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見積りでよくやるお粗末な失敗 − 「なぜ見積りは不正確なのか」(第4回)

2009/04/12 16:19
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プロフィール

山田ひさのり

私がプロジェクトマネジメントを実践したり学習したりしていく中で、ためになった考え方やノウハウを紹介していこうと始めましたが、その後ケータイ/ソーシャルビジネスを中心の情報発信に変化しました。暫くの間更新が滞っていましたが、私の転職をきっかけにグロースハック/ハッカーの情報を発信するグログとして投稿を再開しました。
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前々回は見積りを不正確にするメカニズムについて説明しました。今後はそのメカニズムを理解した上で見積りを正確にする方法について理解していきますが、その前に「見積り作成時によくやってしまうお粗末な失敗」についていくつか例を挙げて説明したいと思います。いつものごとく、出展は『ソフトウェア見積り―人月の暗黙知を解き明かす』になります。

ここに説明されたものがお粗末な失敗の全てというわけではありませんが、私を含め多くの人が陥りやすい典型例を挙げたつもりです。

お粗末な失敗たち(でも意外にやっちゃうよね)

管理されない開発プロセス

前々回の記事に書いたとおり、そもそも管理されていない開発プロセスの場合、見積りの正確性もへったくれもないものです。例えば、

  • 作業スコープを明確にしていない
  • 影響力のある人の一言で開発物が大きく変化
  • 要件変更が多発
  • 人員の入れ替わりが激しい
  • メンバーのスキルが足りていない

など挙げればキリがありません。 全ての要因を排除し健全なプロセスを確立できるかというとそんなこともありませんが、少なくともそれらを排除する努力はすべきでしょう。

アクティビティの見落とし

これもよくあります。主な原因は作業スコープが明確になっていないことですが、契約周りや交渉・折衝業務、データ移管やドキュメント作成など、「プロダクト作成以外の作業」については見積り時に忘れがちです。特に小さなソフトハウスのプロジェクトや、(中堅の会社であっても)Webサイトの構築などではプロダクト以外の業務は「後追いで作る」と言いながら結局納期に追わた結果、ギリギリになって着手することがほとんどです。

主観と偏見

主観とは自身の経験に裏打ちされた判断であり、偏見とは見積りをある方向に進めようとするバイアスのことです。経験豊富なプロマネの場合、主観による判断だけでもかなり正確な見積りを作成することが可能ですが、ここで厄介なのがバイアス(=偏見)です。前回の記事「見積り」と「ターゲット」が異なることは説明しましたが、バイアスは「見積り」を「ターゲット」に近づけさせるという特性を持っています(例えば「年末商戦に間に合わせなければならない」など)。この特性が最も働きやすいケースはプロジェクトに対するコントロールノブが多い場合です。

コントロールノブとはプロジェクトを推進する上でプロマネの独断でが判断可能な要素のことです。

コントロールノブが多いと一見柔軟性に富んでいるようにも思いますが、裏を返すと「バイアスを抑制する機構が何もない」ということです。一般的にこの抑制機構がゆるい組織は見積りがぶれやすいのです。例えば「新しい開発ツールを導入したから、生産性が20%UPするに違いない」と思い込むのは典型的な偏見の1つです。

即興見積りとオフィシャライズ

よく営業さんから、「ざっくり見積もってよ」とお願いされることがありますが、そのざっくり見積もった見積りがいつの間にか外出しの見積りとして使われていたことは皆さんにも経験があるのではないでしょうか。言うまでもなくこれは非常に危険な行為です。そもそも見積もりは非常に時間が掛かる行為であり、(私の経験上)掛けた時間に比例して正確性を増すものです。よってこの「ざっくり見積もり」を要求された場合にしなければならないことは、「その見積りにどの程度の時間を掛けるべきかを考える」ことです。

まずは「やってはいけない」をなくそう

見積りの勉強してわかりましたが、見積りの正確性を向上させることは非常に果てし無い学問であり、我々開発者ごときが一朝一夕にできるものではありません。なので「見積りをブレを可能な限り小さくしてやる」など気負った考えはせずに、まずは「『これだけはやってはいけない』ということをやらないようにしよう」というアンチパターンの精神で立ち向かった方が中長期的に見てうまくいくのではないかと思います。

皆さんの中での「見積りにおけるやってはいけない」はありますか?

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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