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大物ジャーナリストによるBlogでGoogleの本を書くという実験

2003/11/10 10:10
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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BlogでGoogleの本を書く。

何だか三題話みたいだが、AlwaysOnのTony PerkinsがGoogleについての本を、できればGoogleのIPO前までに書くぞ、それもBlogの枠組みを使って、と宣言した。「Googling Google」によれば、

「I have just decided to write a book about Google.」

「Writing a book is a very painful experience. And frankly, the only way I can pull this off under a tight deadline (I want it out before Google goes public), is to write it with AlwaysOn members.」

とある。いま米国のテクノロジー・ジャーナリストなら誰でもGoogleの本を書きたいに違いなく、よって競争も激しい。たぶん水面下で何本もの企画が進行しているものと思われるが、Tony Perkinsは、AlwaysOnという自らのプラットフォームを武器に、公開前出版などというキャッチーな目標を用意して、競争者を牽制しているのであろう。

「As the folks who have been following AlwaysOn know, we believe that our competitive advantage is you. While John Markoff of the New York Times and David Kirkpatrick of Fortune may have bigger Rolodexes, and while they may often have better access to sources, we have thousands of members we can turn to get the real inside track. And that’s who I’m counting on.」(新興メディア・AlwaysOnの強みはあなたがた(読者)である。大メディアの著名なジャーナリストに比べて、超大物たちへの人脈は弱いけれど、数千にも及ぶAlwaysOnの読者兼潜在的書き手がいる。それが頼りなのだ。)

こう、Perkinsは書くわけだが、Perkins自身、Red Herringを興してつぶして、インターネットバブルをあおっては水をかけた経験から、シリコンバレーのインサイダーとして、その人脈にかけては大メディアに引けを取らないわけで、この文章はちょっと奇麗事かな。一気にGoogle本を書く勢いをつけるために、「人のふんどし」で相撲を取ろうとしているような、嫌な雰囲気も少し感じられる。

コミュニティの力を商業ジャーナリズムに生かせるか

オープンソース世界の人やBloggerたちの中には、そういう「よりよい知のための協力」みたいな美名のもとエゴの強い誰かに搾取されそうな雰囲気が少しでもあると、それには敏感に反応する人が多い(当たり前だ!!!)から、Perkinsが本当にコミュニティの力を利用して本を書こうとするならば、これからそのへんをどう乗り切っていくかが課題であろう。ただ、その点さえきちんとやれば、新しい参加型ジャーナリズムの方法論が、最もホットな話題であるGoogleというテーマに対して行なわれるという、わくわくするような実験が始まることになる。

Perkinsの論点は、今こそ誰かがGoogleについてきちんと書かなければならないのだ、ということなのだが、その理由についてこんなことを書いている。

「First, I think Google is a great portrait of how the American dream is playing out in this century.」

というのは当然だが、Googleは単なるアメリカンドリーム以上の物語なのだと。

「This in itself is a great story, but there is much, much more.

Having reached a billion dollars in revenues, Google now sits in the sights of the most powerful and crafty competitors on the planet: Yahoo, Amazon, eBay, and the Almighty Microsoft.

My inside sources tell me that Microsoft recently offered $10 billion to buy Google, and the boys said no way. Bankers I know say that they are looking to fetch an $18 billion IPO valuation, so who needs Microsoft, right? We will see. And that is why this book needs to be written.」

マイクロソフトは100億ドルでの買収をGoogleにオファーしたが、Googleは言下に断ったらしい、とPerkinsは書くが、本当かな。IPO価値を上げるためには、皆よってたかって伝説を作ろうとするから、真偽のほどは定かではないな。ただまあいずれにせよ、150億ドルから200億ドル前後でのIPOを目指し、Yahoo、Amazon、eBay、Microsoftという列強とこれから戦おうとするGoogleの姿は、現代のテクノロジー・ジャーナリストならば、書くに値する最優先対象に違いない。

