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百度、本気で日本の検索エンジン市場に参入する けど

2008/01/24 17:28
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渡辺隆広

日本でSEOを始めた第一人者として知られるアイレップサーチエンジンマーケティング総合研究所 所長の渡辺隆広氏が、競争の激化する検索市場をビジネス、マーケティング、テクノロジーの各方面から掘り下げます。
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1月23日に中国最大手の検索エンジン、百度(baidu)が日本で検索サービスを本格開始しました(参考記事:中国の検索大手「Baidu」、日本で本格サービス)。ブロガーを集めた意見交換会に参加させていただいたのですが、時間の都合で発言せずに途中退出してしまったので、言えなかったことも含めて、できるだけ率直な意見を書いてみます。

とりあえず、「足あとがパンダだった」ことを知りました。百度が日本市場で本気に取り組むんだ、その意気込みは伝わりました。

でも実際、「セカンドサーチエンジン」という位置づけでいる限り、日本市場攻略は厳しいんじゃないかな。GoogleはYahoo!の2番手でいいなんて意識で日本に参入してないでしょう。

1点目。百度が発表した、日本のユーザー意識調査で、今後別の検索サイトに乗り換える可能性があると回答したのが51.8%、どのような要素があれば検索サイトを乗り換えるかに86.3%が「高い検索精度」と回答しているけれども、そりゃ乗り換えるよ、私も。だけど、2000年前後の時代ならともかく、この時代において、果たして一般のインターネットユーザーが体感できるレベルの「検索精度の違い」を実感できる、そんな検索エンジンを世の中に送り出すことが可能でしょうか?

例えば、白黒テレビと液晶テレビを並べてどちらがいいかと問えば、ほとんどの人は両者の機能の違いを認識できるでしょう。でもソニーとシャープの液晶テレビの違い(画質とか)がわかる人って限られるのでは?。検索の話に戻すと、GoogleとYahoo!の検索精度の違いを体感できる人はどれだけいるのか。Googleの検索結果画面にYahoo!ロゴをはめ込んで「これYahoo!の検索結果」といっても、実は中身がGoogleだと認識できる人って少ないです。

Googleが登場した頃、なぜそれがすごかったかというと、ブランド名や会社名で検索すると該当公式サイトが1位に表示されたこと(当時はアダルトサイトが検索結果を占拠していた)ちょっとニッチな情報を検索しようと思っても他の検索エンジンよりはるかに高い精度で関連ページを出してくれる(当時はゼロ結果だったり)など、体感的にこれはすごい、他の人に薦めようと思えるくらいのレベルのサービスを提供できていたから。

質問形式で尋ねられれば「検索精度がいいものがあれば乗り換えるよ」といっても、現実的にそういうことはないんじゃないでしょうか。だから、検索サイトの乗換えを促すことは、たかが1クリックで切り替えられるけれども、その1クリックは果てしなく押させるのが難しいと思う。

2点目。これは他の参加者がブログで書いているけれども、ユニークな点が何もない。普通過ぎる。よく言えばオーソドックスにまとまってる、でも使ってみたい!何かすごそうという期待感が全く感じられません。MP3じゃなくてもいいので、注目されるようなちょっとすごい機能をつけないと、そっぽむかれると思います。じゃぁ、何をすればいいかですがそれは難しい、それがわかってるならきっと、Ask.jpやマーズフラッグはもっと日本で成功しているはず。(Googleは検索以外の話題でも常にメディアに出てくるってとこが他社と違う)

# たとえ革新的な検索技術、サービスが開発できるとしても、それが世の中に出てくる前にGoogleが先に実現してしまいそう。例えばGoogleは、同じ検索キーワードで検索しても朝と夜で検索結果が変わる場合があります。これはネット上のニュース記事やブログ記事で特定期間における頻出度が急増した時、それを話題性ありとみなして検索結果に最新記事を表示する仕組みを持っている故ですが、仕組みで実現してるのはGoogleだけですよね(Yahoo!はボックスでニュース記事出すけど)。

3点目。テクニカルな観点で述べると、百度の検索結果は悪くないです。意見交換会の最中に様々なクエリを投げて検索結果を眺めていたけれども、検索結果の画面がGoogleよりの作り方になっています(GoogleとYahoo!の検索結果の作り方の違いについては、後ほど「レレバンシー(Relevancy)の考え方は検索エンジンで違う」という内容のエントリーを書く予定なので、後日参照してほしい)。

"Google寄り"というのは、Yahoo!のように検索クエリに対応する公式サイトや総合サイトを上位に表示するのではなくて、当該クエリに対する様々な角度の情報を、様々なソースから表示するものです。つまり、特定メーカーのデジタルカメラの情報を検索した時に、デジカメが購入できるお店やそのニュースリリース、クチコミなど多様な情報が出てくるような検索結果を作っているのかなと、そんな印象です。

これまで日本で検索サービスを開始したどの会社よりも、現時点での百度の完成度は比較的高いかなと思います。かつて某社が日本で検索サービスを開始した時、「これアルファ版じゃないの?」と思うくらいひどいものがありましたが、百度のそれは、なかなか良い感じです。

まとめ。繰り返すけれど残念ながら今日のインターネットユーザーに検索精度の違いを体感的に理解してもらうのは厳しい。中国では検索精度がいい、ユーザーの立場にたってサービスを開発した結果支持されたかもしれないけど、それは検索技術が未発達だった"7年前だったから故"だと思う。それなりに検索技術が発達して、Yahoo! Googleがそれなりの精度の検索結果を表示できる今、同じ手順じゃユーザーは振り向いてくれないでしょう。それ以前に、百度を使おうと思わないです。

百度を使ってもらうためには、私達ユーザーに理由付けが必要。百度のどこがいい?何が便利?他と比べて何が優れている?百度がその理由をわかりやすくユーザーに提示することが必要ではないでしょうか。

厳しいですが、検索業界で働く立場の人間として率直に述べさせて頂きました > 百度の皆様

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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