お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

プロジェクトマネジメントとは「法整備なり」

2008/12/20 00:30
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

山田ひさのり

私がプロジェクトマネジメントを実践したり学習したりしていく中で、ためになった考え方やノウハウを紹介していこうと始めましたが、その後ケータイ/ソーシャルビジネスを中心の情報発信に変化しました。暫くの間更新が滞っていましたが、私の転職をきっかけにグロースハック/ハッカーの情報を発信するグログとして投稿を再開しました。
ブログ管理

最近のエントリー

私はSEから始まり、今ではいろんなプロジェクトのマネジメント業務を行っていますが、プロジェクトマネジメントをやっていていつも思うのは「プロジェクトマネジメントって法整備に似ているなぁ」と言うことです。法律というものは(特に近代においては)我々が生まれた時からそこに存在し、我々を縛り付ける存在のように思えますが、「社会を自動的に動かす装置」とも言えます(これは大学受験の頃何かの論文で読みました)。考えて見れば法律には自動制御装置としての様々な役割があります。

  1. 人々の行動に一定の秩序を与える
  2. 罰則規定が人々の行動を抑制する
  3. 問題が発生した際に毎回調整を必要とせず規定によって処理される

例えば「赤信号なら止まれ」という法律があった場合、1. があることで人々の間に「赤信号を守れば事故にあわない」というコンセンサスができ、結果集団の行動に一定の秩序が生まれます。2. は赤信号で止まらなければ罰せられるという強制力が人々の行動に秩序を与えます。3. は問題が発生した場合の話ですが、信号の話に置き換えると、赤信号を守らなかった場合は道路交通法によって違反者の処遇までが決められているため、いちいちケースバイケースで違反者の処遇を決定する必要がないということです。

 他にも多くの役割があるかと思いますが私はこの3つに大別しました。多くの方がイメージしている法律の役割は恐らく 2. だと思います。「我々の行動を縛る」という面から見た場合そのイメージも頷けます。しかし私は法律の最も大事な役割は 1. 続いて 3. だと考えています。まず 1. ですが、例えば赤信号が無い世界に「赤は止まれにしよう」と提案し、それを遵守させることで無秩序から秩序が生まれます。そしてその秩序が遵守され続け、かつ自身がその秩序を守っていれば自分は常に安全な位置にいることができます。プロジェクトマネジメントも同じでプロジェクトという混沌とした(もしくは無秩序な)世界に一定の秩序を導入する営みであると私は考えています。例えば要件定義の段階で揃えなければならないアウトプットは何か? 毎日の進捗報告は如何にしてするのか? そのような秩序をプロジェクトという世界に導入して人々(メンバ)の生活(業務)を安定化させてやることこそがそもそも存在する理由なのではないかと考えています。

3. も重要な役割の一つです。例えば昔の日本(近代以前でしょうか)では、村には村長という人が人がいて何か問題が発生した時はその村長が介入することによって秩序が保たれていました。この場合は村長の人格や信頼度が非常に重要であり、多くの場合村長が問題をヒアリングし、ケースバイケースで都度問題に対して対応していたと思われます。 しかし近代では法律を用います。法律には「こういう場合はこう」と細かな条件や制約が明記されており、これによって何かが発生した時も問題を自動的に処理することができます。プロジェクトマネジメントも同様で、何か問題やあいまいなケースが発生する度にプロジェクトマネージャが介入していたのでは体がいくつあっても持ちません。大きなプロジェクトでは殊更そうです。しかし事前にプロジェクトメンバにプロジェクトのルールや推奨される行動を明示しておくことで、そのようなケースバイケースで対応すべき機会を格段に減らすことができます。

 逆に法律と最も異なるのは役割は 2. でしょうか。私はプロジェクトマネジメントに 2. は必要なく、罰則が必要な場合はケースバイケースで処理すべきと考えています。ほとんど全てのプロジェクトメンバは「役に立ちたい、認められたい」と考えて仕事に望んでくれます。少なくとも私の経験では「別に失敗したっていいよ。。」と考えてプロジェクトに参加される方はまれでした。そのようなメンバーに対し 2. を規定することはメンバーのモチベーションを低下させる原動力になることに他なりません。

これは法律は社会に対して適用され、社会には目的が無いのに対し、プロジェクトマネジメントはプロジェクトに対して適用され、プロジェクトには目的があるため発生する違いではないかと考えています。

 私は 法整備=プロジェクトマネジメント という考え方に達してからなるべくプロジェクトという社会がスムーズにかつ自動的に動作するように、プロジェクトが発足すると同時に様々なルールを策定し適用してきました。また策定したルールはメンバの入れ替えや時代(=期間、フェーズ)の変化と共に、それに合うように改善や廃止を繰り返してきました。しかもこのマネジメント業務に終わりは無くプロジェクトが存続する限り改善が繰り返されます。 この営みもまさしく法整備と同様だと思います。

もう一つの法律との大きな違いは、選挙で選ばれた代表者でない私がその法律を立案・決定するところでしょうか。(ここからは持論ですが)しかし国民は優れた為政者であれば民主制で選抜されようが、独立君主制で選抜されようが気にしないものです。要は良い政治をする人であれば選択方法が何であっても良いのだと思います。ただし悪い政治が行われた場合、独立君主制であればその人のせいにすることができますが民主制の場合はそれができません。それこそが民主政治が独立君主制に絶対的に勝る点だとも言われています。当たり前ですがプロジェクトマネージャが投票や多数決で選抜されることはまずありません。会社経営は民主制ではありえないのですから当然です。つまりプロジェクトマネージャは民衆にとっても君主にとってもよい存在であることが望ましい訳です。民衆には安心と安定を与えるために法整備を行い、君主には繁栄と秩序を与えるために法整備を行うと言うわけです。プロジェクトマネージャは高いスキルが必要というの頷けます。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー