今回は久しぶりに見積りについて書きたいと思います。見積りについては過去記事も参照してみて下さい。
見積りは昔から「経験、勘、度胸」と言われ、中小企業では今でも同じような感覚で見積られていることも多いと思います。それが駄目だというつもりはありませんが、見積りの正確性は商売をする上で非常に重要です。
見積りの手法
見積りの方法論はいろんな人が様々なものを研究されていますが、ここではプロジェクトマネジメントらしくPMBOKの見積り手法を学んでみましょう。PMBOKには例によって具体的な方法論はあまり書かれていませんが、コメントレベルでいくつかの手法が紹介されています。
1. ボトムアップ見積り
WBSをもとに全てのタスクを積み上げ式で見積る方法です。タスクの詳細がわからないと見積り難いので初期の見積には向きません。
2. 係数見積り
納品物関するパラメーターに係数を掛けて見積る方法です。見積り対象が数値化しやすければ意外と正確に見積ることが可能。FP法などが有名ですね。
3. 類推見積り
過去の実績やデータに基づいて見積る方法。正確性は見積りする人間の経験や能力に左右されやすい。
一般的に上から正確性が高いとされています。反対にプロジェクトの初期、つまりタスクが詳細化されていない場合は下の見積り方法を適用することが多いです。
見積りと予実管理
見積りがめでたく通って受注を得たとします。その後(ソフトウェアであれば)開発や納品を行うわけですが掛かった工数実績を正しく管理し、それを予算(≒見積り)と対比させなければ見積りの正確性が向上することはありません。ところがこれがなかなかできない。。でも歯を食いしばってやりましょう。正確性を増した見積りは必ずや会社の資産になるはずです。
組織内部での見積り手法の統一化
予実管理と同時にもうひとつやらなければならないのが見積り手法の統一化です。余実管理方法もそうですが、見積りの方法がプロジェクトによって異なっていると予算対比を算出する際にプロジェクトよって異なる結果になる場合があります。なので「予実管理をするんだ!」と決めた時から(内部)見積りの手法やフォーマットの統一作業にも同時に着手しましょう。でもこれも結構きついです。
世の中では見積りの方法論が数多く語られていますが、私は業種・業界毎に好きにやって良いと考えています。大切なのは見積りを行う本当の意味、
- 将来に納品する予定のものの値段をできるだけ正確に算出できる
を満たせばなんでも良いと思います。しかしそのためには過去データをしっかりと保管し、予実管理して生きたデータを作ることが大切です。つまりは「予実管理がしやすい生きたデータを作れる」ことが最も大事だと考えています。
PMBOKやプロジェクトマネジメントに興味のある方は、『いつも心にプロジェクト』のBlogもどうぞ。