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イベントレポート:mobidec 2010 【ソーシャルへのシフトするケータイビジネス市場】

2010/11/28 17:21
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プロフィール

山田ひさのり

私がプロジェクトマネジメントを実践したり学習したりしていく中で、ためになった考え方やノウハウを紹介していこうと始めましたが、その後ケータイ/ソーシャルビジネスを中心の情報発信に変化しました。暫くの間更新が滞っていましたが、私の転職をきっかけにグロースハック/ハッカーの情報を発信するグログとして投稿を再開しました。
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最近忙しさにかまけてBlogをまったく更新していませんでした、反省・・

そんな中、2010年11月25 目黒 雅叙園で行われたMCF主催のmobidec 2010に参加してきました。細かくメモを取ってきたので、今回はそちらのPOSTをお楽しみください。

多くのセッションがあり、どのセッションメモを掲載しようか悩みました。個人的な感想でいうと、夏野さんの基調講演が最も興味深くかつ面白かったのですが、既に他のネットメディアが大きく取り上げていたのであえて私が掲載することも無いだろうと思って掲載をやめました。

今年のmobidecのテーマはスマートフォンや電子書籍など多岐に渡っていましたが、私のBlogを見てくれている人はソーシャルアプリに興味がある方が多いので、やはりソーシャルアプリに特化したセッションのレポートを掲載しようと思います。KLabの真田さんがモデレーターを勤められ、現在日本で注目を集めているSAPの代表の方々がパネラーとして参加された、『ソーシャルへのシフトするケータイビジネス市場』についてまとめたいと思います。

なるべ正確にメモしたつもりですが、本記事の内容に誤りを発見された場合は @hisyamada までご指摘頂ければ幸いです。

 

モデレーター

  •  真田 哲弥 氏 (KLab株式会社 代表取締役社長)

 

パネラー陣

  •  赤羽 雄二 氏 (ブレークスルーパートナーズ株式会社 マネージングディレクター)
  •  日高 裕介 氏 (株式会社サイバーエージェント 取締役副社長)
  •  山田 進太郎 氏 (ジンガジャパン株式会社 ジェネラル・マネージャー)
  •  後藤 貴史 氏 (株式会社ポケラボ 代表取締役)

 

パネラーやモデレーターのプロフィールや経歴はmobidecのWEBサイトを参照ください。

 

〜 パネルディスカッション概要 〜

 

パネルディスカッションは以下の3テーマを中心に展開され、その中で多数の興味深い話を聞くことができました。 

  1. 1. ヒットゲームを生み出す秘訣
  2. 2. 開発体制と組織 
  3. 3. 業界動向

 

基本的な進行は一般的なパネルディスカッションと同様でしたが、モデレーターの真田さんはSAPの代表であり、現役のゲームプロデューサーでもあるため、その質問内容がかなり核心に迫ったものだったことが印象的でした。質問に対するパネラーの皆さんの回答が更に真田さんの興味を呼び起こし、よりSAPらしくマニアックな質疑に突入してしてしまうこともしばしばでした。

またパネラー、モデレーターのほとんどがゲームプロデューサーでもあり経営者でもあるため、経営視点での意見も多数飛び出しました。全体として、ゲームディレクションとSAP経営の2軸で楽しめるパネルディスカッションであったのではないかと思います。

 

1. ヒットゲームを生み出す秘訣

 

- 自社ゲームが優れていると思う点はどこか?

「他の会社のヒットタイトルをパクらない」という哲学を徹底した。(日高さん)

昔から勝手サイトなどでゲームは作っておりそこで自社なりのノウハウを蓄積していたが、ソーシャルでヒットした要因の多くはプラットフォームが持つバイラル性。それが会員増に寄与したと考えている。(山田さん)

ウノウ(現Zynga Japan)さんと同じく勝手サイトゲームのノウハウが役に立った。後はタイトル投入後の早い段階で世界観を作ったのが良かった。一度世界観を構築してしまえば少し冒険するようなことをやってもユーザーは離れていかない。(後藤さん)

 

- ゲームをヒットさせるコツは?

やりソーシャル性は重要。言い換えれば「リアルとの連動をうまく見せる」ことだと思っている。(山田さん)

一般にいわれていることだが徹底したイベント開催が成功の秘訣。ここはGREEさんが上手いと思う。(赤羽さん)

 

- DeNAさんよりもGREEさんの内製ゲームの方がイベント運営が上手いという認識?

