40兆円というところ。それに続くのが、HP、オラクル、eベイ、アプライドマテリアル、ヤフーの5社で、それぞれ4-7兆円のレンジ。第8位の企業で2兆円以下なので、Googleが今年のどこかでIPOを果たすと、来年の今頃発表されるリストでは、一気に、時価総額ベスト10くらいに顔を出す(売上高でいえば40位前後だろう)わけである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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