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Where2.0、無線LANから妖怪まで場所・空間をアンプします

2009/05/19 11:49
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末吉隆彦

リアルとバーチャルの界面がおもしろい、既存領域をひょいとまたいでつながると新しいことが生まれるし、わくわく、どきどきします。そんな人たちと会ったり、体験したネタを紹介していければと思います。
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昨年、オライリー・メディア主催のWhere2.0 (Web2.0カンファレンスのロケーション技術・サービス版)にて、「ロケーション・アンプ for 山手線」(メディアアーティストのIAMAS赤松さんとのコラボレーション)というiPod touch上のアプリ作品を発表、デモ展示しましたが、早いもので、あれからちょうど1年です。

「ロケー ション・アンプ」は、「場所・空間をIT/位置情報技術で増幅(アンプ)する!」というコンセプトの情報配信フレームワーク。その場所・空間ならではのユニークな位置情報コンテンツとユーザー体験を提供しようと、この1年間、さまざまな事例に取り組み、試行錯誤してまいりました。

そして、今年もKoozytは、5/19-21サンノゼで開催されるWhere2.0 2009のデモ展示に採択されこのフレームワークの発展系を展示してきます。

ちょうどWhere2.0に間に合う形での公開になったのが、東京(大江戸)の妖怪伝承をテーマに、民俗学者である久保田裕道さん監修のもと、開発したiPhone/iPod touch用アプリケーション「大江戸妖怪集(Oedo Yokai)」(5/15発売開始)

今年のWhere2.0では、この1年間の「ロケーション・アンプ」に関する取り組み事例を紹介するとともに、この民俗学とIT/位置情報コラボとでもいいましょうか、「大江戸妖怪集」を持って、Where2.0に乗り込んできます。(さてさて、USロケーションサービス業界の人々に和文化は通用するでしょうか?)

そこで、なんでKoozytが妖怪!?と思われることでしょうが・・・

妖怪もその場ならではの位置情報なんです!

・・・と妖怪を熱く語りだす前に、この1年間に取り組んできた位置情報の活用事例を振り返ってみたいと思います。

■ 公衆無線LAN接続そのものをアンプする

これまでPC中心だった公衆無線LAN業界も、スマートフォンや携帯ゲーム機、さまざまなCE機器が登場してくることで、活性化が期待されており、他の通信方法と組み合わせることで、ワイヤレスブロードバンドの利用シーンそのものにも変化が起きようとしています。

2008 年7月、トリプレットゲートさんとMac版のワイヤレスゲート簡単接続ツール「WirelessGate Connection for MacOS X」を共同開発、公開しました。2009年3月には、そのiPhone/iPod touch版となる「WGConnect」が公開されました。Koozytは、PlaceEngine 技術の提供およびアプリケーションのデザイン、開発を共に担当しました。このアプリケーションは、PlaceEngineを使ってオフライン時(ネット接続前)に位置を取得し、周囲の公衆無線LANスポットの位置を検索、レーダー風UIで表示し、そして、ボタン一発で簡単接続という使い方で、 WirelessGateモバイラーにとっては、基本となる便利ツールと思います。


[WGConnect]事例紹介

また2009年3月、HOTSPOTサービスを展開しているNTTコミュニケーションズさんと iPod touch/iPhone用アプリ「ここ探!」を共同開発しました。ここでは、ホットスポットに接続するたびにスタンプラリーに見立てたスタンプ帳に履歴が溜まっていきます。さらに、キャンペーン期間中には、HOTSPOTに接続するたびに、ジグゾーパズルのピースが降ってきて、パズルを完成させるとキャンペーンに応募できるという仕組みを提案しました。


[ここ探!]事例紹介

共にユーザーが公衆無線LANスポットに接続するタイミングをデザインしたアプリケーションとなりますが、このタイミングというのは、下記のような様々な視点におけるビジネスニーズがマッチする、まさにその瞬間でもあるわけです。

1. 出先で、ブロードバンドワイヤレス環境を手軽に手に入れたい、お得な情報をゲットしたいなどのさまざまなユーザーニーズ
2.場所・空間に付加価値をつけ集客したいエリアオーナーのニーズ
3.公衆無線 LANサービスの会員を増やしたい、付加価値提供したいサービス事業者ニーズ

しかしながら、ユーザーは、(自宅、あるいは会社には)無線LAN端末は持っているものの、公衆無線LAN接続して何ができるのか、また、接続したくてもどこに接続スポットがあるのか分からないなど、まだまだ潜在ニーズを十分に拾い上げられていない現状もあります。

ネット接続するその瞬間に至るまでのプロセスやその直後は、(常時接続当たり前のネット社会では逆説的ですが)場所・空間に依存したネットインフラである公衆無線LANだからこそ、まだまだ掘り下げてデザイン、付加価値提供していくことのできる大きなテーマになるのではないかと思うのです。特に、今後さまざまなワイヤレスブロードバンド通信手段(Wi-Fi,3G, WiMax, LTE, ...)や、それらがハイブリッド、シームレスに使えるようなデバイス(iPhoneでは、3G+Wi-Fi)が増えてくると、ますます場所・空間に依存したネットインフラという特性は顕著になっていくのではないかと思われます。

