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検索エンジンでの「見つけやすさ」指標で見る業界別SEOトレンド

2008/09/12 16:36
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渡辺隆広

日本でSEOを始めた第一人者として知られるアイレップサーチエンジンマーケティング総合研究所 所長の渡辺隆広氏が、競争の激化する検索市場をビジネス、マーケティング、テクノロジーの各方面から掘り下げます。
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CNET主催ではないのですが、9月12日に開催されたMarkeZine Day 2008にての講演「検索エンジンマーケティング 最新事情 2009」にて使用した資料の一部を紹介しつつ、時間の都合上、説明をはしょった部分含めて補足解説をしたいと思います。講演では5つの業界を紹介したのですが、ここでは2つを取り上げます。

 「自然検索によるリーチ率」と題したこのグラフは、業界・業種ごとの主要企業のウェブサイトを対象として、どの程度、検索エンジン(Google、Yahoo!)に対応できているかを数値化して表したものです。縦軸がスコア、横軸が時間を表していますが、ざっくり説明すると「検索エンジンでの見つけやすさ(Findability あるいは Visibility と呼ばれる指標)」を数値で示しています。スコアが高いほど、購買行動における一連の検索セッションにおいて、消費者との接触に成功している(検索上位に該当企業のリンクをよく見る)ということになります。

 たとえば、私たちは賢いショッピングをするためにアクションに至るまでにあちこちのサイトで情報比較を行ったりレビューを閲覧したりして、意志決定を行います。この過程において検索を何度も繰り返すため、あるコンバージョンが発生した時の直前の検索を遡ると「キーワードA→キーワードE→キーワードZ→コンバージョン」といったことは多々あります。この時、リーチ率のスコアが高い企業は、キーワードA、E、Zいずれにおいても検索上位に表示されている確率が高いことを示します(このケースで、A、E、Zいずれも1位に表示された場合、スコアは最高点(割合なら100%)となる)。

図1

図1のグラフはある業界のeコマースサイトを対象としたものですが、一番上の75%前後を推移している企業はAmazon.co.jpです。書籍やDVDなどタイトルで検索すると大抵の場合、上位で同社のリンクを目にするはずです。検索セッションにおける接触割合を高めることは、オンラインにおけるブランド認知や信頼感の獲得につながるため、コンバージョンに好影響を与える1つの要因となります。

また、時間経過の推移とともにスコアが上昇している企業は、SEOを内部・外部バランスよく実施していることを示しています。逆に、時間経過とともに低下している企業は、SEOを実施していない、あるいは実施していたが施策が不適切などの理由によりアルゴリズム更新の影響を受けているものと考えられます。

なお、本分析は、「オンラインで発信する情報が、適切なタイミング(=検索)で適切なユーザーに伝達することに成功しているか?」と「SEOが”リンク集め”でなく”最適化”になっているか?」を評価するためのものです。スコアが高い企業ほど売上が高いというわけではありません。

 前置きは以上にして、グラフを解説します。図1は先ほど述べた通り、書籍のeコマースサイトを対象に分析したものです。商品名を検索クエリにおいて、検索上位にリンクを提示することで消費者との接触に成功しているか?を数値化したものですが、皆さん感覚で何となく「Amazon.co.jpのリンクをよく見る」ということがわかる通り、数値化しても割合で75%前後(ピンク色のライン)、つまり4回(4種類のタイトル)を検索したら3回以上はAmazon.co.jpへのリンクを目にしていることを表しています。この業界では他社もSEOを実施しているのですが、グローバルで各国展開するAmazonのスケールメリット、そしてAPI開放等を要因として幅広くAmazonが利用されているため、この通りリーチ率において大きく差が出ています。

 どの企業もAmazon.co.jpレベルまで到達できなかったわけではありません。このグラフは2008年3月からの半年分ですが、2年のスパンで見るとAmazon.co.jpに肉薄している企業が1社だけありました。しかし、サイト運営の失敗(おそらくSEOの理解が乏しかったと考えられる)により、リンクというデジタル資産を放棄してしまったため、リーチ率で30%以上も下落してしまい、現在も低下し続けているという結果(つまり、全然検索結果にヒットしない状態)になっています。

リンクというデジタル資産は基本的に蓄積されるものですから、時間の経過とともに自然リンクが増える限り、その資産は増加するはずであり、従って検索エンジンからの流入量が増えるか横ばいになることはあっても、大幅下落というのは通常ありえません。特に今日の検索エンジンはリンク重視のアルゴリズムですから、検索ヒット率が大幅低下することはあり得ないはずなのです。しかし、それを放棄するという根本的なミスをしてしまったため、こうした悲しい結末となっています。

図2
 

次に図2ですが、こちらはBtoCのとある商品の開発企業を対象にしたものです。面白いことに、世界市場における売上シェア1位と2位の企業と、本グラフにおける1位と2位は一致しています。3位の企業は低品質なリンク集めにかたよったことと、本業界ではアフタサポートにおけるキーワードがロングテールになっているにも関わらず対策を行ってきたことに起因します。

このグラフは各業界におけるSEOの実施状況をマクロで捉えるためのものですが、ここに、各企業のSEO手法などの定性情報を加えると、SEOが上手な業界・下手な業界、手法によって長期的な誘導コスト(CPC)にどれだけ影響があるのか等色々と見えてきます。続きは次回。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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