Pacifica Fundの同僚Tim OrenのBlogを公開することにした。VCがBlogをやるというのは極めて珍しく、いろいろと悩んだのだが、「Let’s see how it goes!」ということでスタートさせた。
2/6のBlogでは、Jeremy Allaireがマクロメディアをやめる話を書いている。
「He is founder of the eponymous software company which created Cold Fusion, and was a development partner of engineering groups managed by myself and fellow VC Bruce MacNaughton during our CompuServe days. Allaire and Cold Fusion were acquired by Macromedia in early 2001. Now two years on (and presumably fully vested and out of his lockups) he's leaving Macromedia to become EIR at a Boston area VC firm. Welcome to the investor side of the table, Jeremy, and I hope the next thing is as cool as the last.」
関わったベンチャーの株式は、一定期間コミットして働いた代償に取得できる(たとえばxx万株のオプションをという約束が契約時にあったとしても、契約のすぐ何ヶ月か後に退社してしまったら、そのxx万株のほんの一部しか所有が確定しない。所有確定する株式数は時間とともに増えていく)のだが、「fully vested」というのは、その約束の期間が満了しているという意味。また「out of his lockups」というのは、買収や株式公開によるexitの直後からある一定期間たたないと株式の現金化ができないのだが、その期間が既に過ぎている、という意味。つまり辞める期は熟していたということだ。
「EIR」というのは、「Entrepreneur in residence」の意味。ベンチャーキャピタルの一員となり、そのベンチャーキャピタルに流れてくる投資案件のすべてまたは大半に目を通す権利を得る。Jeremyにとっては、その中から新しいチャンスを見出して、最も興味があって、最も有望と思えるベンチャーを選び、その会社の経営に参画していくチャンスを得る。ベンチャー世界でトラックレコードのある人たちのみに用意される、次のステップを見つけるための非常においしいポジションである。一方、投資家の立場からも、投資先ベンチャーに経験豊富な経営者をアサインするのは最も重要な仕事の一つなので、両者にとっての利害が一致するわけだ。投資家とベンチャーのミーティングに、EIRは投資家側の一員として参加する。だから、「Welcome to the investor side of the table, Jeremy」なのである。
Timはしゃべるときも書くときも、できる限り簡潔な表現を指向するので(正直にいえば、ときどき困ってしまうことがある)、以上、若干の解説を付け加えた次第。