今はグーグルについて書く絶好のタイミング

ただ、ここ2週間くらいだけ見ても、IPO噂話以外で、「米グーグル vs 米マイクロソフト- デスクトップ上で一騎打ち」におけるマイクロソフトとの競合があり、「書籍検索に食指を動かす米グーグル」におけるアマゾンとの競合がある。さらにGoogleは、「巨額IPOは列強との競争に不可欠な軍資金を得るため」という論理武装をするに違いないから、どういう競争をするのかの構想やベースとなる技術についても、今からIPOまでの間が、最も活発に情報が出てくる。今まで比較的謎に包まれていた会社であるから、そのあたりの面白い部分がこれからどんどん明らかになっていくという、本を書くベストタイミングでもある。

下世話な話だが、信じられないほど巨額なカネが創業者や投資家や初期の従業員に流れ込む話だって、皆の覗き見趣味を刺激するに違いない。

「It will also be fun to examine the forces behind Google’s IPO. Did you know that Andy Bechtolsheim (Sun Microsystems co-founder) gave the Google boys a $100,000 investment before they even named the company? Just think how much money he is going to make on the deal. Did you know that the company’s two primary investors, Kleiner Perkins Caufield & Byers and Sequoia Capital, still own 9% of the company? Each. It doesn’t take a person smart enough to work at Google to do the math on how much these stakes are going to be worth after an $18 billion IPO.」

仮に、150-200億ドル付近でのIPOとなると仮定すると、創業者二人の取り分はそれぞれ約3000億円くらいというのがもっぱらの噂。VCのクライナーとセコイアが9%ずつ持っているらしいから、彼らも4桁億円まで行ってしまいますね。10万ドル(約1100万円)をエンジェルとしてシード段階で出したアンディ・ベクトルシャイムにはどのくらい入るのだろう。3桁億円はいくだろう。幹部連中は確実に2桁億円から3桁億円に乗るはず。社員番号何番までが2桁億円に乗るのだろうか。いずれにせよ、かなりの数のリッチ・ファミリーを一挙に生み出すことになる。無から有を生み出すとは、こういうことを言う。ただ、もちろんIPOしたって瞬間風速のペーパーマネー。調子に乗って凄い家を買ったはいいが株が暴落なんてことになると、後からやってくる税金とローン返済で破産なんて人も出るわけで、これからさまざまな人間模様が垣間見られることになるだろう。こういうときこそ人間観察の絶好の機会といえる。

シリコンバレーでは、こんなGoogle景気を見込んで、高級住宅地の市況が俄然よくなる兆しを見せ始めている。シリコンバレーの本当にいちばんいい住宅地なんてそう広いエリアにわたっておらず、簡単に供給が増えないから、需要が急に増えると、価格の変動が大きくなるのである。

Googleが投げかける波紋は、こんな経済効果まで含めて莫大であり、皆が興味津々なので、Perkinsも、Googleについての本ならば、多くの人の協力を得るにたる核テーマとして十分だと考えているのであろう。

「As we say in the world of journalism, "This is a story that needs to be told."」

まあ、その通りである。

そしてこれが読者兼潜在的書き手であるAlwaysOnメンバーへのメッセージ。

「Note to members: AO members are encouraged to post their thoughts and reflections on what I write in this ongoing blog on Google. The goal is to work with AO members to write a book that gets published before Google goes public. If you have a really juicy scoop, please email it to google@alwayson-network.com. This email will only be read by me, and I promise to keep whatever you send to me in complete confidence unless you advise otherwise. Those members who either post or e-mail me inside information that I end up using in the book will be listed as contributing editors in the Acknowledgements section of the book.」

面白い話が、これからいろいろと飛び出してくるものと思う。

グーグル・デスクバーについて書かれた11月8日のサンノゼ・マーキュリー・ニュースは、

「Microsoft has the power and the money. Yahoo has the traffic. But Google, the small private search engine company, keeps punching the two Goliaths with its new features -- like the Deskbar it revealed this week.」

という書き出しで始まっている。グーグル・デスクバーは、ここからダウンロードできます。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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