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今のAIが万能・最強という誤解へのカウンター記事2つが公開されました

2017/02/17 08:00
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野村 直之

『人工知能が変える仕事の未来』https://goo.gl/9N7cJE ・書籍帯の紹介文より: 「…ここ数年、毎日のように、人工知能についてのインパクトのあるニュースがいくつも流れる中、人工知能の産業応用について一貫して考えつづけた結論をまとめたものです。その背景には、筆者が1985年以来、職業的にAI、自然言語処理の研究開発に従事し、1993年から1994年にマサチューセッツ工科大学人工知能研究所の客員研究員(Visiting Scientist)として、ノーム・チョムスキー(自然科学としての言語学を創始)、マービン・ミンスキー(人工知能の父)、ジョージ・A・ミラー(認知心理学の開祖、ワードネット[WordNet]プロジェクトを創始)他の薫陶を受けながら脳内の言語知識のモデルを研究した経験、その成果を踏まえて、類似検索の体感精度を改善したり、高精度な文章要約システムを開発したりした経験があります。  …AIの産業応用や、AIが浸透した社会における人間の役割、教育のあり方などに興味、関心をもっておられる方に、必ずや、お役立ていただくことができると思います。  (「はじめに」より)」
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 今のAIが万能・最強という誤解へのカウンター記事2つが公開されました。

(1)【連載】AIでどう変わる? 情シスのシゴト【第2回】AIにまつわる大きな誤解を解きましょう

(2)話題の書『人工知能が変える仕事の未来』著者がAI万能論に異

どちらにも、2016年の末に、ガートナー ジャパンが発表した 人工知能 (AI) に関する10の『よくある誤解』を引用しています。これらの誤解による悲劇の多くは、現在確かに出来ていること、優れた正解データがあれば出来ることと、将来できるようになるかもしれないことが混在して語られたり、機械が主語となって「学習」や「認識」、「理解」、「感情」、「対話」などを行うことについて、人間がこれらを行うのと同じことが既に機械に出来ているように一般人を勘違いさせたことで起こる悲劇に由来しているといえます。

 (1)の中では、野村よりはるかに過激に、ディープラーニングのシステム(ハードやミドルウェア)の見積もりの後で、隠れ巨額損失ではないですが、膨大なデータ整備コスト、精度保障の無さが判明して酷い目に合うユーザ企業が出てきている旨を、激しい言葉で厳しく指摘するIT Proの記事金食い虫の『機械学習』と実用に堪えない『ディープラーニング』も引用しています。

 これらを読んだ印象から、「え、野村博士はディープラーニングの導入に反対なの?」みたいなイメージを抱く人もおられるかもしれません。それはまったく違います。拙著「人工知能が変える仕事の未来には、114のページに「ディープラーニング」という言葉が出てきます。オンライン索引で確かめてみてください。この索引は、自然言語解析技術、特に、5W1H API等を駆使して、半自動作成したものです。2/10のKindle版リリースに合わせて、kindle書籍における「位置情報」も対応しました。

 その上でなお、現実の業務フローに導入する作業の大きさ、業務全体からみると生産性向上が高々数%にとどまること(それが10数年連続させるのがいかに大変か。現実には停滞と断層的な数割の向上でしょうが)、周辺のデータ整備や、そのためのツール群、ディープラーニング以外の数理最適化手法の改善(例:O(N**3) →O(E**1)としたxTech)、最近のRPA (Robotic Process Automation) などの地味な改善の貢献の方が大きそうなことなどに、冷静に目を向ける必要があります。


 (2)の編集者には、下記のような返信をして、本ブログで補足、フォローする旨をお伝えしました。生産性向上と、消費者のサービス水準xカバレージ拡大への欲求のバランスを考え、2030年に現在より人手不足が深刻になっている可能性が大であることを伝えています。

**様、

 すこし、自分じゃないみたいな印象を受けますね。(笑)しかし、ときどき、関西弁で(外国語として習得しました)この手の受け狙い文体でしゃべることもあるので、知人で違和感感じない人もいることでしょう。

 この、少し挑発的な主張には、本来なら科学者として、・2010年頃、ホワイトカラーの生産性は、米国が日本の250%、欧州は180%と厚労省が発表。

・2030年まで、13年連続年率5%成長を続けても,188%。欧米のようにVBAが普及せず、当時生産性向上の切り札だったERPも頓挫した日本で、一部だけAIに置き換わって業務フローが13年連続で少しずつ改善される楽観見通しでも年率2%の改善なら、129%の生産性にしかなりません。これでやっと、2010年米国ホワイトカラーの半分程度であり、もちろん、2030年には、欧米の生産性はさらに上がっています。このまま受け身の姿勢(「AIが勝手に何かやってくれるさ」的な技術楽観&雇用悲観論を含む)が続けば、彼我の生産性の格差は拡大してしまうことでしょう。少子高齢化で高度職人が引退し労働人口が減少した2030年には人手不足が悪化してしまいます。

・つまり、経済学的には、AIによる生産性向上はアクセル床まで踏みっぱなしで良いのです。

・消費者、サービス享受者、自治体住民は潜在的にいまの10倍のサービス水準、カバレージを望んでいます。それを、コストダウンし、少子高齢化、労働人口減少に合わせて、より少人数で実現するには、AI導入しかないのです。

・人間が機械の連携を仲介して機械の部品になるような(例:かつての電話交換手のような)仕事は、まだまだ事務所の大半を占め、低水準の生産性にとどめつつ非人間的な仕事を強いる主因となっています。これらの不毛な仕事を淘汰するためにもAI導入し、人間が活き活きと幸福に働いていけるようにすることが急務なのです!


 さて、雇用崩壊論者と私と、どちらが正しいでしょうか? 10年待たずに結論は出ますが、それまで手をこまねいているわけにいかないので、論理、数字、そして、現場の応用開発の手ごたえから、どちらが説得力あるか、是非、いま考えていただきたいと思います。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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