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有償でも読む価値のあるオンラインコンテンツとは?

2003/10/16 10:17
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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最近、何人かの人から同じ質問を受けた。「有料購読する価値のあるアメリカのオンラインコンテンツ(雑誌・新聞)はどれか?」という質問である。

たぶん、EconomistとかFortuneとかBusiness WeekとかBusiness 2.0のサイトに行くと、読みたいなと思う記事が、有料購読者専用になっていると感じる場合が多いから、そんな質問が来たのだろう。最近、各誌とも、無償コンテンツの大盤振る舞いを改める傾向にあるからだ。

たぶんコンテンツ世界も、Google NewsやBlogのアグリゲーションのような無償コンテンツ世界(+超ニッチ有償コンテンツ市場群)と、大資本をバックにした雑誌・新聞などに二極分化しているのであろうが、今日は後者について最近感じることをまとめておこう。

最近面白くなったのがBusiness Week

最近、面白くなったなぁ、と思うのがBusiness Weekである。編集長でも変わったのかな。週刊で情報が豊富だから、ひとつ新聞・雑誌のコンテンツを選ぶとしたらBusiness Weekがお勧めである。

たとえば、10月13日号のカバーストーリーは、昨日の本欄でご紹介した「The Web Mogul」。InterActiveCorpのBarry Dillerの特集である。これは無償。

そしてアジア関係のカバーストーリーが「India's Tech King」。インドのソフトウェア・ITサービス企業・Wiproの特集。これも無償。

そしてヨーロッパのカバーストーリーが「Nokia's Big Leap」。これは雑誌発売と同時には購読者のみだったが、今は無償で読める。

あと、アメリカのスモールビジネスの隆盛について描いた「Right Place, Right Time」。これは最初から無償。

GEのイメルトの最近の戦略を追いかけた「Will Jeff Immelt's New Push Pay Off for GE?」と、イメルトのインタビュー「Immelt on Being an "Embedded Partner"」(オンラインのみ)。これも発売と同時には購読者のみで、今は無償。

そして、Sun Microsystemsが苦境をどういう戦略で乗り越えようとしているのかのサマリー「Can Sun Weather the Dark Days?」。これは最初から無償。

日本の燃料電池開発競争を描く「Japan: Fuel-Cell Nation」。これも最初から無償。

総じて、なかなか読みでのある充実した内容になっている。

ただ有償コンテンツといっても、発売と同時に全部読みたい人は別とすれば、少し時間を置くと、ほぼ全部無償で読めてしまう。

新聞の有償サイトはプロ向き

新聞はどうか。Wall Street Journal(WSJ)とFinancial Times(FT)以外は、ほぼすべて、その日のうちならば無償で読むことができる(ここが日本とは全く違う)。そんな中、WSJやFTを有償購読する価値があるだろうか。一部の市場関係者やプロを除く一般の人にとって、リアルタイム性の強い新聞記事は、ネット上に溢れる無償情報で事足りるだろう。

僕の独断で雑誌有償コンテンツランキングを作るとすれば、第1位はBusiness Week。第2位はFortune。第3位がBusiness 2.0。第4位がEconomist。第5位がHarvard Business Review。予算がかなりある人だって、この5つとWSJを購読すれば、まぁ、それで事足りるといえよう。

実はForbesも最近、Business Week同様、たいへん充実してきているのだが、僕のいまのところの理解では、無償で読める部分ばかりだ。

Forbesのサイトも充実している

たとえば10月13日号を眺めてみよう。

まずはハーバードビジネススクールの事業を描く「The Money Factory」。

「イノベーターのジレンマ」のChristensen教授の新刊書「Innovator’s Solution」の抜粋「Creating A Killer Product」。

Executive Coachingについて書かれた長文の解説記事「Cult of Personality」。

IBMがサプライチェーンマネジメントでいかに30億ドル削減したかについての「Back on the Chain Gang」。

少なくともこの4つは、かなり質の高い記事であるが、これらは全部無償(無料の読者登録は必要)である。

また、Wired MagazineやFast Companyも面白い記事が多いが、雑誌の刊行から少し時間がたつとネット上で全部無償で読めるようになる。少し待てば無償なら、まぁ待ってもいいのではないか。冒頭でご紹介したBusiness Weekも全部ではないが、待てばかなりの部分が無償になる。

以上、最近の有償コンテンツについて概観し、雑誌ランキングも作りながら考えてみたが、改めて、「有料購読する価値のあるアメリカのオンライン・コンテンツ(雑誌・新聞)はどれか?」という質問に戻って、ふと、こう思う。

お金を払ってまで読む必要のあるコンテンツなんてあるのか

でもなぁ・・・。有償コンテンツに価値ある素晴らしいものが多々あることは認めよう。ただ、これだけ無償コンテンツが毎日毎日溢れていく時代だと、すべてのものに目を通さなければ気がすまないマニアを除いて、有償コンテンツにたとえ価値があったって、カネを出してまで読む必要はあるんだろうか? たぶんないないだろうなぁ、と。

さて、Always Onを読んでいたら、「The Digital Newsstand」で、有償コンテンツについての議論を見つけた。

「So when you mix print and online business models together, you usually get a terrible mess.」

「Yet a magazine with no Website is an anachronism -- most print publishers do agree that an online presence is a cost of doing business.」

新味に乏しいのは、結局、有償コンテンツについての新しいビジネスモデルが完全に行き詰っているからである。

月4.95ドルで140誌のアーカイブが読めるサービス

そして最後に、

「No print publication is getting rich selling archival content, and readers don't really like being nickel-and-dimed to get access to an interesting three-year-old story.」

既存メディアは、アーカイブを皆、売ろうとしているが、カネを払ってまで3年前の記事にアクセスする人は少ない、と書き、

「That's where KeepMedia comes in. Louis Borders is betting that people will subscribe to his service (it's $4.95 a month) to get access to the archived files of nearly 140 magazines, like Forbes, Psychology Today, and Family Circle, as well as a few newspapers.

While I can't fault the utility of archived magazine articles, $59.40 a year is a lot for a consumer to pay to access back issues of a magazine he either already has on his shelf or doesn't find important enough to subscribe to. But something does make sense in this business. At the moment, 108 of the 140 KeepMedia titles are trade publications, like Profitable Embroiderer and Insurance Conference Planner (both Primedia publications).」

KeepMediaという新しいサービスを紹介している。月々4.95ドルで雑誌140誌のアーカイブファイルにアクセスできるという。ずいぶん安いなぁ。でも逆に、これは既存メディアが過去コンテンツでどれほど儲からないかの裏返しでもあるが、消費者としては使ってみようかなという気にもなる。1週間フリーのキャンペーンをやっているようなので、興味にある方はどうぞお試しください。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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