Developerとして参考になるのはやはりGREEだと思う。高課金者に対するイベントの仕掛けが格段に上手いと思う。(赤羽さん)

 

- イベント運営について気をつけていることは?

イベントといえば大体ガチャになってしまうが、ユーザーが何を求めているかを満たしてやる必要があると思う。例えば、ユーザーは自分が手間暇かけたゲームの成果を誰かに見てもらいたいと考えており、その欲求を満たすために最適なタイミングでコンテストを開催するなど。(日高さん)

普通はイベントでもゲーム内の世界観を壊さないように配慮するものだが、『やきゅとも』に関しては逆で不自然な演出をすると当たる傾向がある(笑)。(後藤さん)

イベントは売上げに直結するので売上戦略的には重要だが、ファンダメンタルで売上が上がる仕組みを入れておくことも大事だと思う。(山田さん)

最近でいうと、グルーポン系サービスのフラッシュマーケティングの手法はよく出来ていると思う。これをよく学べばソーシャルゲームにも応用できると考えている。(真田さん)

 

- 最も参考にしているKPIは?

一番見ているのはDAU。後は(おすすめに載った際の)登録者増加数なども注視している。(日高さん)

DAUとARPU/Daily、DAU/MAU(=エンゲージメント)(山田さん)

DAUと継続率(翌日と3日後)を重視している。(後藤さん)

 

- ウノウ時代とZynga Japanになってからでは統計/分析手法は変わったか?

経営統合して私が初めてやったのが本国の分析ツールの導入とその見方の学習だった。やはり米国の方が分析が細かく行われている印象。(山田さん)

 

- 本国(Zynga)の統計/分析手法を導入して一番驚いたことは?

(能力のある)プロデューサーの一意見で何かを判断するということはなく、何事もデータに基づいてやるという文化。「やってみてダメだった場合は元に戻す」という意識が徹底している。FarmVilleにも多くの(100人以上?)プロデューサーがいるが、皆ABテストのようなものを細かく繰り返して最適なポイントを見つけるようにしている。(山田さん)

 

- FarmVilleには100人の担当者が付いているのか?

全部合わせたらそれぐらいはいるだろう。多くのポイントでTry&Errorを繰り返すのでそのぐらいの人数が必要なのだと思う。Zyngaでもクリエイティビティを必要とする『着想』の部分は能力のある個人が担当するが、検証は統計に頼るという区分けができている。そのなかで学んだのは「ネガティブインパクトは極力避ける」ということ。「いいものだけ残す」という発想は一般大衆に受け入れられるには大事だと思う。(山田さん)

 

- ポケラボさんもマイニングツールなどを持っているのか?

マイニングツールというほどたいそうなものではないが相当するものを持っている。それを専門のチームが統計/分析している。(後藤さん)

 

- 一般的にDAUとARPUは相反するといわれているが、実際そうなって来た場合どうすべきか?

会社やタイトルのポリシーの問題ではないか? ポケラボではDAUを増やすことを会社の方針としているのでARPUが下がってもなんら問題ないと捉えている。(後藤さん)

正直にいうと「DAUとARPUは相反する」という意見にあまり同意できない。個人の経験からいっても「え、そうなんですか?」という印象。(山田さん)

ユーザーをお金を『全くお金を使わない人』、『ほどほどに使う人』、『高ARPUユーザー(5%程度)』の3層に分けて、イベントの中に全てのユーザーを満たすような目標を作る。そうすることで全体の売上ポートフォリオを健全に保つようにしている。(日高さん)

 

2. 開発体制と組織

 

- 各社の組織構成とそれぞれの部門の人数を教えてください

以後エンジニアをE、プロデューサーをP、デザイナーをD、カスタマーサポートをCSと呼称します。

E40人、PとDで20〜30人程度。(日高さん)

E35人、P20人、D5人程度。それにプラスして本国のスタッフが10人程度。スタジオ機能と経営機能が完全に分離されており、本国のスタッフは経営のみを見ている。(山田さん)

E30人、D10人、CSが15人(後藤さん)

 

- ポケラボさんには純粋なPはいないのか?

Pで入ってきてもまずは開発から始めるので、Pでもコードかデザインは書ける(描ける)ようになる。このようなハイブリッド型のPがいるメリットは機能の追加・修正に対する判断・対応が早くなること。

 

- ポケラボさんにいるようなハイブリッド型のPについてどう思うか?

