いつも何気なく使っている「ムーアの法則」という言葉がある。インテル創業者のゴードン・ムーアが昔々予測した半導体進歩の法則通りに、今も半導体の集積密度が上がっているというのは有名な話だ。そのムーアの法則について書かれた最初の論文(Original Paper)をインテルのサイトで読むことができる。インテル創業前、彼がフェアチャイルドにいた頃の1965年に書かれたものだ。
「The future of integrated electronics is the future of electronics itself. The advantages of integration will bring about a proliferation of electronics, pushing this science into many new areas.」
という書き出しで始まるこの論文が、40年近く前に書かれていたということに驚きを禁じえない。読み始めると、もっと最近になって書かれていたものだと錯覚すること、必定であろう。ビジョナリーとはこういう人のことを言う。
興味のある人は、インテルの「ムーアの法則」のページ、「Breaking Barriers to Moore’s Law」のページもあわせてご参照。インテルのサイトは本当に充実している。
ロボット、ナノテク、バイオは30-40年前の半導体と同じような位置付けに今あるのかもしれないが、現代のビジョナリーの一人、サンのビル・ジョイが3年前に書いて物議をかもした「Why the future doesn't need us」という
「From the moment I became involved in the creation of new technologies, their ethical dimensions have concerned me, but it was only in the autumn of 1998 that I became anxiously aware of how great are the dangers facing us in the 21st century.」
という書き出しで始まる悲観的な論考(ウェブ上で11ページあります)は、果たして40年後に、「ジョイの警告」として世に知れ渡ることになるのだろうか。