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ソーシャルアプリのインフラが満たすべきたった3つの要件

2010/10/24 16:14
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プロフィール

山田ひさのり

私がプロジェクトマネジメントを実践したり学習したりしていく中で、ためになった考え方やノウハウを紹介していこうと始めましたが、その後ケータイ/ソーシャルビジネスを中心の情報発信に変化しました。暫くの間更新が滞っていましたが、私の転職をきっかけにグロースハック/ハッカーの情報を発信するグログとして投稿を再開しました。
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日本のソーシャルアプリ市場が本格的に形成されて約1年が経過しました。昨今では業界の勢力図がだいぶ描かれつつあるものの未だ群雄割拠の様相も伺えます。

私は仕事柄多くのSAP様とお付き合いする機会がありますが、未だに「これから参入したいと考えているのですが・・」というお話を頂くことも多く、まだまだ新規のプレーヤーの参入機会はあると見ています。そんな中でよく受けるのが、「ソーシャルのインフラってそれなりに準備しておかないと大変って聞いたのですが、どういうサービスを選べばよいですか?」という質問です。

今後新たにソーシャルアプリ市場に参入されるSAPさんの為に、この疑問についての(私なりの)回答をまとめておこうと思います。

今回の記事は既に同市場に参入してその辺りのノウハウを貯められたSAPさんにとっては既知の情報ばかりで、あまり為にならないかも知れませんがご容赦ください。

 

ソーシャルアプリサービスの特徴

インフラの要件に入る前に、まずはソーシャルアプリ・サービスをインフラ面から見た場合の特徴について考えてみましょう。ここを押さえておくと後述する「ソーシャルアプリのインフラに必要とされる要件」を半自動的に導くことができます。尚、本記事で『ソーシャルアプリ』と言った場合、日本の主たるSNS(mixi,モバゲー,GREE)でのサービス提供が前提と考えてください。

ソーシャルアプリをサービスする上で最も怖いのは、

 

  •   急激なアクセスの増減

 

に他なりません。

出典: 【OGC 2010】注目のソーシャルアプリビジネスの傾向とインフラ条件〜ビットアイル

 

これは別にソーシャルアプリに限った話ではないですが、日本の主要SNSは既にそれぞれで2,000万人以上のユーザーを抱えるプラットフォームに成長しています。この集客力はサービス提供者にとってはチャンスですが、開発者(特にインフラエンジニア)にとっては驚異そのもので、時に爆発的なアクセス増をもたらします。

ソーシャルアプリが勢いをつける以前、ケータイサービスの主役といえばキャリアの公式サイトでしたが、そのキャリア公式サイトも10年が経過し、3〜4年前ぐらいからは「新規に立ち上げるサイトは会員が2〜3万にいけば良い方」とさえいわれています。そして、そのような市場しか経験したことがないサービス事業者や開発会社はどうしてもソーシャルアプリのアクセス量を低く見積る傾向があり、それがSNSでのサイト停止に繋がる原因の一つとなっています。

しかしながらこれはある意味で「うれしい悲鳴」ではあります。いくらインフラを万全に整える前に、アクセスを集められないアプリが多くあることも事実です。

私の経験から言うと、そのような事業者さんがソーシャルアプリをリリースする場合、現在のアクセス量の5〜10倍程度(アプリがヒットすればそれ以上)を見込んでおくべきであり、そのアクセスに耐える準備を万全にしておかなければシームレスな成功を望むことはできないでしょう。

 

しかしこの事実は、裏を返せばソーシャルアプリといっても(インフラ面から見た場合)驚異はアクセス集中だけであるともいえます。それはつまり、「ビジネスとしてその部分がリスクにならないような配慮をするだけでよい」ということを示しています。

 

ソーシャルアプリのインフラに求められる要件

私が考えるソーシャルアプリのインフラに求められる要件は以下の3つのみです。

  1. 1. サーバー増の固定費を吸収してくれる
  2. 2. サーバーの増減が迅速にできる
  3. 3. 始めやすく辞めやすい

 

1〜3は全てソーシャルアプリの特徴である、「急激なアクセスの増減」 によって引き起こされる問題です。それぞれ詳細に見ていきましょう。

 

1. サーバー増の固定費を吸収してくれる

急激なトラフィックに備えるには整備されたインフラ環境と大量のアクセスを捌けるだけのサーバー台数が必要です。サーバーは自社でラックを借りて用意したりレンタルサーバーを借りたりといろいろな方法がありますが、この時最も怖いのは固定費の高騰です。