Cyber Agent(以後『CA』と呼称)には純粋なPがいる。ハイブリッド型Pの育成も何度かトライしてみたが上手く行かなかった。企業のTOPがEだとそういう発想になりやすいのかもしれない。(日高さん)

Zyngaは本国も日本も純粋なPがいる。ハイブリッド型という人種はいない。(山田さん)

 

- 一つのゲームで開発にどの程度の期間をかけているか?

プロトタイプまでは2週間、リリースは2ヶ月以内。(後藤さん)

Zyngaは大作志向なので1本に20〜30人は携わる。期間も長めになる傾向がある。(山田さん)

短いもので3ヶ月。体制はPが2人、Eが1人、Dが2人が一般的。途中で作りたいものがわからなくなってしまうケースもあり、今年の3月からまだ開発が続いているものもある(笑)。(日高さん)

ウチは5,6人で3ヶ月程度。短期開発に挑戦したこともあったが作り込みが甘くなり、運用フェーズでゲームを洗練させて行った。最近では「だったら最初から時間を掛けて作り込むべきではないか?」と思うようになった。(真田さん)

一般的なBlogなどの情報によるとGREE様とDeNAはE2人程度でやるらしい。弊社パートナーの『魔法の国のお菓子屋さん』はE1人でやっている。社長がエンジニアに「1人でやれ」といった会社はそれができている傾向がある。トップからの明確な意志決定が無いと、ハイブリッド型かつ少人数開発は難しいと思う。(赤羽さん)

Eにはハイブリッド型と研究型の2タイプがいるように思う。ハイブリッド型のEばかり集めると技術力が低下するおそれがあるので気を付けている。(真田さん)

 

- 開発体制が肥大化するとクオリティが劣化しやすいがに如何にクオリティコントロールを行っているか?

そこは弊社の課題で逆にお聞きしたい部分でもある。現在組織が急激に肥大化してしまったので品質維持が難しくなっている。今は ”えいや!” でリリースして現場に経験を積ませるしかないと思っている。(後藤さん)

属人的になってしまう部分がどうしてもあると思っている。今は経験した人間が現場のまとめをやっているので何とかなっているがこの先に壁がありそう。今後は未経験のP達に経験を積ませることが重要になってくるだろう。(山田さん)

私が全てのアプリに対してきちんとダメ出しをして品質を担保するようにしている。特にパクリについては厳しくダメ出しをするようにしている。(日高さん)

 

- 子会社のアプリまで日高さんが見ているのか?

見ている。将来的には他の人にやらせるべきだが現状でまだできていない。(日高さん)

実は私の会社も同様。どんなゲームでも最後に私のチェックを入れるようにしている。(真田さん)

 

- 後藤さんもダメ出しをしているか?

ラインが多くて管理しきれないという理由もあるが、Pを精神的に疲弊させないためにもダメな点を指摘することはしないようにしている。ただ失敗した点は広く共有するようにし、自己での反省を促すように配慮している。

 

- Zynga Japanの場合、本国からのクオリティチェックはないのか?

基本無い。本国から人が来ているのでその人たちと連携しながらやることで大きな意識のズレをなくすようにしている。ローカライズに関しては本国からの口出しは無く、その地域に応じて自由に作り替えてよいことになっている。(山田さん)

 

- ローカライズが必要なのは日本だけなのか?

日本と中国だけだと思う。その他の国はfacebookで統一化されている。日本と中国は有力なプラットフォームがfacebookではないので自動的にローカライズが必要になる。

 

- 皆さんどんなゲームにインスパイアされたか?

自分たちでソーシャルアプリを定義するようにしているので「このゲームに強く影響を受けている」ということはない。ただあえてインスパイアされたタイトルを挙げると、「怪盗ロワイヤル」。ソーシャル性が緻密に設計されていてかつシンプルという点が凄いと思う。(日高さん)

特定のタイトルにインスパイアされたというわけではない。ただ、コンソールゲームとソーシャルゲームはかなり違うのでその違いを押さえるようにしている。ただしこれは組織として何かしているということではなく、心構えでという意味。(山田さん)

 

- ちなみにZyngaの買収は(ウノウさんとZyngaの)どちらが望んだのか?