 ■ エリアイノベーション、 丸の内をアンプする

昨年7月からワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)さんと「ロケーション・アンプ for 横浜」「ロケーション・アンプ for ROBO_JAPAN」など様々なトライアルを行ってきたことは、以前のエントリーでもいくつか紹介してきました。その発展として、2009年4月に、Wi2 300 公衆無線LANサービスを便利にするエリアイノベーションの一環として位置連動情報サービスの基盤技術を共同開発し丸の内での位置連動型サービスを実現しました。具体的には、下記の2つのサービスです。

1. 丸ビル・新丸ビル・OAZOの3つのビル内に、Wi2 アクセスポイント(AP)が敷設され、その屋内における位置情報を取得し、店舗情報を表示するという位置連動型サービス
2. 丸の内シャトルバスがリアルタイムにどこを走っているかがすぐにわかる「Wi2バス案内」サービス。シャトルバスの位置測位については、高層ビルが集積した都市部では、GPSでは正しく位置を捕捉できないエリアも多く、GPSを無線LAN測位が補う形のハイブリッド版PlaceEngineを用いて実現されています。


[Wi2バス案内]事例紹介

■ イベント・キャンペーン会場をアンプする

2009年2月、セカイカメラのワールドプレビューイベントの事例は前回エントリーでも触れましたが、イベント会場内におけるWi-Fi接続+PlaceEngine位置情報インフラの組み合わせという観点では、ソフトバンクテレコムさんと共同で実現した事例になります。代々木体育館に約25個程度のAPを設置しましたが、およそ20個は、ソフトバンクテレコムのAP(インターネットへ抜けられるバックボーンあり)に対して、5個程度の位置測位専用のPlaceEngine用AP(電源だけ接続)を追加調整した構成でした。これにより、セカイカメラの iPhone上でもデモは、3G側ではなくWi-Fi側の通信を利用し、イベントをこなすことが可能となりました。PlaceEngineの屋内・イベントキャンペーンソリューションにより、既存の施設、建物が最先端の位置情報・ARサービス基盤に早変わりすることができるのです。

 

 屋内・イベント・キャンペーン向けPlaceEngineソリューション事例

 

いずれもこの1年間で途についたばかりの事例で、公開できるものを紹介しましたが、どのように場所・空間をIT/位置情報でアンプすればよいのかは常に試行錯誤中で、それらは個々のIT/位置情報サービスやアプリケーション、端末、通信インフラそれぞれ単独では完結しません。いわゆるユビキタスやコンテキストアウェアなコンピューティングとして語られることの多い領域ですが、実際には、リアルな商業施設、公共エリア、建築や都市デザインなど場所・空間を扱う方々とオープン環境を前提に、トータルなユーザー体験、デザインに踏み込んでいかないとならない奥深いテーマばかりです。チャレンジングな領域ですが、それだけにやりがいもあります。

■ 今年のWhere2.0では、なぜ妖怪!?

さてさて、話を最初に戻して、妖怪の話です。

昨年の「ロケーション・アンプ for 山手線」に続き、次は、大江戸線を取り上げたい、どう大江戸線をアンプしようかしら?という話はKoozyt内部では出ていました。

5/15に発売開始した「大江戸妖怪集」アプリは東京は都営大江戸線の各駅が立地する場所ゆかりの妖怪を本形式で一冊にまとめたiPhone/iPod touch用の有料アプリケーションです。妖怪のコレクション機能がついており、根付風の妖怪アイテムを集めていくことができます。(日本語・英語対応)


妖怪伝承x大江戸をアンプする「大江戸妖怪集」

妖怪コンテンツの監修をお願いした民俗学者の久保田裕道さんは、地域に古くから根ざした「祭り」や「芸能」「年中行事」などのフィールドワークを通して民間信仰や民俗芸能の研究を専門とされております。久保田さんと知り合ったのは、とある地域イベントを通してなのですが(ここらへんはまた別途機会があれば)、お互いに意見交換する中で、「妖怪は、特定の場所・空間にしか現れない。しかも姿を見せる対象を限定しない」と聞いたことから、妖怪と位置情報を組み合わせたアプリケーションを開発したいという思いが強くなっていきました。民俗学とITという一見かけ離れた領域の分野をデジタルガジェット上で組み合わす新提案は、まさに東京という場所・空間を時間軸をまたがり、妖怪でアンプするという作品に仕上がったと考えています。(なにやら言葉で説明すると自分でもよくわからなくなってきてますがw)ライトな妖怪好きにもゲーム的な感覚で、そしてコアな妖怪ファンの方々にもニヤリと楽しんでもらえる、更には海外の人にも、日本の妖怪に興味を持ってもらえるような作品を目指しました。

初回バージョンには間に合いませんでしたが、今後のバージョンではGPSに加えPlaceEngineを利用して、場所に応じて自動的に妖怪が召喚される機能の提供も検討していく予定です。(Where2.0デモでは、PlaceEngine連携の試作版を予定)

今回のコラボレーションについて久保田さんがコメントを寄せてくれているので引用します:
「妖怪伝承をデジタルガジェットで!というコンセプトを聞いて、これはおもしろいなと思いました。もともと妖怪というのは、どこに出現するのか決まっているとされていて、人間の方でもその場所に近づくと、ぴぴっと何かを感じたものです。ところが急激な時代の変貌によって、そうした場所が消えていってしまいました。同時に妖怪たちも消えかけていたわけですが、それが最新のデジタル技術によって甦ろうとしているのです。この国際都市Tokyoにも、かつてたくさんの妖怪たちがひしめいていたことが、身を以て実感できるでしょう!」

ということで、妖怪もその場ならではの位置情報なんです!

#ぜひお買い求めくださいませ(_o_)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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