前述したとおり、 ソーシャルアプリの最大の怖さは ”急激なアクセス増” です。アプリが跳ねた場合、50〜100 [台/アプリ]のサーバーが必要になることもあります。これはラックに直すと何台分の固定費に相当するでしょうか? もちろんそれは自社のラック契約に基づいて計算してみなければわかりませんが、このコスト増のリスクを自社で抱えるのはあまりに危険です。場合によってはせっかくの高ARPUアプリであってもコストが収益を相殺してしまう恐れすらあります。そう考えた場合、サーバーの増加コストがサービスに直接的に跳ね返らない何らかの仕組みが必要です。

 

2. サーバーの増減が迅速にできる

ソーシャルアプリの「急激なアクセスの増減」のスピードはこれまでのケータイサービスのそれを大きく上回ります。よってこれに対応するには1日、場合によっては半日〜数時間単位でサーバーを増減できる必要があります。

特に ”増” に対するスピードは重要です。ソーシャルアプリはフリーミアムモデルであるため、特定の(無料)アプリをプレイするモチベーションは著しく低いと認識しなければなりません。つまりユーザーは正常に動かないアプリをプレイできるようになるのを待つより、似たような別のアプリをプレイすることを選択しやすいのです。そしてこのことは「ソーシャルアプリにおいては機会損失に敏感でなければならない」という教訓を導きます。そう考えた場合、トラフィック増に追随できる迅速なサーバー投入は必須条件となります。

もちろん全てのアクセス増に対して、追加サーバーの投入のみをもって対応することはできません。データベースがボトルネックになっていたり、WEBアプリそのものに問題がある場合はいくらサーバーを追加したところで問題解決に至ることはないでしょう。しかしそれでもサーバーの追加投入は有効な選択肢の一つであることには変わりありません。

基本的にはアクセスの ”増” に対応できれば問題ありませんが、1. の固定費の高騰をより避けたい場合は、”減” にも柔軟に対応できる必要があります。しかしこれは ”増” への対応ほど困難ではないでしょう。

 

3. 始めやすく辞めやすい

これはアプリが跳ねなかった時のリスクヘッジの意味合いが大きいです。もしアプリが跳ねず収益が著しく低い場合、時にはアプリをクローズする決断も必要でしょう。そのような際にインフラの契約期間が半年〜年単位だとSAPは当然無駄な出費を強いられることになります。最近はレンタルサーバーやラック契約でも月契約できるところも多いのであまり深刻になることもありませんが、事前に確認しておくべきポイントであることは確かです。

一応 ”始めやすい” というのも要件に加えてみましたが、実は私はこの点はあまり重要では無いと考えています。何故ならソーシャルアプリ市場は既に「儲かるって聞くしちょっとやってみようかな」という考えで参入して成功を収められる程甘いマーケットではなくなりつつあるからです。綿密な事業計画や収益性の計算など、それなりの事業性が必要とされるので、インフラだけ始めやすくても他の部分は決して始めやすくはないでしょうから・・

しかしながらそれでも事業開始までのスピードが早いことは大切です。なので迷いながらも要件に加えることにしました。

 

技術で実現するか? 契約で実現するか?

皆さん気づかれたかも知れませんが、上記した1〜3の要件を実現するには2通りの方法があります。それは、

  1. - 技術で実現する
  2. - 契約で実現する

 

のいずれかです。

最近「ソーシャルってやっぱりクラウドでやるのがいいんですか?」という質問をされることがあります。私はこれに対して、「上記の1〜3を満たせればクラウドだろうがレンタルサーバーだろうが何でもいいです」と答えるようにしています。実はクラウド(という技術)は上記の1〜3を便益として提供してくれています。だからこそ、「ソーシャルアプリ ⇒ クラウド」という式が成り立ちやすいのですが、別にそれはクラウドで無くてもなんら問題はありません。リアルサーバーのホスティングであっても、自社でのハウジングであっても何でもいいのです。

いずれにせよ、技術や契約はやりたい事を実現する手段なのでそれに目を曇らせないことが肝心だと思います。あくまで

 

  •   上述の1〜3の便益を提供してくれるかどうか?

 

でインフラを選定すれば間違いないと思います。

 

まとめ

今回はソーシャルアプリのインフラをテーマにPOSTしてみました。既にSNSサービスを運営されている方にとっては退屈な記事だったかも知れませんが、本記事がソーシャルアプリ市場に新たに参入されるSAPさんの一助となれば幸いです。

最後にソーシャルアプリのインフラの専用サービスを提供されている(かつ多くの実績をお持ちの)会社の一覧を挙げておきます。興味があれば個別に調べてみてください。

 

 

参考情報:

 

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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