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サンの生き残り戦略を考える

2003/10/30 10:05
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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エンタープライズIT市場にさらなる価格破壊は進むのだろうか。

苦境に立つサンの現状を総括して秀逸なFortune誌の最新号「Scott McNealy's Lonely Battle Against Eternal Night」(冒頭のみ無償で、記事全体は購読者のみアクセス可能)は、サンの現在の戦略はそういう文脈で考えるべきだと主張する。

「For the nearly two decades he has run Sun Microsystems - the longest tenure of any current high-tech CEO besides Oracle's Larry Ellison - he has always said and done what others wouldn't or couldn't, and he's often been right.」(スコットは、オラクルのラリー・エリソンと並んで、20年の長きにわたってハイテク企業のCEOを勤めているが、他の誰もが言えないようなことできないようなことを有言実行し続け、彼の言ったことは皆、正しかった。)

という書き出しで始まる。そういう成功で90年代のヒーローとなったスコット・マクネリーが、今やっている最後の大勝負のキーワードは、「cutting the high cost of corporate computing」なのだと。

「Now McNealy has a new crusade: cutting the high cost of corporate computing. Once again he's saying what his peers can't or won't - that hardware and software companies, including Sun, have been gouging customers. Customers already know that, but wait! McNealy says Sun has a way to reduce the $1 trillion a year U.S. corporations and governments spend on IT by a factor of ten.」

これまでコーポレート市場でさんざん暴利をむさぼってきたハード会社、ソフト会社の範疇にサンも入るわけで、サンも含めた競争相手は皆、そんなことは言い出さない。そういう大胆なことをまたサンは言い始め、やり始めている。スコットは、米国大企業・政府のIT支出を一桁削減できる方法があると主張する。スコットは最後の勝負をそこに賭けているのだという見立てだ。

「The pitch goes like this: High tech no longer needs to be sold in pieces that corporate customers must cobble together; it will be sold instead as pretested systems that work with everything else a company owns right out of the box, much like consumer PCs today. "Only in our industry do we create our own unique jalopies," McNealy says. "You don't do that when you buy a car. But in high tech somehow we've become obsessed with selling customers componentry."」

これがスコット・マクネリーのピッチ。エンタープライズIT世界は、部品単位でバラバラに売られる世界。箱からあけたらすぐにエンタープライズのすべての資源と協調して動くテスト済みのシステムが売られるべきではないか。

この記事は、こんな冒頭の議論から、そういうビジョンが仮に長期的に意味を持つとしてもサンがその担い手になり得るか否かはよくわからない云々、というような調子で、今のサンの経営的苦境について言及する。この部分は既にいろいろなところで語られている話と大同小異なので省略。

スコット・マクネリーの不断の努力

記事の2ページ目(ウェブ上のページで)の

「Even if you don't accept McNealy's vision for the future, you have to give him credit for tenacity.」(もしあなたがスコット・マクネリーのビジョンを受容しないとしても、彼のその方向への不屈の努力は称賛に値する)

という文章に続く、スコットがこれまでに打ってきた施策の一覧は、こうなっている。

(1) Ed Zanderに任せていたday-to-day managementを自ら掌握し、5層あった経営階層を2層カット。

(2) 「software and low-end systems」つまり、ソフトウェア事業とローエンドシステム事業に責任者を任命し、直接スコットの監督下に置いた。

(3) ソフトウェアやローエンドシステムを売ってインセンティブが出るようにセールスの仕組みを変えた。

(4) デルとも十分競争できる「inexpensive servers」を5月に市場に投入。

(5) ソフトウェアの価格もぐんと下げた。デルがハードをコモディティ化したのなら、自分たちはソフトウェアをコモディティ化するのだと宣言。デルはハード(安い)とソフト(高い)を別売りするが、サンはハードとソフトをバンドルすることで対抗し、十分に価格競争ができる。関連箇所を引用しておこう。

「For $100 an employee, corporate customers can now get not only Sun's top operating system, Solaris, with their gear but also Linux and Sun's entire suite of 224 "middleware" products. (Those are programs for running corporate e-mail, websites, security and authentication, transaction processing, and so forth.) The thinking, says Jonathan Schwartz, the newly minted software chief, is to offer a price so compelling that customers won't be able to resist trying the package. Sun also announced, for $50 an employee, a Linux-based equivalent of Microsoft Windows and Office, programs that Microsoft, even with corporate discounts, charges hundreds of dollars for. "Just as Dell commoditized hardware, we are going to commoditize software," says Schwartz.」

「Schwartz contends that Sun can keep its own prices low by bundling together its software and hardware. (With Dell machines, most of the software is sold separately.) So Sun could win if customers were willing to convert en masse to its software - a big if. Competing with Microsoft on the desktop seems like an even tougher fight.」

(6) サンの本社に「a briefing center」を作り、スコットも陣頭指揮で顧客との直接商談を進める体制を強化。

(7) データセンターマネジメント・サービスのN1。

(8) そしてNiagaraチップ。

しかし、こうした諸施策の問題点は、苦境に立つサンにとっての短期的特効薬とならないことではないか、とこの記事は総括する。

「The trouble with these initiatives is that it's difficult to see how they'll rekindle Sun's growth anytime soon - and investors probably won't give McNealy much more time. N1 and Niagara may be fascinating, but any significant contributions to earnings are years away. Sun's middleware products may be the cheapest around, yet Sun has tried and failed twice in this market in the past five years. Schwartz says the company has redesigned its product line so that it all works together seamlessly this time, but BEA and IBM, the largest players in the $4-billion-a-year middleware market, are also investing heavily to improve their offerings.」

そして、このターンアラウンド戦略は遅きに失したのではないか、と結論付ける。

「The bottom line is that McNealy's turnaround strategy may be too late.」

10年前、サンはエンジニアリング・ワークステーションからサーバーに事業を転換して大成功したが、それはワークステーションのシェアが落ちる前に将来を予見して手を打てたからで、今回はやっぱり一手遅かったのだと。

サン、非公開化の可能性も

さて、サンはこれからどうなっていくのか。

シリコンバレーでいろいろと噂される「どこかがサンを買収するのではないか」というのも、アップルがそうしたような思い切ったリストラで会社のサイズを小さくしてニッチで生きていく決心をするべきではないかという案も、強気のスコットは飲みそうもないと結論付けるこの記事によれば、いましばらくはスコットの強気のターンアラウンド戦略の成否を見守るしかない、というのが結論のようだ。

本連載9月2日「シーゲートに続いてサンの非公開化は実現するか?」では、サンの非公開化の可能性について、シーゲートを非公開化して再び上場させて成功したシルバーレイク・パートナーズの二号ファンド調達の話に絡めて議論したが、僕は、被買収や大リストラと並んで、非公開化からゆっくり戦略転換して再上場、という可能性もあり得るシナリオのではないかと、相変わらず考えている。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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