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日本企業が取るべき戦略とは? 〜 ソーシャルアプリの正しい海外戦略:その3

2010/05/22 16:22
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プロフィール

山田ひさのり

私がプロジェクトマネジメントを実践したり学習したりしていく中で、ためになった考え方やノウハウを紹介していこうと始めましたが、その後ケータイ/ソーシャルビジネスを中心の情報発信に変化しました。暫くの間更新が滞っていましたが、私の転職をきっかけにグロースハック/ハッカーの情報を発信するグログとして投稿を再開しました。
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前回の記事ではコンシュマーゲームの歴史を振り返り、ソーシャルアプリ市場において、日本企業が海外展開する際に注意すべきポイントを説明しました。今回は日本のソーシャルアプリ企業が、海外のSNSプラットフォーム(以下『PF』と呼称)に打って出る場合の具体的な戦略について考えたいと思います。

 

狙うはFacebook

「海外のSNSに打って出る」となると、やはりターゲットはFacebookになるでしょう。Facebokが持つポテンシャルについては前々回の記事で説明しましたが、この記事を書いた時点で登録ユーザ数は5億人に達しているそうです。まさに破竹の勢いです。

最近、DeNAさんが日本で大ヒットした『怪盗ロワイヤル』をFacebook
向けに提供
しましたが、今後同様に日本のコンテンツを海外向けにローカライズする試みが増えて行くと予想されます。ソーシャルゲームにおいて日本のコンテンツがどの程度受け入れられるのか、個人的に非常に注目しています。

出典:INSIDE
FOR ALL GAMERS

 

日本→海外 の展開戦略

これから述べるのは私が、日本のソーシャルアプリを海外展開する上で有効と考えている戦略です。本件については、まだ世の中で明確に成功した例が無い(≒もしくは私が見つけられなかった)ため、あくまで予想の範疇を超えません。コンシュマーゲームの歴史に基づき、自分なりに分析した仮説とご了承ください。

 

1. 日本市場をテストマーケットとし、一定の成功を収めた上で海外展開を見据える

 

日本で一定の成功を収めた上で海外市場を狙う、最もスタンダードな方法です。日本のソーシャル市場に参入している多くのベンチャー企業は自然とこの形になるのではないでしょうか。(DeNAさんはそのまんまですね)

この方法だと、まずは日本市場に向けてソーシャルアプリを作る必要があるので、同様のアプリを海外展開する際は必ずローカライズコストが発生します。『モンスターハンターポータブル2nd G』の例に見るように日本での成功が必ず海外で通じる道理もないため、ローカライズに一定のコストが掛かることは事前に覚悟しておくべきでしょう。

日本でヒットしたアプリを海外展開しなかったとしても、会社としてローカライズコストを貯える取り組みは必ず発生します。

 

2. 日本市場を無視して、いきなり海外で勝負する

 

前回の記事で述べたように、日本市場での成功に囚われないやり方です。最初から日本市場を無視するので、いきなり海外の市場向けにソーシャルアプリを作る事になります。この方法は、理屈的には有効そうに見えますが、冷静に考えると以下のような問題をはらんでいます。

  • a) 海外市場において一定の販路を保持している必要がある。
  • b) 海外拠点等が無いと海外市場のニーズを読みにくい。

a) は「え、SNSに公開するだけなら販路なんていらないじゃん!」と思われるかも知れませんが、ソーシャル市場はもうコンテンツ勝負のみに持ち込める土俵ではありません。

これは(一定)成熟した全ての市場に言えることですが、同市場は既にマーケティングや広告に一定の資本を投資しないと成功しにくい構造が出来上がっており、ただアプリを提供しただけではユーザに存在を認知してもらうことすらままなりません。これはZingaが月間$5〜8M(500万〜800万ドル)をFacebook広告に費していると言われていることからも明らかです。

これについては「Facebook―Zynga提携の核心はFacebookポイント」に説明があります。

 

国内であれば集客する方法もそれなりに分かりますが、流石に海外では勝手が違います。お金に物を言わせて、惜しみなく広告費を投下できるのであれば、さほど心配はすることはありませんが、そうでない場合は海外のマーケットを分析し、知恵と手持ちのパスを使って集客する努力は必須となります。

 

b) は想像が付くと思います。海外でヒットを飛ばすには、海外の文化を知り、ソーシャルアプリの遊び方やトレンドに敏感である必要があります。ネットだけの情報ではそれらを肌で感じることはできないといっていいでしょう。

 

3. ローカライズコストが最小で最大の利益を得られる市場を探す

 

意外とお薦めの戦略なのですが、簡単に言うと「日本の感覚が通じる
マーケットを探す」ということです。これだと日本向けに作ったソーシャルアプリがヒットしたとしても、最小のローカライズコストで海外展開できる可能性が強いのです。この例は音楽業界に見ることができます。

最近日本のミュージシャンが海外で受け入れられるケースが多く見られます。規模で見るとまだニッチマーケットに過ぎませんが、その成功のポイントは、あえてローカライズしないで「ジャパンクール」を強烈に打ち出しているのです。つまり異質であることを逆手に取る手法です。

これについては、(少々古いですが) Sony

メールマガジンのオフィシャルサイト にて詳細に説明されています。

出典:Sonyメールマガジン オフィシャルサイト ホーム

 

この場合に掛かるコストは、

  • 類似マーケットを探すコスト
  • 言語のローカライズコスト 

程度に留まるので作り手・売り手からすれば非常に展開しやすいようです。

前提条件としては、その「日本と似た市場」の市場規模がある程度大きいことでしょう。うまく類似市場を見つけられたとしても市場規模が小さくてはあまり旨みがありませんから。また類似市場といっても、ユーザの嗜好性やマーケット特性が完全に一致しているということはまずありません。少なからずローカライズコストを払うことになるので、日本市場との差分を如何に理解するかが鍵になるでしょうか。

 

4. まずは日本市場での成功を優先させる

 

「つべこべ言わずにまずは日本市場で一定の成功を収めるべき」という考え方です。これは日本の市場規模の限界は理解した上で、あえて取る戦略になります。あまり論理的ではないのですが、上述したように「世界だ!」、「Facebookだ!」と言っても、日本市場で(一定の)成功を収めていないのに海外がどうこうもないと思います。

また「ソーシャルは世界を相手に勝負できる」とは言っても、様々な問題で、実質的に国内の市場を相手にするしかないということは、現実にはいくらでもあるでしょう。長期的な目線は大事ですが、まずは国内で、実績と企業体力を蓄え、準備が整った段階で海外展開を考えてもなんら問題は無いと思います。

 

まとめ

以上、過去3回に渡って「ソーシャルアプリの正しい海外戦略」を自分なりに解説してきました。ソーシャルアプリ市場が今後どうなって行くかは誰にも分かりません。ただ唯一言えるのは、「とてもエキサイティング」ということでしょうか。

  1. 参入しづらい国日本 〜 ソーシャルアプリの正しい海外戦略:その1
  2. コンシュマーゲームに学ぼう 〜 ソーシャルアプリの正しい海外戦略:その2
  3. 日本企業が取るべき戦略とは? 〜 ソーシャルアプリの正しい海外戦略:その3

私も同業界の人間として、このエキサイティングなソーシャル市場
を存分に楽しみたいと思います。ここまで読んで下さった方々に感謝します。

 

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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