前回はPMP受験対策セミナーについて書きました。今回は私がPMP試験を受けるにあたって実際に行った試験勉強の方法を紹介します。
受験勉強開始、さてどうする?
PMPの35時間の受験資格の取得も無事終了し、実際の試験勉強を開始することにしました。
この時点で私はPMPを受験資格を得ており受験の申し込みをすることができましたが今回はそこには触れません。ただPMPの受験申し込みは複雑なので、次回以降の記事で説明したいと思います。
PMPの試験問題は基本的にPMBOKから出題されるので、PMBOKを十分に理解することがPMPに合格するための王道です。またこれとは別にPMPの受験本も多く出版されています。一般的には、それらの書籍を参考書や問題集として使用しつつPMBOKを教科書として使用して受験勉強を行う人が多いようです。私の場合翔泳社さんの受験対策講座で『PMP教科書』を購入したのでこれを参考書として勉強することにしました。
正確に言うと、講座で使用されたPMP教科書をまとめたパワーポイントの資料を参考書としました。このパワーポイントの資料については前回の記事を参照下さい。
私の考えるPMPの受験勉強のポイントは以下です。
- PMBOKの基本哲学を抑える
- PMBOKの主要な知識エリアとプロセス(とその内容)を理解する
- プロフェッショナル責任とPMP職務・倫理規定を理解する
1,2は当然ですが、注意すべきは3.です。特にプロフェッショナル責任についてはPMBOKでは言及されていませんが、PMPの試験では「プロマネとして当然抑えておくべき常識」として扱われています。なのでPMBOKに記載されていないにも関わらず堂々と出題されます。一般的に3.に対しては受験対策講座や参考書によってその知識を補うしかありません。逆に1,2はPMBOKや参考書に普通に記載されているのでそれらを学習背すればなんら問題はありません。
まずは参考書を繰り返し読む
受験勉強の基本はPMBOKないし参考書を読んで内容を理解することです。しかしただ漠然と読んでも効果が薄そうと考えた私は以下の作戦を取ることにしました。
- 参考書は3回は読む
- 1回読み終わる毎に模擬試験を行い理解度を計る
PMBOKの模擬試験には以前PMBOK勉強会で使用した『PMBOK問題集』を使うことにしました。
当たり前ですが平日の日中は仕事があるのであまり勉強ができません。よって主要な勉強時間は通勤の電車内です。参考書を常に持ち歩き、行き帰りの電車でそれを読む日々が続きました。実は私は以前も通勤時間を利用してPMBOKを読んでいたことがありましたが、あの独特な言い回しや表現方法が災いしてすぐに眠くなり完読には至っていませんでした。今回もそれを恐れていたのですが参考書の出来が良いせいか、目的が明確なせいか、眠くなることも無く参考書を数回読み切ることができました。
「読む本によってここまで変わるのか・・ 」と驚いたものです。それ以来、「眠くなるのは本が悪い!」と開き直るようにしています。
模擬試験の結果から見えてきたこと
参考書読破の1ターン目が終わると早速模擬試験を行いました。模擬試験は自宅の書斎で、本番さながらにタイマーを用意して4時間で200問を解いて行きます。第1回目の模擬試験の結果は63%の正解率でした。一般的にPMPの合格ラインは「正解率61%」と言われています。受験対策講座では「本番では緊張などもあるので、模擬試験で正解率80%になったら受験しなさい」と言われたので、まずは正解率80%を目指さなければなりません。間違えた問題を振り返ってみると、[プロジェクト・リスクマネジメント]や[プロジェクト・タイムマネジメント]の知識エリアに間違いが集中しているようです。そして不正解の問題の多くは、その知識エリアに属するプロセスのインプット、アウトプット、ツールと技法を正しく理解していないことに起因していることに気づきました。
プロセス郡のインプット、アウトプット、ツールと技法を以後『I/O/T』と表現します。
