お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

「なぜ見積りは不正確なのか」(第1回)

2009/03/21 14:55
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

山田ひさのり

私がプロジェクトマネジメントを実践したり学習したりしていく中で、ためになった考え方やノウハウを紹介していこうと始めましたが、その後ケータイ/ソーシャルビジネスを中心の情報発信に変化しました。暫くの間更新が滞っていましたが、私の転職をきっかけにグロースハック/ハッカーの情報を発信するグログとして投稿を再開しました。
ブログ管理

最近のエントリー

本日より数回に渡って見積りについてのお話をさせてもらいたいと思います。(私はITベンチャーのプロマネですのでソフトウェアの見積の話をさせて頂きます)

ソフトウェアプロジェクトの失敗要因

ソフトウェアプロジェクトの失敗要因の80%は以下の2つのうちのいずれかだと言われています。(出展『ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ』

  1. 不明瞭な要件
  2. 見積りの失敗

どの程度のサンプルを持ってこの結論達したか詳細は出展に譲りますが、私の過去の経験と照らし合わせてもこの主張は妥当ではないかと思います。

逆を言えばこの2つの問題を解消すれば80%のプロジェクトは救われる可能性が出てくるということですね。(その代わりに他の問題が浮き彫りになることもあると思われるので、完全に救うことはできないでしょう)

今回はこの原因の内の1つである、「見積りの失敗」について考えてみたいと思います。

見積りにおける本当の問題

プロジェクトにおいてプロマネはなるだけ正確性のある見積り作成する必要がありますが、見積りを実績に近づけるためには厳格なプロジェクト管理を行った上で、過去のプロジェクト実績から見積りの正確性を向上させるための取り組みを組織的に行う必要があります。これは組織としての修練が必要であり、簡単な問題ではありません。「見積りの正確性向上」とはそれほど難しい問題と言えます。

しかし皆さん、「見積りの正確性向上」よりも前に考えることがあると思いませんか? それは「なぜ見積りは不正確なのか?」という原因を突き止めることです。この疑問に対する回答はいったいどの程度あるでしょうか? 経験のあるプロマネであれば即座にいくつかの原因を挙げることができるでしょう。それはつまり、「同問題について過去の経験に基づいて真剣に考えれば答えが見つかる可能性が高い」と言うことなのです。問題を解決する際にはまずその問題の本質に迫る必要があります。見積りの正確性向上を目指すのであれば見積りを不正確にする要因について正しい知識を得るべきなのです。

なぜ見積もりは不正確なのか?

日々そんなことを考えていたら1冊の本に出会いました。

詳細はURLに譲りますが、ソフトウェアプロジェクトの見積りが不正確な理由について考え、その原因を考慮した上でどのように見積りと開発を行うべきかについて書かれています。開発者寄りの本ではありますが、開発以外の方も見るべき価値がある書籍です。私が特に注目したのは見積りの考え方を以下の2つに大別し、それぞれの観点からのアプローチを明確に分離しているところです。

  1. サイエンスとしての見積り 
  2. アートとしての見積り

1. は皆さんご存知の、FP法、COCOMO?など「算出手法」としての見積りです。同書ではこの議論は「サイエンス」と位置づけられており、この言い換えに関しては皆さんも直感的にイメージできるでしょう。2. ですがこれは同書独自の考え方であり、主に以下のような部分を指し、「アートとしての見積り」を「サイエンスとしての見積り」と区別しています。

  • 見積りを行う前の心構え
  • 見積りを算出するための準備として何をすべきか?
  • 見積りをステークホルダに提出する際に注意しなければならないこと

私は上記を読んで、「なるほど」と理解することができました。見積りには過去の経験や業界の動向を見据えた上で注意しなければならない点が多数あります。これは世の中的には「KKD(経験、勘、度胸)」と言われあまりよくないイメージを持たれていますが、同書では見積り作成における重要な要素として「経験」を取り上げており、行動経済学として見積りを捉えている感すらあります。また「見積り」というとプロマネや開発者が算出した「予想コスト」という無味乾燥なイメージがありますが、ステークホルダにとっては「大切な投資のための情報源」です。同書では見積りにおいてこのような考え方をベースするべきことの重要性についても取り上げられています。これら、見積りの人間臭い部分に着目した考え方を同書では「アートとしての見積り」としているようです。(あくまで私の理解ではあります)

読んでみた感想

2回ほど読みましたがかなり納得させられる内容です。私が特に感心したのは以下の2点です。

  • 見積りがぶれやすい要因についてきちんと分析して説明している
  • 見積りで重要なのでは「算出方法」だけなく、「その数値を算出するための考え方」であると主張している

これまでも見積りの本は多くありましたが、その中でも同書は多くの実績データを元にこれまでに無かったアプローチを展開しています。私もこの本を読んで、見積りに対する考え方を変えることができました。これから数回に渡って同書に書いてある内容と、私がその考え方をどのようにアレンジして実案件に適用しようとしたかについて紹介したいと思います。

本日は導入のみになってしまいましたがこの辺で。次回以降をお楽しみに。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー