連日最高気温が35度を超す「猛暑日」が続く日本列島。この状況は日本だけではなくフランスやスペインそしてアメリカでも同じような異常気象が起きていますが、日本はさらに一日24万人もの新型コロナ感染者を生み出し、それが世界最多(7月25~31日の1週間の集計で、日本の新規感染者数が137万9099人、これで2週連続世界最多)になっている。けっこうとんでもない状況に追い込まれている今日このごろです。
そんな中、今年の1月NTTドコモは「docomo Open House'22」の中で人間の能力をITで拡張させる「人間拡張基盤」を発表しました。このコーナーでも2月19日の記事で紹介をしましたが、来たるべき6G時代を前に人間の能力を6Gネットワークで拡張させようという試みはITやAIが進化する中、我々人間そのものも進化させていっています。今回はこうした人間拡張を試みる猛者たちのこの半年の活動をピックアップしてみたいと思います。
◆韓国で人間の脳細胞に似た新型素子を開発、、、
人間の脳にはニューロンという神経細胞が一千億個あると言われています。犬なら数十億個、蛇なら数百万個などそれぞれの動物で数の違いがあり、その数が多いほどものごとの判断ができる質や数がかわると言われています。いわゆるAI(人工知能)は、そのニューロンのつながりをコンピュータプログラムでシミュレーションしたもの。こうした「ニューロンのつながり」をプログラムではなくニューロモピック( neuromorphic )と呼ばれる電子素子を使えば、非常に少ないエネルギーで大量のデータを迅速に処理することができるとこれまでも研究されてきました。
そんな中韓国国立科學技術院大学(KAIST)のチェ·シンヒョン教授の研究チームは6月7日、高性能なニューロモフィック素子「メムリスタ( memristor )」を大容量アレイ(array)形態で開発したと発表。今後集積化も含め音声認識や画像認識を高い効率で処理できる「高集積ニューロモフィックAIシステム」を目指すと話しています。開発が進めば、いまの数百倍の処理能力を持つコンピュータが実現するのはもとより、世界各国で開発が進められている「量子コンピュータ」以上の処理能力を持つマシンを常温で実現できるようになるかもしれません。
◆女将の脳活動、相手の表情に敏速反応 「おもてなし」を科学で解明、、、
滝川クリステルさんが東京オリンピック招致のためのプレゼンテーションで「おもてなし」を日本独自の文化とアピールしたのはとても印象的でした。そんな「おもてなし」が科学的に解明されたそうです。
愛知県の「生理学研究所」の研究グループは、接客に長けた旅館の「女将(おかみ)」の脳活動を分析した結果、通常の人より相手の特に怒った表情に敏速に反応する能力があることを発見しました。研究グループは「おもてなしに長けた人は、客の表情を認知する能力が高い」との仮説を立て検証。蒲郡市の温泉旅館の女将21人と、年齢が一致する接客業未経験の女性19人を比べる実験を行ったそうです。
方法は、普通に顔を見たときに反応する脳波「N170成分」と、表情を含む顔を見たときに反応する脳波「P100成分」を、無表情、笑った顔、怒った顔それぞれに対して反応を計測。すると女将は接客業未経験者に比べ、「P100成分」の反応が全般的に大きかったそうです。つまり女将は人の表情を常に意識しているということ。また女将は「N170成分」に対しても接客未経験者よりも反応が早いという結果が出たそうです。つまり女将は相手の不満や不快感に即座に対応できる、すなわち「おもてなし」に長けているということが科学的に証明されたというわけです。
これらのデータを活用すれば、「女将(おかみ)」の心で対処するAIを実現させたり、人間拡張に活用すれば初心者でも「女将(おかみ)」並みの対応がすぐにできるようになるかもしれません。さらには海外に輸出すれば、素晴らしい日本の文化を世界にアピールできるかもしれません。
◆100秒1000円で買い取った自分の脳波が絵画として販売、、、
東京のギャラリー「アーツ千代田3331」で世界初の脳波買い取り企画「BWTC Trade Week」(7月30日~8月9日)が開催されています。脳波を買い取って何をするかというと、その脳波データを独自のアルゴリズムを使って即時に絵画に変換、印刷するというもの。医療ドラマで見るような波形ではなく、縦線の濃淡が並んだものになっています。
来場者は氏名のイニシャル、性別、年齢の情報などに加えて「今から100秒間何を考えるのか」の内容を入力。額にカチューシャのような専用機器を装着後計測。これだけで自分の脳波を100秒1000円で買い取ってもらえます。
今回の脳波絵画展のプロジェクトデザイナー・出村光世氏によれば「自分の内側から出た情報がどう価値として変換できるか」への挑戦だといいます。実際に買取体験をしていただければ、いつもと違う気分で絵と向き合い、価値のバランス感覚について考えることになる」と話しています。これは人間拡張に直接関わるものではないですが、人間拡張の「可視化」として興味を深めていくことにつながることは間違いありません。
(出典)
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■韓国で人間の脳細胞に似た新型素子を開発か!?
https://www.kedglobal.com/jp/kaist-ニューロモピック-素子/newsView/ked202206080002
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■温泉女将の「おもてなし」を脳科学的に解明
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