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GRAPE 〜消費者1個人専用広告への第一歩か?

2009/11/16 15:26
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プロフィール

野村 直之

『人工知能が変える仕事の未来』https://goo.gl/9N7cJE ・書籍帯の紹介文より: 「…ここ数年、毎日のように、人工知能についてのインパクトのあるニュースがいくつも流れる中、人工知能の産業応用について一貫して考えつづけた結論をまとめたものです。その背景には、筆者が1985年以来、職業的にAI、自然言語処理の研究開発に従事し、1993年から1994年にマサチューセッツ工科大学人工知能研究所の客員研究員(Visiting Scientist)として、ノーム・チョムスキー(自然科学としての言語学を創始)、マービン・ミンスキー(人工知能の父)、ジョージ・A・ミラー(認知心理学の開祖、ワードネット[WordNet]プロジェクトを創始)他の薫陶を受けながら脳内の言語知識のモデルを研究した経験、その成果を踏まえて、類似検索の体感精度を改善したり、高精度な文章要約システムを開発したりした経験があります。  …AIの産業応用や、AIが浸透した社会における人間の役割、教育のあり方などに興味、関心をもっておられる方に、必ずや、お役立ていただくことができると思います。  (「はじめに」より)」
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 11/11に、GRAPE という新サービスがスタートしました。

http://www.grapenet.jp/

「世界初、社会貢献型モバイルコンテンツプラットフォーム」

 Optで鍛えた 大変優秀なモバイル系企画能力を備えた株式会社ハロのイセオサムさんの企画、そして、実装は、株式会社レオンテクノロジーさんによるものです。

 GRAPEは、広告をはじめとするコンテンツ(逆にいえば広告以外も可)を、コンテンツ・プロバイダーさんから供給を受けつつ、独自の編集を行うコンテンツチャンネル(GRAPE)を介して、複数のメディアに対し、各々カスタマイズを行い、同時に各々異なるタイアップ企画を行えるプラットフォームです。

「コンテンツチャンネル」というのは、コンテンツ・プロバイダーさんと、掲載メディアさんとのタイアップページという位置づけとなります。

カスタマイズの内容は、メディアごとに専用のロゴ、カラーを設定したりで、これらにより、オリジナルのタイアップ企画を生成します。

掲載メディアから誘導されたお客様が、コンテンツ・プロバイダーさん側サイトで何らかのアクションを行うごとに、掲載メディアさんに対して成果報酬費用が支払われる仕組みとなっています。シンプルな課金の仕組みで、掲載メディア側が勝手になにやら無理したり作為的な演出を行いたくなるような、単価向上等のインセンティブがないため、継続性が高いこと。そして、結果的に、エンドユーザにとっても不快さ、ストレスを与えない、という「三方良し」を狙っているようです。中間手数料の一部を、戦争や災害によって傷ついた子供たちのケアを行うKIDS EARTH FUNDの支援に活用、とのことで、GRAPE運営者を介して、コンテンツ・プロバイダー、掲載メディア、そしてエンドユーザさんが世界の子供達に貢献できる、という仕組みとなっています。

パーソナライズド広告に至る背景

1 to 1 マーケティングの概念は、今から18年前に誕生しました:

" One To One Future" , Rogers & Peppers, 1991

その8年後位、20世紀末に米日でブームとなり、OneToOne Marketing On the Web という Rogers & Peppersによる少数限定の実践道場(※私が2000年にシカゴで参加したときはIBMのASP担当部長さんなど5名でした)などで、Webサイトのパーソナライゼーション、マス・カスタマイゼーションの研究と実践が進みました。

※道場への参加体験を踏まえた論文を情報処理学会で発表しました:

『1to1 マーケティングに基づくE-ビジネスのための技術要件』  立ち読みじゃ不足、という向きはこちら

  しかし、これらの新しいマーケティングの概念が、いきなり広告、Broadcastingの世界に影響を与えるには至りませんでした。この間、検索連動広告などが出てきたため、コンテンツのカスタマイズより、配信、選別が圧倒的に先行したためです。消費者一人一人専用に広告内容やを生成する、という仕組みに必要な技術開発、コストダウン、はこれからの課題です。消費者個人の目下の興味(on time / off timeで違うし、時間が経てば興味も移りゆく)を自動抽出し、極めて高精度な、ピンポイントのコンテンツ選別には、高度なセマンティック技術が必要。意味解析や、背景知識(行動履歴含む)や、一般常識もある程度は活用する必要があります。

