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落ちゲーのように民主主義を作る

2007/10/15 16:22
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佐々木俊尚

現役ジャーナリストが、長年培ってきた取材経験などを通して、IT業界のビジネス動向から事件まで、その真相をえぐり出します。
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鈴木健さんを取材した

 お隣でブログ『天命反転生活日記』を書いている鈴木健さんというと、伝播投資貨幣PICSYやGLOCOMのプロジェクト「ised」(情報社会の倫理と設計についての学際的研究)などアカデミックな舞台での活動が印象的だ。その彼が最近、『究極の会議』という本を出した。どうして「会議」なんだろう?と不思議に思い、月刊誌『サイゾー』の連載『日本型ニューウェブ宣言』で取材した。

 鈴木さんの話には、非常にインスパイアされた。記事の内容は10月18日発売のサイゾー11月号を読んでいただければと思うが、私が鈴木さんの話で最も印象的だったのは、「会議=コラボレーションであり、コラボレーションこそが今後の人間関係の枠組みを変える最も重要なキーワードである」という考え方だった。彼が語ったのは、おおむね次のような趣旨の物語である。(私が違約したものなので、鈴木さんの本来の意図とは若干ずれてしまっている部分はあるかも知れない、ご容赦を)

会議はコラボレーションである

 ――コミュニケーションには同期的なものと非同期的なものがあって、その間を結ぶ中間的なコミュニケーションの方法はまだ開発されていない。たとえばToDoは非同期で、会議は同期だが、会議からToDoにデータが渡され、逆にToDoから会議にフィードバックするような中間的なコミュニケーションがきちんと確立していない。

 しかし会議は変わりうる。従来の会議の中で、非同期的な部分はインターネットの世界に押し込んでしまう。同期的な部分もだんだんとネットの世界へと移行させていく。そうやって会議のスタイルが変わり、議事録ドリブン(議事録作成を目的として議事を進行させる会議のスタイル)になれば、非同期の部分が増えていく。コラボレーション志向の会議であれば、同期の部分は徐々に不要になって、最終的に会議室も不要になってくるはずだ。

 そういうふうに変化した会議は、すでに『会議』という言葉で呼ぶのにはふさわしくないものになり、『会議』という言葉は消滅しているかもしれない。つまりは『会議』から『コラボレーション』への進化である。

 今の日本社会では「会議は会わないとダメ」と言われているが、それは会わないと何も進まない会議のスタイルに問題があるわけであって、会うという行為は本来は会議にとっては本質的なものではない。「会う」という行為を前提にした会議のアーキテクチャーを作っているから、そのアーキテクチャーが「会う」という行為に引きずられて構築されてしまっているだけだ。「会わない」ということを前提にした新たな会議のアーキテクチャーを生み出せばよいのだ。

コラボレーションは民主主義のプラットフォームである

 この会議=コラボレーションという考え方は、企業内部だけでなく、民主主義の根幹を考えることにもつながる。会議の同期−非同期と同じように、民主主義にも同期−非同期がある。国民投票のような直接民主制は同期で、間接民主制は投票による代表制が介在する非同期的なシステムだ。現在の政治の問題は、この2つがうまく接続されていないことにある。両者をなめらかにつなぐ方法を、会議=コラボレーションの考え方を敷衍することによってうまく生み出せないものか。

 たとえば間接民主制で投票し、議員に委任するというシステムは、スタティック(静的)である。スタティックであるがゆえに硬直化して、「議員は私の意見を代弁していないではないか」という問題が生じる。これをもっと細かいイシューごとに委任できるようにするとか、あるいはイシューによって直接投票する(直接民主制)というのは、ダイナミック(動的)なアプローチだ。しかしダイナミックなアプローチには、振り幅が大きくなってしまったり、衆愚化してしまったりといった問題も生じてしまう。

 これらの2つのアプローチをうまく接続させ、さらにそのプロセスを可視化できるようなコラボレーション・インターフェイスはないものだろうか。たとえばテトリスのような落ちゲー的ビジュアルインターフェイスを使った民主主義って、実現できないものだろうかとここ最近考えている――。

 鈴木健さんの話は、以上のようなものだった。落ちゲーのような民主主義のインターフェイスという発想は、非常に面白い。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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