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新聞の「英外務省が東京の英国民に退避検討勧告」記事は限りなくデマに近い

2011/03/18 09:30
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佐々木俊尚

現役ジャーナリストが、長年培ってきた取材経験などを通して、IT業界のビジネス動向から事件まで、その真相をえぐり出します。
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   日経新聞が以下のような内容の記事を掲載していますが、これはかなりデマに近い内容です。デマであるというのが言い過ぎかもしれませんが、少なくとも誇張しすぎの酷い報道です。誤った理解をしてはいけません。


「英外務省は16日、福島第1原発の事故を受け、東京と東京以北に住む英国人に退避を検討するよう勧告を出した」


 確かに英国政府は英国国民の旅行者ならびに日本滞在者への勧告の中で、「東京と東京以北に住む英国人に退避を検討するよう」と書いています。しかし以下の全訳を読んでいただければ、その待避検討は、

(1)「勧告」(advice)ではなく、「検討すべきである」(should consider)としているだけ。
(2) 原発事故の放射能のためだけでなく、インフラが破壊されていることが理由。

 という内容であることがわかります。さらに続く部分では、

「日本の当局によって設定されている立ち入り禁止区域の外側では、人々が留意すべき健康上の問題はない」
「最悪のケースであっても、福島原発から半径80キロ以上離れた場所での人体の健康への影響は、屋内に留まるなどの予防措置で十分に対応できると考えている」

 と書かれています。心配はありません。

 これを「待避検討勧告」と記事化するマスメディアは、いったい何を煽っているのでしょうか。

 以下、全訳です。


英国政府が3月17日に行った、日本への旅行についての勧告の内容。

■3月11日の地震とその後の津波による被害のため、東京と日本北東部への不要な旅行は避けるよう勧告する。

■福島の原発で進行している事態と、物資の供給や交通、通信、電力などその他インフラの破壊により、東京と東京北部に現在滞在してる英国人はそのエリアから立ち去ることを検討すべきである。

■この助言は、東京から遠く離れた場所にある北海道は含まれない。状況を精査しているところだ。

■英国のチーフ・サイエンティフィック・オフィサーの最新の勧告は、次のようなものだ。日本の当局によって設定されている立ち入り禁止区域の外側では、人々が留意すべき健康上の問題はない。この勧告についてはつねに精査中。

■チーフ・サイエンティフィック・オフィサーが議長を務める緊急事態科学助言グループ(SAGE)は、考えられる最悪のシナリオを検討している。最悪のケースであっても、福島原発から半径80キロ以上離れた場所での人体の健康への影響は、屋内に留まるなどの予防措置で十分に対応できると考えている。

■追加の予防措置として、英国国民は福島原発の半径80キロよりも遠くに留まっておくこと勧告する。これは米国政府が米国市民に対して行っている勧告と同じものだ。

■原発から80キロ圏内にいる英国国民は、そのエリアから離れるか、移動が不可能な場合は屋内に待避しておくことを勧告する。その場合はエマージェンシーホットラインに電話して、あなたの所在情報を伝えておいてほしい。

 なお私はこういう公文書を訳した経験が皆無なので、間違っているところがあるかもしれません。もしお気づきの点があれば、sasaki@pressa.jpもしくはTwitterアカウント @sasakitoshinao までご指摘いただければ幸いです。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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