 究極の個人専用コンテンツ生成の仕組みは、2054年のワシントンDCを舞台にした、スピルバーグ製作の未来SF映画『マイノリティ・リポート』に表現されています。私は2003からDVDを友人・知人に貸してこのような広告実現のための自然言語処理技術開発の重要性を訴えてきました。せっかくですので、友人・夏野剛さんの近著『グーグルに依存し、amazonを真似るバカ企業』第三章 ウェブビジネスの未来、から引用しましょう。

「未来の広告のカタチ 〜個人最適化

・・私が考える近未来のカスタマイズ広告イメージは、 、トム・クルーズ主演のSF映画『マイノリティ・リポート』に 出てきた形態だ。この映画で描かれる2054年の未来世界では、マス広告はもはや存在しいていない。生体認証によって個人が判別されている時代なので、街を歩けばその人に合った広告が飛んでくる。例えば、GAPの店舗に入った主人公は虹彩認識で個人が特定され、「先日のタンクトップはいかがでしたか?」といったアナウンスが流れる。」

「マイノリティ・リポートで描かれた広告がどれくらい先になるかはわからないが、現在も研究が進められている広告のカスタマイズがますます精度を増していくだろうことが予測されると同時に、個人的に楽しみでもある。」(引用終わり)

 そして、高精度なピンポイント広告、個人専用に生成された広告と相性が良いのは携帯です。2050年頃に、立体ホログラム映像が街中に現れたりするようになるまでは、携帯、スマートフォンの天下ありましょう。

 GRAPEは、大画面TVの前に座って、ときどき携帯で関連コンテンツを楽しみながら視聴するスタイルから、関連コンテンツへの誘導を考えているようです。今後が非常に楽しみです。

納得性(説明性)の高いマッチングが鍵

  では、今後、編集者・技術開発者を含めた4者のWin-Win-Win-Winを実現するにはどうしたら良いでしょうか? 1つの鍵は、納得性、透明性だと思います。Yahooさんのインタレストマッチなど、開いた頁上のテキストを全て解析し、過去何ヶ月もの履歴を全部使ってしまう「総合評価」型は引き続き苦戦が予想されます。ユーザの興味が日々変化すること、とくに、今観たTVの内容などに即応して何か調べたくなる、といったニーズに対応できないことが問題だからです。

 そこで、コンテンツのリアルタイム解析、意味抽出、というセマンティック技術と、リアルタイム・コラボ系のソーシャルメディアの活用が突破口を開いていくように思います。少々手前味噌ですが、 「なぜこのコンテンツがレコメンドされたのか?」、普通のユーザにガラス張りに納得できるやり方は、5W1Hや、そのコンテンツ特有のメタデータを明示し、「こんな手がかりがこんだけあったからレコメンドしたのですよ〜」とビジュアルにさりげなく表示する方法でしょう。これは検索エンジンの「キャッシュ」をクリックすると、色付けてハイライトしたキーワード群が表示されて納得できるのと似ています。

 自分が入れたキーワードしか表示されないのでは疲れちゃうので、比較対象の両コンテンツや、番組テーマに即したメタデータ、自動生成したキーワード群、それも概念・意味内容が同じなら文字列が不一致でもちゃんとヒットするオントロジー技術を用いて、自動的に適切なコンテンツをレコメンドする。なぜこいつがレコメンドされたのか、一目で納得できる。こんなカタチが好感されることでしょう。

 妙なインセンティブの仕組みがあると、上記のようなセマンティック・レコメンデーションも信用を失いかねません。ですので、GRAPEのような仕組み、ビジネスモデルと、下記5W1H Mextractrのようなマッチング技術は非常に相性が良い、と考えています:

マイコミジャーナル: 文章から単語を抽出して検索をサポート - IE8アドオン「5W1H Mextractr」

 

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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