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CNET Japan ブログ

絶望する米ソフトウェア産業と新しい可能性

2003/09/19 10:05
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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Desperation Dance」(絶望のダンス)。すごいタイトルの記事(Forbes誌)だと思ったら、米国ソフトウェア産業についての話だった。

「The struggles of the software industry in Silicon Valley have gone from bad to worse. Executives and their backers are taking desperate measures to sell, but often buyers aren't interested, no matter how low the price.」

立ち行かなくなって買収先を見つけたい会社がたくさんあるが、どんなに値段が安くても、買い手が見つからない。そういう会社はただ消えて行くことになる。

「They are the Valley's Undead, firms burning very slowly through piles of cash raised in the bubble. Now many must prepare for a woeful fate:liquidation.」

バブル期に大量の資金を調達し、バブル崩壊後にレイオフなどをしてバーンレート(月の経費)を下げ、景気回復まで持ちこたえようとしていた会社がたくさんあった。こういう会社を表現するとき、よくHibernation(冬眠)という言葉が使われた。そんな会社群がLiquidation、つまり何らかの形で清算して投資家がいくばくかのカネに換える時期に来たということ。でもそう高く売れるわけはない。冬眠中にはそれほど凄い技術開発も事業開発もできないわけだし、時間もどんどん過ぎていったのだから。

損を覚悟で売却されるベンチャー企業

Pacifica Fundの同僚のTim Orenも、9月15日のBlogで、

「Enterprise collaboration and groupware company Intraspect Software has been sold to public company Vignette for $20m in cash and stock. Old Friend Tom Gruber has been CTO there for quite a few years, but I doubt he and other officers are going to get rich from this exit: according to Venture Source, Intraspect had raised almost $85m in seven rounds of financing since 1996, and at one time was valued at $135m post-money. The last round was $33m, so even a 1x liquidation preference will account for all of the acquisition price.」

と書いている。Intraspect softwareというエンタープライズグループウェアの会社が、2000万ドルでVignetteに買収された話。Intraspectは、1996年から7回にわたって8500万ドルの資金を調達し、いっときは資金調達後の企業価値が1億3500万ドルまで行った。最後に調達した資金が3300万ドルで、その調達額にも満たない金額でのLiquidationであるから、これはベンチャーにとっては負け戦のexitである。

「This one's a cautionary tale not only on the late-90's investing boom/bust (Intraspect's history covers nearly the whole saga), but on the long selling cycles and difficulty of extracting revenue from businesses for software of this type. Social Software advocates and investors take note.」

こういうタイプのソフトウェアは、セールスサイクルが長く、売り上げを立てるのが難しい。ソーシャルソフトウェア応援団たちよ、心しておくように。Timはこう書く。ソーシャルソフトウェアについては、本連載5月13日「ハイプか、リアルか。注目を集める「ソーシャルソフトウェア」」で取り上げたが、こういうタイプのソフトウェアが広く使われるようになっても、オープンソース的な潮流も含めて考えると、ソーシャルソフトウェアがエンタープライズソフト市場できちんと売り上げを立てて、確固とした地位を築くのは難しいかもしれない。

PeoplesoftがJ.D.Edwardsを買収したり、そこにOracleが絡んだり、Siebelが誰に買われるだろうかといった業界再編の話題に事欠かないソフトウェア産業であるが、これは明らかにこの産業が成熟し、成長機会が新しい技術、新しい事業モデルに移行していることを意味している。

ソフトウェア産業を変えるSlaesforce.com

そんな中、チャレンジャーとして1社気を吐くのが、Salesforce.comである。Business 2.0誌の「The Biggest Mouth in Silicon Valley」は、シリコンバレーの大法螺吹きというタイトルの記事で、同社CEOのMarc Benioffを取り上げている。

この記事の2ページ目以降は定期購読者オンリーなので、ここでは詳細をご紹介しないが、Googleに次いで有望な未公開ベンチャーとして衆目認める企業である。面白かった部分を一箇所だけ引用するにとどめよう。

「That industry, narrowly defined, is the CRM business, which was pioneered and is still dominated by Siebel Systems (SEBL). Last year Siebel had $1.6 billion in sales, down from $2 billion in 2001. Salesforce is built on the shoulders of Siebel. That company's founder, Tom Siebel, previously worked for Larry Ellison at Oracle. So did Benioff. After writing code for Atari game consoles as a high schooler and working for a summer at Apple Computer (AAPL) during college, Benioff joined Oracle, and eventually became one of the most successful sales execs in its history. In 1994, he was one of seven seed investors in Siebel. Five years later he left Oracle, sold the bulk of his initial $50,000 Siebel stake for more than $25 million, and founded Salesforce.」

CRMビジネスは、SiebelがパイオニアでSiebelが押さえている。Siebelの去年の売り上げは2001年の20億ドルから落ちて16億ドル。Siebelの創業者はOracle出身。BenioffもOracle出身。Benioffは高校時代からAtariのゲーム用のプログラムを書いていて、大学を出てOracleへ。Oracle史上最高のセールスマンになり、1994年にSiebelのシード段階で5万ドル投資。投資した5万ドルが2500万ドルに化けたので、そのカネでSalesforceを創業した。

自らがシードマネーを入れたSiebelと競争するSalesforceの今年の売上高は1億ドルに達する見通し。何でもありのワイルドな世界である。

Benioffの口癖は、End of software(ソフトウェアの終わり)。

「Marc Benioff says -- and says, and says -- his startup, Salesforce.com, will forever transform the software industry. Could he be right?」

この記事のサブタイトルにこうあるように、ソフトウェア産業の産業構造の転換を目論んでいる。

ところで、このBenioffのインタビュー・ビデオを、CNETサイトで見ることができる。

つい最近リニューアルされたCNETでは、GetUpToSpeedという欄ができ、6つの重要技術を選び、その潮流を概観できるようになった。その6つとは、Enterprise security、Open Source、Utility Computing、VoIP、Web Service、Wi-Fiである。そのUtility Computingのところから、Benioffの約30分にわたるインタビュービデオ(5月中旬に行なわれたもの)に飛ぶことができる。

「Software solution models: Ready for change? 」

というタイトルで、

「In an exclusive Face to Face interview, ZDNet's Dan Farber asks salesforce.com founder and CEO Marc Benioff about his ambition to "destroy" software as it is today, why he doesn't fear competition and why he believes his software model will prove to be history's most profitable.」

Benioffの「現在のソフトウェアのあり方をぶち壊してしまうという野心」について、「彼がなぜ競争を恐れず、自らのソフトウェア事業モデルが歴史的にみて最も収益性が高いものだと信ずるか」について、Dan Farberが1対1でインタビューしたもの。

僕も見てみたが、セールスマン出身のBenioffらしく、英語もわかりやすいので、興味のある方には一見の価値があろう。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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