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エンタープライズから見たコンピュータの25年間

2004/01/23 09:10
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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Infoworld誌は1978年12月に発刊された老舗雑誌であるが、ちょうど2003年12月で25周年を迎えたので、「InfoWorld's anniversary: 25 years of technology」という特集を組んだ。過去25年を振り返る部分と、これからの25年、つまり2028年までについて何か言うという部分とに分かれている。

ちなみに、Infoworld誌は、「in-depth coverage and evaluation of IT products for technology experts involved in major purchase decisions for their companies」を標榜するエンタープライズ・コンピューティングの雑誌である。

過去25年間をどう総括するかの部分をじっくりと読んでみよう。この特集では、過去25年を、4期に分けている。

最初の7年間(1979-1985)を、「The Dawn of the PC」(PCの夜明け)とし、PCがエンタープライズとの出会いの時期であったとしている。

次の10年間(1986-1995)を、「The Networked Enterprise」とし、LAN、Ethernet、Lotus Notes、Windows 95が登場し、企業に働く人々がネットワーク化された時代だとする。

そして第3期の4年間(1996-1999)が、もちろん「The Internet Era」。

そして現在に至る第4期の4年間(2000-2003)が「The Age of (In)Security」。セキュリティの時代でもあり、それはエンタープライズ・システムがInsecureである時代だという認識である。

IT産業の歴史を、ベンダーや技術の立場から眺めるのとは微妙に違った時代区分になっているところに注目してほしい。普通は、技術や製品の登場をある時代の始まりと規定したくなるが、この時代区分はそれから若干タイムラグがある。たとえばインターネットの時代が1994年ではなくて1996年からになっているところに、地に足のついたエンタープライズ・コンピューティングからの視点がある。また、最近8年間を、第3期のインターネットの時代と第4期のセキュリティの時代に峻別しているのは、バブル崩壊と同時多発テロのダブルパンチで、米国大企業がこの4年間、完全に「守りの時代」に入っていたことをよく現していると思う。

ビジカルクがPCとビジネスを結びつけた

さて、第1期の「1979 - 1985: The Dawn of the PC」から。最初のマイコンはGeek向けだったが、1979年にApple II向けにビジカルクが開発されたことが、PCとビジネスの出会いであった、という認識である。そして1981年にIBM PC。その後コンパック、デルといったクローンメーカーが登場する(マイクロソフトのDOSがすべてに搭載されていた)。1982年にはタイム誌がPCを「Machine of the Year」に選ぶ。

「Meanwhile, Apple was readying the Lisa, the first commercial computer to sport a graphical user interface.」

そのころアップルは、マッキントッシュの前身であるLisa開発に没頭していたわけだ。

そして、1984年には、

「And William Gibson’s 1984 novel Neuromancer used the term cyberspace to describe a world dominated by networks of connected machines - a fiction soon to become reality for American enterprises.」

ウィリアム・ギブスンの名著「ニューロマンサー」が出る。

ネットワークが企業に入った1980年代

さて、第2期の「1986 - 1995: The Networked Enterprise」から。1980年代半ばになってようやく、IT ProfessionalがPCを会社に導入しようとする時代になる。

「In 1984, LANs and minicomputers each had an installed base of less than 1 million. According to a 1988 survey published in InfoWorld, the number of LAN users grew to almost 6 million in four years, whereas the number of minicomputer users remained stagnant.」

1984年にはLANとミニコンのインストールベースは両方とも100万以下だったが、その後4年間で、LANユーザは6倍に増え、ミニコンは伸びなかった。そしてイーサネットが登場。それから、ネットワークを活かすためのハードとソフトがデビューしたのが1986年。

「In 1986, IBM unveiled the RT Personal Computer high-speed workstation, the first to use RISC architecture originated by IBM. The next year, Sun Microsystems announced an alliance with AT&T to develop its Sparc/Unix platform for business workstations.」

IBMのRISCワークステーションとSunのSparc/Unixワークステーションだった。そしてエンタープライズが、企業に働く人々がコミュニケーションを取ることの意味に気づき始めるが、

「Lotus Notes Release 1.0 in 1989 offered group mail, phone-book functions, and the ability to customize applications. SAP released its R/3 client/server software system in 1992.」

その本格的実現は、1989年のロータス・ノーツと1992年のSAP R/3によってだった。マイクロソフトがエンタープライズ・シーンに本格的に登場するのは1995年になってからのことであった。

