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インベスター・リレーションズ活動と知的資産

2006/02/13 11:36
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 今回はインベスター・リレーションズ(IR:Investor Relations)活動と知的資産についてです。
CNETを見られている多くは技術系の方かと思われますので、はじめにIR活動について説明をして、その後、知的資産やIR活動における知的資産について説明をします。

IR活動とは

 インターネットで企業のホームページを見てみると、「株主・投資家の皆様へ」というページが企業情報等にあるのを見たことがあるかと思います。このページで記号が開示しているのがIR情報です。IRについて、日本インベスター・リレーションズ協議会(https://www.jira.or.jp/)では以下のように定義しています。

 「IR(インベスター・リレーションズ)とは、企業が株主や投資家に対し、投資判断に必要な企業情報を、適時、公平、継続して提供する活動のことをいいます。企業はIR活動によって資本市場で適切な評価を受け、資金調達などの戦略につなげることができます。株主・投資家も、情報を効率よく集めることができるようになります。」

 投資判断に必要な企業情報として有価証券報告書等を思い浮かべますが、これら財務情報は制度として義務づけられた情報開示であり、制度的開示(ディスクロージャー)と言われています。IRとはこういった商法等でルールとして決められた情報の公開だけではなく、IRの定義にある投資判断に必要な情報提供全般を指します。要するに財務情報の公開は必要条件であり、十分条件ではないと言えます。企業としてはルールで決められた情報提供だけではなく、企業と投資家双方の理解を進めるために必要な情報の提供が必要となります。具体的なIR活動としては、アナリストやファンドマネージャ等を招く決算説明会や施設の見学会、個別の説明会や最近では個人投資家向けの説明会等があり、文章としてはアニュアルレポートや会社案内等があたります。

 よく聞くPR(Public Relation)活動とIR活動の違いはなんでしょうか。PR活動は一般の企業、消費者等、すべてに対して情報提供を行う活動を指します。一方IR活動は投資家もしくは投資に関連した判断をする対象に情報公開を行う活動を指します。

無形資産

 上記で説明をしましたように、IR活動で公開する情報は財務に関連する情報だけでは十分といえません。企業の価値を評価するのに、財務関係の情報で十分なのでしょうか。

 木を例にとって説明をします。土の上にあって我々が見ることができる枝葉を見ただけで木が健康であるかわかるでしょうか?木が健康か見分けるには、地中にある根が腐っていないかも診断をする必要があります。要するに土の上に見えている財務関係の情報(オンバランス情報)だけでは企業の健康状態についての判断を投資家がすることはできず、財務の観点からでは目に見えない情報(オフバランス)も判断材料にする必要で企業はこの情報をIR活動として伝えていく必要があるのです。このオフバランスの資産のことを「無形資産」といい、企業の中・長期的な競争優位性を高め、企業価値を生み出す元になります。「無形資産」には特許等の知的資産、人材・組織、ブランド等、オフバランスの資産が含まれます。技術経営においては「知的資産」や技術関連部署での人材・組織との関連が大きくなります。

IR活動での知的資産情報開示

 IR活動においてなぜ、知的資産情報の開示が必要とされるのでしょうか。その理由として市場競争の激化と、それに対する企業が提供する製品・サービスの差別化の必要性があげられます。日本は以前の高度成長期と比べ、経済の成長率が低下し、ユーザニーズが細分化してきています。この状況において企業は他社と自社製品・サービスの差別化ができる付加価値の高い製品を開発する必要があります。付加価値の高い製品・サービスを作り出すためには目に見える資産への投資だけではなく、研究開発や人材・組織などへの投資が重要になります。当然財務情報と同じように知的資産情報を含めた目に見えないものへの投資について情報開示が必要となります。

 さらに昨今企業側の動きとして、株を長期保有する株主を増やそうとする傾向があります。これは安定保有株主を増やすことによって株価を安定させようという考え等によるものです。経営戦略というのは中長期な側面がありますが、それに対して短期指向の株主が多いと安定的な企業戦略立案が難しくなります。この短期・中長期のギャップをなくしたいという企業側の考えを実行するには、長期的な投資情報を含む知的資産情報の開示が必要条件となってくると考えられます。

 ただ課題も多く、目に見えない価値でもブランドは将来利益を割り引くことにより価値を定量的に示すことがでますが、知的資産についてはまだ不明確な部分が多くあります。経済産業省では昨年、「知的資産経営の開示ガイドライン」を好評し、一部企業ではIRで開示する文章として「知的財産報告書」を作成しています。

 今後財務諸表だけではなく、長期的な視点から無形資産情報の開示をする企業が増えてくると考えられます。このとき技術と経営がわかる人材育成がさらに重要となることが考えられます。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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