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プロマネが果たすべきたった2つのミッション

2008/12/26 03:17
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プロフィール

山田ひさのり

私がプロジェクトマネジメントを実践したり学習したりしていく中で、ためになった考え方やノウハウを紹介していこうと始めましたが、その後ケータイ/ソーシャルビジネスを中心の情報発信に変化しました。暫くの間更新が滞っていましたが、私の転職をきっかけにグロースハック/ハッカーの情報を発信するグログとして投稿を再開しました。
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プロマネのミッションと言えば、

  • プロジェクトを成功させること

恐らくほとんどの人がこう答えるでしょう。今回の投稿のタイトルは「プロマネが果たすべきたった2つのミッション」としました。プロジェクトを成功させるというミッションはあまりにも当たり前すぎるので本投稿のテーマとせず、それ意外のミッションについて考えてみます。

私はプロマネですが、私がプロジェクトをマネージメント行うにあたって自身に課しているミッションがあります。それは、

  1. メンバに対して正当な評価を行うこと
  2. メンバに対して適切な休暇を取らせること 

の2つです。私は(極論すると)プロマネのミッションはこれだけだと考えています。「そんなの当たり前じゃん」と思った方もいらっしゃると思います。そうです、当たり前なのです! しかしその当たり前のことを定常化させるのは非常に難しいのです。IT業界の悩みの1つに離職率の高さがあります。2~3年で開発者が離職することはIT業界では普通のことです。しかし私はこの2つのミッションを完遂するだけで離職率は劇的に下がると信じています。人が働く動機はそれぞれであり、中には「面白い仕事」や「キャリアになるかどうか」を職業選択のトッププライオリティーに据える人もいますが、ほとんどの人間は上記の2つを保障してやればまず辞めません。それは私の経験でもそう断言できますし、冷静かつロジカルに考えだけでも(客観的に)納得できる事実だと思います。つまりこの2つのミッションは人の進退をコントロールするに十分な要因となりえるのです。以下にこの2つのミッションについて詳細に考えてみたいと思います。

メンバに対して正当な評価を行うこと

当然ですが仕事に対する適切な評価は大切です。仕事をする人は誰もが「いい仕事したい」と思って働いており、その「いい仕事」に対して適切な反応をしてやることは非常に重要なことです(あえて反応と書きました)。ここで言う「評価」とは適切な報酬という意味が強く、評価に見合った正当な報酬を与えることを言っていますが、それ以外にも単純に「成果を認める」と言う行為も含みます。そもそも人間は承認されたい生き物です。人間にとって(特に仕事上で)誰かに認められることは生きていくモチベーションとなります。この考え方は太田肇さんの『承認欲求―「認められたい」をどう活かすか?』 から学びましたが、チームで仕事をしているとあらためて人間の承認欲求をひしひしと感じます。例えば仕事上で最も辛いことの1つに「頑張ったけど無反応」というものがあります。もしかしたらこの反応は人間からモチベーションを奪う最大の原因かも知れません。これは承認欲求の裏返しであり、この行為がモチベーションを奪う最大の原因だとしたら、その負のエネルギーと同じぐらい人間は承認されたがっているとも言えます。

私は承認欲求を満たすにはメンバがアピールしそれを評価する環境を用意することが有効だと考えています。つまりメンバがアピールしやすいく、同時にそのアピールに反応するサイクルを作り上げるのです。例えば私の所属するチームには「焼肉制度」というものがあります。これはプロジェクトにおいて「これはナイスプレー」と思われる行為に対してはプロマネが焼く肉をおごるという慣例です。正直にいうとそんなに頻繁にご馳走できているわけではありませんが、チーム内で「これは焼肉に値しますね」や「結構焼肉ポイント溜まってきましたよ」などという会話が頻繁に交わされます。 チームのメンバが本当に焼肉目当てでアピールしてくるかと言えばそんなはずはありません。焼肉なんて食べたいと思えば自分で食べに行くでしょう。しかしスキあらば焼肉を奢らせようという慣例は確実に根付いており、皆それをネタにアピールをしてきてくれます。これは我々のチームが承認欲求を満たすサイクルを少なからず作り上げた結果ではないかと考えています。

メンバに対して適切な休暇を取らせること

ご存知の方も多いと思いますがこれは非常に完遂が困難なミッションです。このミッションの中には「加重労働をさせない」という意味も含まれます。ソフトウェア業界では加重労働が慣例化していますが、加重であってもせめて10時間/日以内に収めるべきだと私は考えます。「えー、そんなのできるわけなじゃん!」と思って、かつ上記で「そんなの当たり前じゃん」と思った方は要注意です。プロジェクトを成功させつつこのミッションを完遂することはかなり困難であると理解しているのにこの2つの感想を同時に持った方は同ミッションの真意を理解できていないと思います。

実はこの「適切な休暇」はプロマネが掲げる目標としては大いにプラスに働きます。なぜならば過重労働をさせずにかつ適切な休暇もきちんと与えようと思ったら、

  • 顧客との調整能力
  • 高度なリスクヘッジ能力
  • 適切な要件と適切な見積
  • メンバとの信頼関係 

など多くのベクトルでかなり高い能力を求められます。考えてもみてください、顧客からはきついスケジュール、会社からは利潤の追求、メンバからはプロジェクト体制に関する不満。それらを全てねじ伏せ、かつメンバに適切な労働時間約束するとなると簡単ではありません。つまりは、

  • 「適切な休暇を与える」という目標を掲げる ⇒ 能力の高いプロマネにならなければならない

ということなのです。「そんなこと言ったって締め切りなんか上から落ちてくるんだからどうしようもないよ」と思われた方もいるかも知れません。しかしそれではダメです。もしスケジュールが自身の届かないところで決定されるのであれば、その決定される場所にあなたも参加して下さい。少なくとも参加するように努力して下さい。プロマネとはそういうミッションを背負った職業なのですから、優秀なプロマネになろうと思ったらそこから逃げることはできません。

要するにプロマネのミッションとは?

今回言いたかった「プロマネのミッション」をまとめると以下の3つになります。

  1. プロジェクトを成功させる
  2. メンバに対して適切な評価を行う
  3. メンバに対して適切な休暇を取らせる 

もしかして今回の話の流れからこの3つのミッションを果たすことが優れたプロマネの必要条件と考えた人がいるかも知れません。しかし私はこれを必要条件と呼ぶと同時に、十分条件と呼んでもいいと思っています。なぜならば上述したように、この3つのミッションを同時に完遂することは当然でありながらも非常に困難だからです。どんなプロジェクトでもこの3つのミッションを完遂できればその人は間違いなく優れたプロマネでしょう。よって、

  • 3つのミッションを完遂できる人 = 優れたプロマネ

という等式が成り立ちます。実は私の中ではこの2つの論理は必要十分条件になっているのです。私は今でもこの3つのミッションを常に完遂するため日夜精進中です。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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