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Blogの経済的価値

2003/09/01 10:05
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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英エコノミスト誌がBlogについて「Golden blogs」という記事を書いている。今のところ無償で読めるようだ。この記事のテーマは、

「Because blogging is becoming so popular, people are belatedly pondering its economics.」

ということで、Blog現象をビジネスという視点から考えることである。

「Blogging certainly incurs costs, including the expense for web hosts of storing all those journal entries. On the other hand, it also creates small, tight groups of readers that could make ideal target audiences for advertisers.」

Blogサイトを運営するには某かのコストがかかるが、その結果として、広告対象として理想的な「小さいけれどタイトな読者グループ」を形成する。「この小さいけれどタイトな読者グループ」は、果たして誰にとってどういう価値を生むことになるのか。

検索エンジンのようなターゲット広告の可能性

まず、Bloggerたちにツールを提供する事業は、フリーソフト化や競争激化であまりおいしいビジネスにはならず、ターゲット広告のほうが事業可能性は高いだろうと、この記事は書いている。

「This is how search engines became profitable. Firms such as Overture (recently acquired by Yahoo!) and Google allow advertisers to bid to place their links on top of the results pages of web searches, according to the subject matter of the search, and charge them only when a surfer actually clicks on the sponsored links. Blogs, like search results, tend to segment internet users into groups of people with similar interests, so the model should be transferable.」

検索広告と同様、Blogもインターネットユーザを「同じ興味」という基準でセグメント化するものだから、検索広告と同じビジネスモデルが成立するはずだ。

「Even so, blogs are a more challenging proposition than search results. Simple keyword matching to guess at the content of a blog is fallible, says Azeem Azhar, of 20six, a British blogger (and formerly a writer on The Economist). This is why the sponsored links on Google's blogs, for instance, get fewer clicks than those on its search results. Algorithms used to intuit what a blog is about will get better, says Mr Azhar, but will remain “an engineer's way of cracking a human social problem.”」

ただそうは言っても、Blog広告のほうが検索広告に比べてかなりチャレンジングである。それは、Blogの内容を自動的に判断することは難しいからだ。アルゴリズムは日に日に進歩しているがまだまだ完成には遠い。

これは、本連載8月28日の「Googleを取り巻く苛酷な競争」でご紹介した「ニューヨークポストの被害者のバラバラ死体をスーツケースに詰めた殺人事件の記事に、Googleがスーツケースの会社の広告を出してしまった」という事例とも呼応する話である。Tats_yさんからいただいたトラックバックでは、「しかし、いかに検索エンジン側が技術を改良してもこうした事故は防げないのではないだろうか」と書かれていたが、それだけ技術的に難しいということであろう。

商業的BlogサイトはBlogか?

エコノミスト誌の記事は、このあと、AlwaysOnの試みについて言及している。

「Meant to be a “super blog”, says Mr Perkins, AlwaysOn will let only good, insightful bloggers (if such can be found) post journal entries on its pages. This will draw “a higher demographic” of readers and thus better online responses to posts, says Mr Perkins. He expects sponsors to put their logos on blog pages just as they display them in conference halls and at golf tournaments. Some firms?including Accenture, KPMG and Microsoft?are already giving it a try. Mr Perkins expects over $2m in sponsorship revenues this year.」

良質のBloggerだけを集めたメンバーBlogを構成し、そこにスポンサーを集めることで、AlwaysOnは今年200万ドルの広告収入を期待しているという。

一方、Scripting NewsのDave Winerは、こうしたAlwaysOnの考え方を強く批判している。

「“Tony doesn't understand what a blog is; he's the opposite of a blogger,”」

「The key attribute that makes a blog a blog and not some ordinary piece of web publishing is amateurism, says Mr Winer: if it is in any way edited, it is not a blog. From this, incidentally, Mr Winer extrapolates that blogging has “the potential for revolution,” democratising and liberating the world.」

要は、AlwaysOnのやろうとしていることはBlogでも何でもない。従来のメディアと同じ。編集の手の入らない膨大なBlogの存在こそが、世界を民主化し解放するのだと。

このDave Winerの批判に対して、AlwaysOnのTony Perkinsは、「“religiously libertarian anarchists with ponytails screaming and yelling”」(ポニーテールをして叫んだりわめいたりしている宗教的自由主義アナキスト連中)はインターネット初期にもたくさん居たが、今はそんなときではなくて、Blog現象を収益に結びつけることをこそ考えるべきだ、と反論している、というところでエコノミストの記事は終わっている。

Tony Perkinsも、エコノミスト誌のような影響力のあるメディアで、こういう中途半端な長さの記事を書かれても困る、と思ったのであろう。AlwaysOnサイト上に、「The Economist on Weblogs」という文章をさっそく書いた。

「To make money in web media, entrepreneurs need to think beyond traditional web advertising. Our goal at AO is to create several revenue streams. Our sponsorship programs include a package of banners, logos, and video ads on the site and e-letter series, as well as special database and site access. Our future revenue plans include offering a premium member subscription service that allows members to build their own classified ads, professional profiles and link to their own personal networks.」

「The other great market condition for web media entrepreneurs is that the cost of building and maintaining a web site has plummeted. New generation sites like AO are fully automated, self-service, and developed using mostly open source software. We really think it is a great time to build new web media brands, particularly because advertisers are looking for new things with which to associate their brands.」

突き詰めて言うと、ウェブメディア構築のコスト構造が変わった(安くなった)から、広告収入を含めて多様な売り上げアイテムを組み合わせれば採算が取れるようになるだろう、今は新しいウェブメディア・ブランドを構築するとき、ということなのだと思う。そういう新しいウェブメディアの1つの目玉として「良質のBloggerのみで構成するメンバーBlog」を置いているわけだ。詳細は原文をどうぞ。

Blogを書いても儲からない理由

さて最後にAlwaysOnのビジネスモデルとBlogを書く側、つまりBloggerとの関係について。

本連載7月30日「Blogを書いてカネを儲けられる時代が来るか?」で、

「皮膚感覚として、「The democratization of publishing」現象は、書く側にとって、カネの匂いが全くしないのである。膨大な情報をスケール大きくアグリゲートする部分には某かの価値が生まれる可能性はあるが、個々の情報発信者にカネは落ちてこないだろう。」

と書いたが、今日ご紹介した記事との関連でいえば、たとえAlwaysOnがウェブメディアとして採算が取れるようになったとして、そしてそれを「良質なBloggerたち」が支えていたとしても、そのBloggerに対しては生計が成り立つような収入が入るはずがない、という意味である。むしろ、AlwaysOnは、膨大な無償の書き込み者 (本業で一流か一流半くらいの仕事をしているゆえの副産物として質の高い情報を発進できるBlogger、つまり書くことによる収入をほとんどあてにしない人たち) の存在を前提としたビジネスモデルを構想しているから、書く側にカネは落ちないことを前提としたビジネスだと言えよう。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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