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ソーシャル検索で本当に検索は便利になるのか?

2011/05/31 02:30
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渡辺隆広

日本でSEOを始めた第一人者として知られるアイレップサーチエンジンマーケティング総合研究所 所長の渡辺隆広氏が、競争の激化する検索市場をビジネス、マーケティング、テクノロジーの各方面から掘り下げます。
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最近はソーシャル検索について色々な場面で尋ねられるので簡単に要約を。

ある人の出身地、誕生日、血液型の情報から、その人のこと全部わかりますか?わかりませんよね、つまりそういうことです。

第1に、ソーシャル検索というのは、検索クエリのインテント(検索意図)を探るためのヒントの1つとしてソーシャルグラフ(人間の相関関係)を使うという話に過ぎません。ソーシャルグラフというデータだけで飛躍的に検索が便利になるか?というと、それは違います。

第2に、ソーシャルグラフという性格のヒントですから、ある場面ではGoogleMicrosoftが主張するように役立ちますが、あらゆる場面で便利かというと、それも違います。

上記2点について、それぞれもう少し詳しく解説を加えます。

検索サービスを優れたものにする、検索のレリバンシー(関連性)を高めるためには、(1) 検索クエリのインテントを正確に把握する、(2) ウェブページの内容を正確に把握する、という2つのチャレンジに取り組む必要があります。

たとえば「渋谷 デート レストラン」くらいのクエリなら、この検索者が何を探しているのか何となく意図を推定できるでしょう。しかし「猫」だと、ネコの画像を探しているのか、ネコを売っているお店を探しているのか、ネコの育て方を探しているのか etc. 色々と考えられるわけです。しかし「猫」この1文字列だけで意図を推定するのは極めて困難です。しかしレリバンシーを改善するには、意図を読み取らなければいけません。

そこで、インテントを把握するために、他の手掛かり・ヒントを使うわけです。たとえば、過去の検索履歴(クエリ、クリックなど)、検索場所(IPアドレスから場所特定)、言語(ブラウザの設定)などです。こうした手掛かりを増やすことで、検索者の意図を適切に把握しようとします。その延長で、じゃぁFacebookやTwitterといったソーシャルネットワークが登場したし、その人間関係使うと実は検索って便利になることあるよね、ということで追加されたヒントがソーシャルグラフという人間関係なわけです。

冒頭の設問で示した通り、別にソーシャルグラフという情報加えただけで飛躍的に検索が便利になるわけではありません。単なる1つのヒントです。ヒントですから、それに基づいて検索結果全部をソーシャルにすることもリスキーすぎます。あなたの友人が好きなものをあなたが好きなわけではないでしょう。友達としてはいい奴でも、そいつの嗜好には興味がないこともあるでしょう。人間関係ゆえ、単純にそれを反映すれば皆がハッピーになるかというと、NO なんですよ。そもそも、Facebook や Twitter でつながっている人の「友人・友達」のレベルって様々なはずです。中には、会社の付き合い的にフォローしたり友達承認した人もいるでしょうし。つまるところ、ソーシャルグラフに基づいて検索結果を決めたら、検索品質やレリバンシーの品質・精度が、その人の人間づきあいによって決まってしまいます。それは問題ですよね。

2点目。週末に出かけるレストランを探す時には、「友人」のレコメンドは参考になるかも知れません。仮に自分が検索した事柄について、友人に詳しい人がいない場合に、Bing - Facebook のCollective IQ のように全ユーザーの LIKES や (今後出てくるであろうGoogle +1による)人気度の値は、もしかしたら参考になるかも知れません。自分が全く知らない分野のブランドについて検索する時、もし誰かが共有・評価したリンクがあれば、それもきっと役立つかも知れません。確かに、ソーシャル検索が便利な場面は存在します。でもいま説明した事例って、みんな、リンクを選択する時の『ヒント」でしかない点に注意して下さい。あなたが大好きな事柄について、他人の評価はどれだけ参考になるでしょうか。

また、もっと話題が普遍的なもの、専門的な知識を要するもの、真偽の判定が必要なもの、etc.. LIKES や +1 のような「カジュアルなフィードバック」というのは、単純に品質的に良いものを示しているわけでもありません。たとえば原発関連の記事は、科学的に妥当・合理的な記事よりも、嘘が交じったセンセーショナルな記事の方が受けが良い(=LIKES されやすい)のですが、それって参考にならないのです。

LIKES の品質やスパムに関する問題は、まだこれからの話で、技術的に対応できる部分もありますが、ちょっと難しいという側面もあります。MicrosoftもGoogleも、これから手探りで改良を進めながら、きっといつの日か皆さんに良い検索サービスを提供できるよう最大限の努力をするはずですが、その道結構険しいんじゃないの、という専門家の意見も少なくないということも理解していただければと思います。

ちなみにGoogle +1 については多くの検索系専門家は、「きっとうまくいかない」という意見が大勢です。なぜそう考えるのかは次回触れたいと思います。


※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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