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インセンティブがもらえるならYahoo! Searchを使いますか? (2/2)

2006/02/23 20:15
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渡辺隆広

日本でSEOを始めた第一人者として知られるアイレップサーチエンジンマーケティング総合研究所 所長の渡辺隆広氏が、競争の激化する検索市場をビジネス、マーケティング、テクノロジーの各方面から掘り下げます。
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米Yahoo!が検索エンジン利用者にインセンティブを与える検討をしているが、その後米Microsoftからも同様に利用者に賞品を提供するMSN Search and Winというキャンペーンを開始している。こちらは検索をするとその場でプラズマHDTVやデジタルカメラなどの豪華商品が当たるという話だ。

この2社に限らず、以前から検索をすると懸賞に参加できるとか、賞品購入などに利用できるポイントを付与するなど検索ユーザーを増やすためにこうした手段を用いている会社はたくさんある。昨年末にも米AmazonのA9が「A9 Instant Reward」というプロモーションを展開した。

まだ世間的に知名度もない新興の検索会社ならまだしも、Yahoo!やMicrosoftといった「三大検索エンジン」に数えられる会社が実施して、どれだけの効果を見込めるだろうか。こと Google 対 Yahoo!、Microsoft という関係で言えば、短期的に見ればアクセス数やクエリ数の増加は見込めても中長期的なユーザーの獲得には結びつかないし、広告媒体としての魅力も低下してしまうことを危惧している。理由は次の通りだ。

(1) ユーザーの総検索時間/月に、インセンティブを目的とした検索時間が増えるだけ

例えばGoogleを日常的に利用しているユーザーがいたとしよう。Yahoo!が提示した特典内容に魅力を感じたとする。すると、日常的にはGoogleをそのまま利用しつつ、例えば仕事の合間や自宅に帰った後に「インセンティブ目的」に検索をするだけ - こんな事態が考えられる。メールやニュースなどYahoo!のコンテンツは頻繁に利用していても、検索する時にはGoogleに移動してしまうユーザーが少なくないように、検索行為はそれを無意識に、習慣化して行われている。さらに現Googleユーザーであれば、検索結果の品質云々よりもGoogleに対するブランドロイアリティが高くてそれを利用していることも多分にあるわけで、相応に大きなメリットがない限りGoogleから離れて検索エンジンを切り替えるまでには至らないのではないだろうか。結局、特典をもらうための最低条件を満たすためだけに検索エンジンを利用するということになりかねない。

(2) 「検索自体の目的化」による検索ユーザーの品質低下

インセンティブをもらうことを目的としたユーザーが実行する検索は、何らかの情報を探すことが目的ではなく、検索すること自体が目的化している。こうしたユーザーによる検索クエリが増加したところで、検索連動型広告を出稿する企業はコンバージョンを期待するだろうか?検索連動型広告が効果的であるといわれるのは、情報・商品・サービスを探し求めているユーザーに、広告を、広告と意識させずに検索結果画面に提示できることに意義があるのであり、インセンティブ提供により検索ユーザーの性質が変化してしまえば期待する効果はガラリと変わってしまう。検索クエリの増加により広告収入の増加も見込んでいるのであれば、結局首を絞めてしまわないだろうか。

(3) 「Googleが表示する検索結果画面」

レリバンシー(検索結果の適合性)という観点でいえば、3大検索エンジンにおいて大差はないというサーチの専門家は多いし、私も大差はないと考えている。しかし、ここに「ブランド」がかかわってくると、「実際の検索品質」と「私たちが認識している検索品質」に差が出てくる。つまり、画面上にGoogleブランド(あるいはYahoo!やMSNブランド)が表示されることで、その検索品質が現実以上に良いものと捉えられる傾向があるからだ。こうした調査は米国で何度か行われており、ブランドが与える影響が確認できている(ブランドが検索品質にどんな影響を与えているかについては、後日ここで詳しく取り上げたい)。各社ともに自社の検索品質は他社に決して劣っておらず、ユーザーが実際に利用すれば体感してもらえると考えているかもしれない。しかし問題なのは、一般のユーザーが検索各社の性能をどのように捉えているかであり、例えばGoogleが他よりもずっと良い検索結果を提供してくれると認識しているユーザーが、わざわざ検索性能が劣る(劣っていると考えている)検索エンジンをメインにしてくれるとも思えない。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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