先方から望まれたこともあるが、シリコンバレーやソーシャルに興味があったのでそれに乗る形になった。

 

- 仮にGREEやDeNAが「買いたい」といった場合はどうだったか?

シリコンバレーかつ独立系といのを重要視して決定したので、日本の企業からのオファーでには乗らなかったと思う。

このあたりは、『Zynagaのウノウ買収にあたって』で山田さん本人が詳細に説明されています。 

 

- CAさんが子会社を作ってソーシャルゲームを提供している理由は?

「退路を断つ」という意味と、「中と外を分ける」という意味があった。CAの経営会議でも「ソーシャルアプリ市場への参入に対して明確な手が打てていない」と問題になったので、その手段として子会社化の道を取った。

 

- 赤羽さんに質問、今後もソーシャルゲームの会社を作っていくのか?

プラットフォームでいうと、今更ガラケーへのビジネス展開はないと思っている。ただスマートフォンには今後参入していきたい。(赤羽さん)

 

3. 業界動向

 

- 最近スマートフォンへの展開話題が熱いが、スマートフォンでのコンテンツ提供はWEBとアプリではどちらが主になると思うか?

微妙だがアプリだと思う。(赤羽さん)

どちらともいえない。ただアプリの方が作るのが大変なので組織としてはアプリから挑戦すべきだと思う。(日高さん)

PCの世界を見てると結局WEBに収斂してきている。だったら最初からWEBでいいのではないかと個人的には思っている。(山田さん)

WEBだと思うが市場の立ち上がり時期は両方に対応してビジネスチャンスを逃さないようにしておきたい。(後藤さん)

 

- SAPとしてどこのプラットフォームを重視すべきと考えているか?

通信キャリアによって(月額制などが)整備されたスマートフォンマーケット。現状Androidマーケットでスマートフォンでアプリを出しても収益化は望めない。(赤羽さん)

どこかわからない。しばし様子見。(日高さん)

現時点では決めかねる。ただSAPはどこにでも対応しておくべきだと考えている。(山田さん)

マーケットがもう少しハッキリするまでは、かつてガラケーの勝手サイトでやったように自社の独自サービスとして市場に出して様子を見るという手もある。(後藤さん)

 

- 今後GREE、モバゲーのどちらが優勢になると思うか?

全くわからない。当初はモバゲーが優勢といわれていたが、最近のGREEさんの追い上げは凄まじいものがある。(赤羽さん)

確かにGREEさんの追い上げは凄い。主戦場がスマフォに移っても、半年程度の結果ではまだ全然わからないと思う。(日高さん)

今後ガラケー市場が縮小してスマフォ市場が拡大するとしたら、先行しているのは誰がどう見てもmixiだと思う。(山田さん)

ポケラボはGREEにはタイトルを出していないので、他の方と違って効果検証が正確にはできていない。ただ個人的にはmixiに期待している。(後藤さん)

 

- 日高さんにプラットフォーマーとして質問、Amebaはオープン化などを検討しているのか?

やりたい気持ちはあるが優先順位とリソースを考えると現時点では未定。現在Amebaは[Blog+ピグ]という扱い。バーチャルなソーシャルグラフは全くないので、やるとしたらその辺りを整備する必要があるだろう。(日高さん)

 

- 赤羽さんに質問、facebookは日本で成功するか?

確実に成功すると思う。私の周りを見ても日本でも20代への普及の勢いは凄いと感じている。おそらくmixiを抜くことは無いが会員数で迫るのではないか。(赤羽さん)

 

感想など

 

パネルディスカッションの時間はおよそ90分を予定していましたが、モデレーターの真田さんからのより突っ込んだ質問もあって、かなり時間が押してしまいました(笑)。

私は仕事柄多くのソーシャル系のイベントやパネルディスカッションに参加しますが、今回のディスカッションではソーシャル市場の概況や一般的な法則の話ではなくて、各パネラーさんの会社の細部を垣間見れた気がしました。

大抵のケースでそうですが、他人のやり方・考え方は非常に参考になります。それまで自分が ”当然” と思い込んでいた文化や習慣が、ちょっと他人のやり方を見たり聞いたりしただけで、それらをすっかり変えてしまうことも珍しくありません。今回のパネルディスカッションはいつもにも増してそんな「へ〜」を多く感じることができました。

本記事がソーシャルアプリプレーヤーの方々、及びその周辺のビジネスプレイヤーの方々の一助となれば幸いです。

 

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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