インターネットの時代

そして第3期の「1996 - 1999: The Internet Era」へと突入していく。

「Blame it on Netscape. the company’s wildly successful IPO in August 1995 set the table for four years of Internet insanity.」

1995年8月のネットスケープ株式公開から、インターネット狂気の4年間が始まった。この書き出しから、第3期の4年間に対してエンタープライズ・サイドがあまりいい感情を持っていないことが読み取れる。

「The success of Netscape Navigator awakened Microsoft from its post-Windows 95 slumber. The Redmond giant saw the browser as a threat to its desktop monopoly and poured millions into developing Internet Explorer.」

ここは、ネットスケープがインターネットに出遅れたマイクロソフトを起こしてしまったという有名な下りだが、1979年からの歴史をたどっていく文脈で読み、第2期で「マイクロソフトがエンタープライズ・シーンに後発で登場してくる1995年」と合わせて考えると、マイクロソフトが独禁法に触れてでもネットスケープを叩き潰さなければならないと感じた危機感がとてもよくわかる。

ビル・ゲイツが歴史に残る仕事をしたのは、マイクロソフトを創業してデファクトにしたということ以上に、1995年から1999年までのインターネット揺籃期に徹底的に戦い抜いて、そのエネルギーによって、エンタープライズ世界の勝者の地位をきっちりと勝ち得たことだったと言えるのではないだろうか。ビル・ゲイツ40代、働き盛りの大仕事であった。1998年末にネットスケープはAOLに買収されて、その短い生涯を終える。

セキュリティの問題が明らかに

「A few months later, the Melissa virus spread across the globe in hours. While the world frantically prepared for the Year 2000 bug, holes in Microsoft software and weaknesses in Internet infrastructure would soon prove a larger problem.」

その数カ月後、Melissa virusが世界中にばら撒かれた。世界は2000年問題に狂奔していたが、実は、そのころから露呈していたマイクロソフトのソフトウェアのセキュリティ・ホールとインターネット・インフラの脆弱さこそが、より大きな問題であることがまもなく証明される。

ということで、第4期「2000 - 2003: The Age of (In)Security」に入る。2000年問題は何のこともなく過ぎたけれど、その直後の2000年4月にバブルが崩壊し、10年に及んだ好況が終わりを告げ、さらに悪いことに、2001年9月11日の同時多発テロに見舞われる。そういう時代が今も基本的には続いていると言っていいだろう。そしてその間に、

「The Internet’s infrastructure also proved vulnerable. Massive DoS (denial of service) attacks in February 2000 took down the biggest sites, including Amazon, CNN, and Yahoo. Two years later, a DoS attack briefly disabled nine of the Net’s 13 DNSes. A series of increasingly virulent worms - Code Red, Nimda, Klez, Blaster, Slammer, SoBig - infected millions of machines. Slammer also disabled ATMs, 911 call centers, and other systems that weren’t supposed to be connected to the Net.」

インターネットの脆弱さも、こんなふうに次々に証明されていった。マイクロソフトは2002年1月に「Trustworthy Computing initiative」を発表し、

「During the next 18 months Microsoft released 60 security bulletins with a severity rating of “critical” for patches that applied to various products.」

それからの18カ月で「security bulletins with a severity rating of “critical” for patches」を60回もリリースした。

オープンソースの台頭

そしてそんなマイクロソフトの背後から

「The company also came under attack from an unexpected (and open) source: Linux, now poised to become the second biggest player in the network server market.」

全く予想もしていなかったLinux(オープンソース)が忍び寄ってきている。

さて、2004年からの歴史は、いずれどんなふうに描かれることになるのだろうか。

この特集には、2004年から2028年まで、つまりこれから25年間についてもいくつかの記事もある。

「Unless you're in the business of creating sci-fi for entertainment, predicting the future of technology can be a risky proposition. But as the personal computing pioneer Alan Kay once said, "the best way to predict the future is to invent it," so InfoWorld turned to some high-tech innovators for their take on the future, and they bravely stepped up to the crystal ball. Their vision of the next 25 years may validate the imaginings of Neal Stephenson, Gene Roddenberry, and Steven Spielberg after all.」

読後感を言えば、将来について25年間を論じようと呼びかけるのは、ソリッドに産業や事業や技術や研究のこれからを考えていくための問題設定としてはやや難があるのかなということだった。むろん断片的には面白いところも多々あったので、興味のある方は原文をどうぞ。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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