今日はプロジェクトにおけるミーティング(以下『MTG』と呼称)の役割について書きたいと思います。
MTGは是か非か
プロジェクトを運営しているとほとんどの場合、MTGは定例化されそのMTGで定常的な報告をしたり、討議を行うようになってきます。しかしながら私は安易なMTGの開催(特に定例開催)はあまり好きではありません。しかしながらMTGの開催自体には様々なメリットがあることも事実です。まずはここで電話やメールなどのコミュニケーション手段と比べた場合のMTGのメリットデメリットをまとめてみたいと思います。尚ここで言うMTGとは以下のように定義します。
MTGの定義
「3人以上の人間が参加者の感情を確認できる状況下で、何らかの目的を持って話し合う行為」
※3人以上としたのは自身の席付近で行う仕事話はMTGに含めないためです。
MTGのメリット
- 一度に多数の人間と意見を交換できる
- 細かな感情をpickupしながら意見交換ができる
- 考え方や結論をより強力に共有できる
こうやって書いてみると「即効性」と「集団性」から生まれるメリットが多いようです。逆にデメリットを考えてみましょう。
MTGのデメリット
- 皆の時間を(一定)奪う
- 考え方や結論が強力な人間に誘導されやすい
デメリットも書いてみると「即効性」と「集団性」から生まれているようです。しかも私が上げたメリットとほとんど相反しているように見えます。つまり(私の結論としては)MTGは「集団性」と「即効性」を有効に利用できる状況においては開催した方が良いということになりそうです。ただし「集団性」と「即効性」はデメリットにもなりえるため、このデメリットを最小にした上で開催することが望ましいようです。ではMTGのデメリットについて細かく分析してみようと思います。
皆の時間を(一定)奪う
恐らくMTGが悪とされるならこの原因がNo.1だと思われます。誰にでも経験があると思いますが、結論の出ないMTGに延々とつき合わされるのは非常につらいものです。 MTGが長引く理由はいくつかありますが、多くは準備不足とタイムマネジメントの不備が原因だと思っています。準備不足について細かく見てみると以下の原因があるようです。
- agendaがなく、参加メンバが議題について検討した上で参加できていない
- 参加メンバが不適当
タイムマネジメントの不備に関しては以下の原因があります。
- MTGにおける参加者の役割が不明瞭
具体的には司会者やタイムキーパーがいないことがMTGを長引かせる主要因であるように思えます。
考え方や結論が強力な人間に誘導されやすい
MTGではしゃべる人としゃべらない人が明確になります。特に人数の多いMTGではそれが顕著です。なぜそのような現象が発生するかというと、「誰かがなんとかしてくれる」という期待感がMTGにはあるからだと思います。特に自身が開催者ではないMTGはどことなく他人事感がするもので、そのような印象を持って望んだMTGでは発言する気持ちも失せやすいと思います。しかしMTGでは何らかの結論を出す必要があるため、結局は声の大きい人の意見に会議自体が引っ張られていきます。そのようなMTGに参加していると「自分がいる必要はないのでは?」と思いやすくなり、それが「時間の無駄」という考えに変化していきます。これはMTGにおいて個々の参加メンバに役割が無いことが主たる原因であると思われます。
どうやら上記で分析したデメリットの原因を排除することで、質のいいMTGを開催できそうです。具体的には以下でしょうか。
- 事前にagendaを共有して参加メンバが議案を検討して望めるようにする
- MTGにおける各自の役割を明確にする
- タイムマネジメントを行う
なんとまとめるとこれだけのようです。つまりMTGの開催に当たってこれだけを遵守するだけで質の良いMTGが開催できることになります。
メリットのみを許容するMTG
多少のデメリットに目をつぶっても良いので、MTGのメリットを最大限に許容するという方法もあります。前述したとおり、MTGのメリットは「即効性」と「集団性」の有効活用でした。つまりこの2要素を最大限に生かせる環境下においてはデメリットを排除しないMTGも有効であると私は考えています。
MTGの「即効性」、「集団性」が持つ最大のメリットは感情と感情で議論ができ、しかもそれを公開できるという点です。感情をぶつけ合うという行為はメールでも可能ですが、感情の機微をリアルタイムで伝えることはメールでは難しいものです。相手の表情を見ることで成り立つコミュニケーションというものは確実に存在します。しかもその感情のやり取りをMTGという手段を使って他のメンバに公開できるという点は大きなメリットだと思います(逆にデメリットになる場合もありますが・・)。私の尊敬する人はほとんど何も考えずにMTGを開催しますが、この「感情の公開性(と呼称します)」を有効に利用してチームや組織の結束を強めたり、自身の職務に対する熱意を伝えたりします。つまり感情論に持ち込んで結論や意識を一定の方向に向けさせるのです。しかもこれが有効に働いた事例は数知れずあります。
これはほぼMTGの名を借りた演説と言えるかも知れません。しかし「演説をする」と言ってメンバを集めるのと「MTGをする」と言ってメンバを集めるのでは、その議論中で受ける印象も大きく異なるため(良い方に働くのであれば)MTGと偽って演説をしてもいいような気もします。
MTGについては様々な良書が出ているので詳しくはそちらを参照して頂ければと思いますが、今回私が言いたかったことは以下の3つです。
- MTGにはメリットとデメリットがある
- 排除すべきデメリットは意外と少ない
- メリットのみを受領するためのMTGもありえる
MTGは意外と奥が深いのでまたの機会に考えたいと思います。