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「ソーシャルメディア時代こそ、中身が勝負を決す」- 小川和也( @ogawakazuhiro )

2010/10/14 03:03
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10月6日の日経産業新聞(4面)「時流自論」というインタビュー記事にて、ソーシャルメディアマーケティングに関して述べさせて頂きました。トラフィックの源が検索からFacebookやTwitter等のソーシャルメディアにシフトしていく潮流や、最近熱い視線が向けられているソーシャルコマースについての所見です。

そしていよいよ、来る10月23日に書店に並ぶ僕らの最新刊「ソーシャルメディア維新」の中でもその件についてまとめあげていますので、ご一読頂ければ幸いです。

ソーシャルメディアの時代ということがいよいよ本格的に意識され始める中で、それがイメージ先行で一人歩きする側面も生じ得ます。Twitterで大量の集客に成功したであるとか、一方で炎上して大変な目にあったなどという事例や噂の断片が往来したりすることも次第に増えてきます。その様な中で、ソーシャルメディアの販促利用みたいな話になると、企業や店舗においては、今までの宣伝広告、販売促進との手法や性質的差異に戸惑ったり、過度に期待や不安を抱く状況をしばしば目の当たりにします。

先日、初めて利用したある飲食店にて、食事終了後にそのオーナーと雑談する機会がありました。そのお店のオーナーはなかなかの職人気質な方で、食材の調達にとても気を配られています。実際とても美味しいお店で、そのクオリティの高さは味という一番分かりやすい形でくっきりと浮かび上がります。その雑談のふとした流れで、「最近はクチコミサイトやTwitterみたいなもので評判が一人歩きし、概ねは好意的であっても、中には半ば嫌がらせの様な書き込みや事実と違う毀損を一方的にされたりして、厄介な時代になったものですよね」とオーナーが仰られました。 その方は、そもそもネット自体は門外漢であるものの、最近はその価値も十分に認めてはいることを付け加えていました。これといったPRもさほどしておらず、立地もあまりよろしくないことから、まさに味の良さがクチコミで伝搬したことが繁盛の鍵となってきたようです。その様に、時には不本意なネガティブクチコミがあったとしても、本来の味の良さが評価され、結局は安定的に繁盛しているという事実がそこにはあります。

確かに、ソーシャルメディアが活況な時代においては、以前に比して、消費者が情報発信源となり、そこから派生する情報がいわゆるクチコミやリコメンドとして他の消費者の消費行動に強い影響を与えるという構図が色濃くなります。そして企業や店舗にとっては、そこをうまく捉えてソーシャルメディアマーケティングを試みようということになるのですが、本質を理解していないと、表面的な技巧にばかり目を奪われたり、うまく行ったり行かなかったりの一喜一憂に終始振り回される始末に陥りかねません。 

また、ソーシャルメディアの中で消費者が語ることを企業や店舗が思い通りコントロールすることは困難であり、その点だけを鑑みると、先の飲食店のオーナーではありませんが、「厄介な時代になった」と思わず漏らしたくなる気持ちも理解はできます。それは同時に、ソーシャルメディアがそれだけ影響力を持ってしまったという証でもあります。

しかしその様な時代だからこそ、むしろ「中身が勝負を決す」時代になったのではないかと考えます。良い商品やサービス作りにさえこだわっていれば、ソーシャルメディアマーケティングによりクチコミやリコメンドを派生しやすくなりました。以前であれば、どんなに良い商品やサービスを持っていても、それを消費者(潜在見込客)に対し広域にPRするためには、マス広告などを活用しそれ相応のコストを要しました。中小企業や店舗にとってはマス広告活用のハードルは高いですし、実質的にPRも不完全燃焼のままという状態のところが多かったのではないでしょうか。

ソーシャルメディアの時代においては、ソーシャルグラフが持つ力により、地味であっても本当に良い商品やサービスに日の目が当たり、それが人から人へ連鎖する可能性が増します。つまり、ソーシャルメディアが存在感を増幅させる中で、企業や店舗にとっては新しい有効なマーケティングの引き出しが増えたことになります。逆に、商品やサービス作りをなおざりにし、上っ面のテクニックだけでソーシャルメディアを用いて商品やサービスをヒットさせようというスタンスでは良い結果は生まれないでしょう。やはり良い商品やサービスがあってこそ、そこに消費者間の好意的かつ自発的な情報連鎖が生まれ、最終的に集客や購買意志決定に繋がります。それが単純な広告宣伝とは違う、消費者主体のソーシャルメディアマーケティングの性質であり、ある意味ごまかしが効きにくくなったということになるかもしれません。

それゆえ、「ソーシャルメディア時代こそ、中身が勝負を決す」のだと考えます。

先の飲食店オーナーも、まさに同様の結論に至っているようです。「自分がなすべきことは、結局、クチコミに振り回されずにいかに美味しい食事をお客様に出すことに集中するかであって、まずは美味しい食事ありきなんです」と。

僕も同感で、それこそがソーシャルメディアマーケティング成功への本質的な近道なのだと思っています。 

ー 小川 和也 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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