僕は10年ほど前から定期的にワークアウトをしています。
最初は有酸素運動もしていましたが、最近は高重量の筋トレ専門です。僕は格闘技を長年やっていたこともあり、中量級の黒人ボクサーのような体型を理想にしています。要は 肩幅があって、胸板が厚く、腕も太いけれど脚はすらっとしている、という体型です。(僕が最も愛してやまないボクサーである、元世界ミドル級チャンピオンのマーベラス・マービン・ハグラーのベストバウトはこちら)
ワークアウトをするうえで大事なことは、どんな体型になりたいかをイメージすることです。それがなければ、自分のカラダを変えることができません。よく毎日ジムにいるのに、いつまでたってもお腹がでっぱったままな人がいます。それはなりたい自分をイメージせずにいるからです。あるいはイメージはできても、それを実現するためのメソッドが分かっていないかのどちらかでしょう。
理想とすべき状態を強くイメージすること。そのうえで、何をするべきかを明確に知識として理解すること。この二つが非常に重要です。筋トレに適した時間帯や頻度、栄養や水分摂取の理屈も知らねばなりません。漫然とカラダを鍛えたところで、イメージした理想にたどり着くことはできません。
僕は経営にも同じことが言えると思います。
理想の企業は何か。どんな企業にしたいのか。それを明確にイメージしなくてはなりません。
自分自身の体型であれば理想の状態を(先述のようにボクサー体型、と) 言えても、自分の会社がどうあるべきかを明確に言えるかは、意外と難しい。なぜかというと、ボクサーというからにはレスラーではないしサッカー選手でもない。理想的な肉体はいくつもあると思いますが、自分はこれ!と決めるには、他の選択肢を捨ててフォーカスする必要があるからです。このフォーカスする、他の選択肢をすっぱり切り捨てるというのは実は非常に難しい決断なのです。体型であれば、それほど難しくないことでも、企業となると、あれもこれもと欲張りになってしまう。
例えばポルシェと言えば911であり高級スポーツカーメーカーですが、いまや4ドアのラグジュアリースポーツもSUVも作っています。軽自動車はさすがに作らないでしょうが、徐々にBMWやアウディとの差がなくなっています。製品ラインを増やすこと自体はいいのです。しかし、自分達がなんの会社で、どんな理想をイメージしているかを曖昧にしてしまうことは怖いことです。
TwitterやFacebook、GoogleやAppleはもちろん、若干陰が薄いMicrosoftでさえも、非常にフォーカスが効いている企業達です。彼らは自分達が何者であり、どうありたいかをしっかり認識しています。Microsoftがやや古くさく感じるのは、組込みOSとビジネススイートというビジネスモデルが古くなってきているからであり、彼らにフォーカスがないわけではない。フォーカスが古くなってきていて、次の新しいフォーカスを見つけた方がよくなっているだけです。
(言ってみれば、ボクサー体型より、バレリーナ体型がトレンドならば、そちらを目指してトレーニングした方が一般受けがいい、ということです)
自分達はどんな企業なのか。どこを目指すのか。そこを決めた上で、その方法を徹底的に考えることが大事です。
AppleもTwitterもFacebookも、自分達のあるべき姿を強くイメージできているようです。
先行する素晴らしい企業群を目標にしていくならば、自分達なりの理想のイメージをしっかり持ち、それに近づくためのメソッドを徹底的に研究する。そして見つかったら、それにフォーカスして他のことは切り捨てる。そういう強い信念が必要だと思っています。