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安易なドメイン放棄が招く、ブランド毀損リスク - (1) 有効期限が切れたドメインの再利用実態

2010/04/05 14:47
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渡辺隆広

日本でSEOを始めた第一人者として知られるアイレップサーチエンジンマーケティング総合研究所 所長の渡辺隆広氏が、競争の激化する検索市場をビジネス、マーケティング、テクノロジーの各方面から掘り下げます。
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官公庁や政治家、企業による、キャンペーン終了時のドメイン取扱について、明確なルールやポリシーが欠落しているために、問題を引き起こしているケースが増加しています。背景には、こうした期限切れドメインをターゲットにした、SEOの存在があります。3回に分けて、現状と問題点、対策について触れたいと思います。

第1回。かつてキャンペーンや商品ブランドサイトに利用したドメインを放棄した結果、どのように”リサイクル”されているのかについて。

ゲーム公式サイトが出会い系サイトに!?、再利用されるドメイン

皆さんは、ウェブを閲覧していて、以下に挙げるような「とんでもないサイト」に突然訪問した経験はないだろうか?

【事例】
・過去の人気作品の映画について調べようと、映画公式サイトのリンクをクリックしたら美容・ダイエットのページが開いた
・大手電機メーカーの過去のプレスリリースに掲載されていたブランドサイトから、全く無関係の出会い系サイトの申込画面へリンクされていた
・元衆議院議員の公式サイトにアクセスしたつもりが、中国旅行案内サイトだった
・官公庁がかつて主導した、環境問題に関するキャンペーンの公式サイト。そのサイトは国内企業や大学、NPOなどから多くのリンクを獲得した、検索エンジン的に評価が高いサイトだが、そのサイトがなぜか風俗店になっている

有名ゲームタイトルの60%が別サイトに

私が所属する、(株)アイレップ SEM総合研究所では昨年末に、次のような調査を実施した。

コンシューマー向けゲームソフトで過去10年に販売された、いくつかの著名タイトルのうち、当該タイトル用に独自ドメインを取得して公式サイトが開設されたものを対象として、2009年末の状況について調べた。その結果、あるゲームメーカー(A社)に限ると全体の60%近くの所有権が放棄され、うち70%が第三者に渡り全く無関係なサイトへと変わっていた(残り30%は所有者なしの状態)。サイトは、クレジットカードのアフィリエイトサイトであったり、検索エンジンスパム用サイト(たとえばワードサラダ、RSS収集による自動生成など)といった具合だ。

単にコンテンツの内容が入れ替わるだけならともかく、こうした事例では次の問題を含んでいる。第1に、所有権が移転されコンテンツが入れ替わっているにもかかわらず、かつての公式サイトの名称や関連キーワードで当該サイトが上位に表示されてしまうことだ。

たとえば、メーカーA社が「xyz」という商品ブランドを同名の独自ドメインで展開していたとしよう。5年が経過し、同商品の扱いが終了したことでドメインを放棄し、それが第三者に取得されて出会い系に代わったとしよう。しかし、その出会い系サイトは商品ブランド「xyz」でしっかりと1位に表示されてしまうのだ。つまり、先にあげた映画公式サイトの例であれば、その第三者が悪意を持ち、かつての映画名で上位に表示されるようにほんの少し工夫すると、映画タイトルのキーワードで美容・ダイエットサイトに誘導することが可能になる。

実際、これは2009年春の時点で某検索エンジンが対策済みであるが、有名ホテルの名称で検索すると、同ホテルの名前が入った.co.jpドメインでありながら、中身が旅行アフィリエイトというサイトが検索上位に継続的に掲載されていたケースもある。

第2に、こうしたブランドサイトは、企業としてはその商品・サービスが終了・廃止となったためにドメインを放棄したのであろうが、過去にそれを発表したプレスリリースやその話題を取り上げたメディアの記事はインターネット上に存在しており、きちんとリンクが張られているということだ。

今回調査対象としたゲーム業界の場合、過去のプラットフォーム、たとえば PSやNINTENDO 64、ゲームキューブなどで展開されたゲームタイトルの公式サイトを閉鎖すること自体はやむを得ないだろう。

しかし、ドメインを自社で保有し続けずに放棄しながら、一方で同タイトルや続編タイトルのNintendo DSやWii、PSP向けのソフトを発売した結果、そのタイトル名で検索すると、所有者も中身もすっかり入れ替わった公式サイトが検索結果に表示されてしまっている。あるいは過去のプレスリリースが検索にヒットするのだが、そこを経由して異なるサイトに誘導してしまっている問題を、メーカーは認識すらしていないだろうし、ドメインの契約継続段階においてそうしたリスクすら考えていなかったであろう。

企業的には商品やサービスの寿命は終わったかもしれないが、インターネット上にはそれらに言及・リンクした多数のページが残されているのであり、何らかの理由で興味を持ったユーザを関係ないサイトに誘導し続けている。後述するように、デジタル資産的価値や放棄した際のリスクを検討したうえでドメインの継続契約または放棄の判断をすべきである。

SEOポイズニングに利用されたケースはなし

今回の調査では、フィッシングサイトやウイルスを仕込んだサイトなど、悪意ある攻撃を行うサイトに変貌していたケースは確認できなかった。しかし、 (1) かつての所有者が安易にドメインの契約継続をせずに放棄する、(2) 比較的高い評価を有する、かつての公式サイト系ドメインを取得して、不正に検索ランキング上位を狙う一部の国内ブラックハット系SEOの存在、(3) SEO的に価値が高いドメイン販売を行う事業者の存在、といった現状を考慮すると、海外では多数の事例がある、かつての公式ドメインを用いた攻撃も増加してくると予想される。

次回は、なぜドメインが再利用されるのかについて、その背景を「SEO」「オールドドメイン(中古ドメイン)」をキーワードについて解説する。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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