PMBOKには9つの知識エリアに44のプロセスが存在します。そしてそれらに属するI/O/Tを合計すると軽く100を超えます。PMBOKの哲学自体はPMBOKや参考書を読めば自然に理解できますが、これらのプロセス郡とそのI/O/Tについては参考書を読んだだけでは頭に入ってこないため、これらについては明らかに暗記する必要があります。そういえば受験対策講座の講師の方が「PMBOKのプロセス郡とそのI/O/Tは全てしなさい」と仰られていましたが、ここにきて私は、「なるほどこういうことか・・」とその言葉を実感しました。なので次にやらなければならないはプロセス郡とそのI/O/Tの暗記です。
プロセス郡とそのI/O/Tの暗記
PMBOK第3版のP70にはPMBOKで使用するプロセス郡が簡潔にまとめられた表が記載されており、その表はPMPの受験には必須のアイテムになっています。私もご多分に漏れずその表を都度参照しましたが、残念なことにその表には(スペースの都合で)I/O/Tまでは記載されていません。私は「この表にI/O/Tまで書いてあればなぁ・・」と考えていましたが、実はこの要求を満たす資料がPMIから発売されており、受験対策講座の会場で販売されていました。それはプラスチック製の下敷き(?)のようなパンフレットで、PMBOK P70の表にI/O/Tを加えた情報が書かれたものです。
私は受験対策講座の際に「なんとなく役に立ちそうだ」という直感でそのパンフレットを購入していたので、早速それを暗記し始めましたがどうもしっくり来ません。おそらくその原因は、それらをイメージとして暗記することが難しかったからだと思われます。一般的に暗記する場合はその暗記する対象をイメージと紐付けるととたんに暗記しやすくなります。現在ではそれらの有効性が実証され、そのテクニックを使用した暗記方法が多くありますが、このパンフレットにはプロセス郡とI/O/Tが羅列してあるだけであり、明らかにイメージ化しづらいのです。「これはちょっと考える必要があるな・・」、そう考えた私はこのパンフレットに記載されている情報にイメージを持ち込むことにしました。そして着眼したのは「PMBOKではあるプロセス郡のアウトプットが別のプロセスのインプットになる」という点です。プロセスとそのI/O/Tを単純に羅列するよりも、「プロセスAのアウトプットがプロセスBのインプットになる」ことを図示できれば格段に暗記しやすくなると考えたのです。そしてそれらを試行錯誤してできたのがこの図です。(同図を以後『プロセス関連図』と呼称します)
本当は1枚の絵にしたかったですが関連があまりにも複雑になってしまうので、プロジェクトライフサイクルの観点で2つの絵に分けました。 この絵を描いてみて改めて思ったのは、「PMBOKのプロセス間の関係はなんと複雑、かつ良くできていることだろう」と言うことです。改めて考えるとこの複雑な関連を文字だけで暗記しようと考えるのは明らかに無謀だったと思います。手前味噌ではありますが、「イメージ化する」という手法を採用したは正解だったと思います。
2回目の参考書を読むターンと平行に上記の図を作成し始めました。ちなみにプロセス関連図はjudeというソフトで作成しました。judeはもともとはUMLを記載するためのソフトなのですが、コンポーネント間の関連性を記載するツールとしては意外使えるので私はいろんな資料の作成に使用しています。
プロセス関連図を作っていて感じたのは「その結果となる図よりも、作る過程に意味があった」と言うことです。もともとはプロセスとそのI/O/Tが完全に記載されたプロセス関連図が欲しくて作り始めたのですが、なんとこれを作る過程でプロセス及びそのI/O/Tを全て記憶してしましました(w 受験勉強では良くあることですね。
この資料はせっかく作ったので皆さんに公開したいと思います。ここにjudeのマスタファイルを配置しておきます。
次回予告
次回はプロセス関連図を作成の効果と第2,3回の模擬試験の結果について書きたいと思います。ここまで読んで下さった方々に感謝します。