ロシアによるウクライナ侵攻が未だ集結に至らぬ中、岸田総理はアジア唯一のG7メンバーとして東南アジア3カ国と英国を歴訪し、23日には米バイデン大統領との日本での初「日米首脳会談」を行うなど積極外交が続いています。
そんな中アメリカではUFOめぐり50年ぶり公聴会が開かれ話題になっています。これは未知の生命体との遭遇を考えるというよりはあくまで未確認飛行物体についてもはや放ってはおけない、宇宙も含めた地域で世界が脅威にさらされている、それはウクライナ侵攻においてもさまざまな未確認兵器が登場してきているからのようです。見たことのないドローン兵器や飛行物体が平和や安全を脅かす、、、そんな時代に突入しているというわけです。
今回はそんな恐ろしい兵器ではありませんが、宇宙を舞台にした話題のデジタルトランスフォーメーション(DX)をピックアップしたいと思います。
◆未開の地を華やかに!ロボットが砂漠にオアシスを作る、、、
アポロ11号が月面に着陸したのが1969年7月20日、あれから53年たった今、ふたたび人類が月面に降り立つ計画が始まっています。そのひとつが米航空宇宙局(NASA)が準備中の「アルテミス計画」。今年スタートする無人宇宙船が月周回する「アルテミス1」に次ぎ、搭載された機材で月の軌道上に小型宇宙ステーションを建設し、2024年にはこれらを活用して有人月面着陸を果たすというもの。日本も参加が決まっており月面探査機などの機材提供を予定しています。この「アルテミス計画」では月面に降り立つだけではなく、月面基地の建設や長期滞在なども計画されているため、各分野で月面での生活に関する様々な開発が始まっているんです。
そんな宇宙における植民地開拓にも通じる実験だと話題なのがこのロボット。ドバイのロボットデザイナーのマジャール・エテハディ(Mazyar Etehadi)氏は砂漠に種を蒔いてくれる自律型ロボット「エイシードボット(A'seedbot)」を開発したと発表しました。
「エイシードボット(A'seedbot)」は、上面に取り付けられたソーラーパネルから電力を生み出し、1日を通して自律的に種を蒔くことができます。両足はプロペラのように回転できることから、砂漠のような場所でも問題なく前進できる構造になっているので、人間では絶対ムリな砂漠に種を蒔きつづけることができるというわけです。さらに前面にある2つの超音波センサーにより地形を認識することも可能。センサーで確認して種を植えても意味がないところは避けるようなこともできるそうです。
陸地のおよそ4分の1(約36億ヘクタール)が砂漠地帯で、1年に約600万ヘクタール(九州と四国をあわせた面積)の土地が新たに砂漠化していっている地球で、砂漠に種を蒔くロボットが、こうした砂漠化現象を食い止めることができることはもちろん、これから月や火星に移住するためにも重要なツールとなることは間違いありません。
◆月の砂での植物栽培に初めて成功、、、
砂漠への対応に加えて、米フロリダ大学(University of Florida)の研究チームは、アポロ計画で持ち帰った「月の砂」を使って植物栽培することに世界で初めて成功したと5月12日に発表しました。
これはアポロ11号、12号、17号がそれぞれ持ち帰った「レゴリス」と呼ばれる「月の砂」約12グラムを1グラムずつ小さな容器に分けてシロイヌナズナの種をまいて水と養液を毎日与えたところ2日後すべての容器で発芽したもの。その後6日後までは通常の発育状況だったものの、根が伸びなくなって20日後には枯れたということです。
NASAのビル・ネルソン長官によれば「今後の長期的な有人探査計画の目標達成に向け極めて重要な実験」だと指摘し、研究チームは引き続き月の砂を植物の生長により適したものに改良する方法を研究していくとしています。
国際宇宙ステーション(ISS)に民間滞在用「スペース・ホテル」、、、
ふたたび人類が月面に降り立つ「アルテミス計画」が2024年に予定される中、カリフォルニア州のスタートアップ企業「オービタルアッセンブリーコーポレーション(Orbital Assembly Corporation)」は、民間の宇宙ステーションを活用した宇宙ホテル「Pioneer」を2025年に開業すると発表しました。
地球の1/6程度ですが人工重力を有し、回転する5つのキャビンに最大28人のゲストが宿泊可能となる予定。食事や睡眠は普通にできる上にふわふわっとした宇宙感覚も味わえるそうです。誰もが宇宙滞在を経験できるということがSFや夢の世界ではなくなったということです。
「オービタルアッセンブリーコーポレーション」のロンダ・スティーブンソン(Rhonda Stevenson)CEOによれば、「商業、研究、観光という複数の収入源を想定することで、1~2週間の宇宙旅行市場を支援することができると考えられる」と話しているということです。また2027年までには400人宿泊可能な大型ホテル「Voyager Station」も計画されているとのことです。
Wifiより速い!LEDを利用したLiFi(ライファイ)技術、、、
最後に遠方との新たな画期的な通信技術が発明されつつあるという話題。遠方の情報を伝える方法として、古くは「のろし」をあげることから始まり、それが電波を通じて情報を伝えることができるようになりました。ラジオやテレビはまさにその一部です。ちなみに通信に使用する電波もいろいろあります。ロシアやウクライナでは真実が伝えられると「短波」という電波が注目されていますが、短波の波長は約10〜100メートル。短波といってもけっこう波長は長いです。
これが波長がどんどん短かくなっていくと電波も「光」になっていくんです。目に見える光(可視光)になると波長は赤の380 nm〜紫の780 nm、ナノメートルは100万分の1ミリ、ものすごく短い。実はこんな目に見える光にも情報が乗せられないか、いわゆる「可視光通信」を研究している方々がいます。
英国のエジンバラ大学発のベンチャー企業「ピュアライファイ社(pureLiFi)」は、なんとLED光を使って無線通信する室内向けシステム「LiFi@Home」を、2月末にバルセロナで開催されたモバイル業界最大のカンファレンス「MWC Barcelona 2022」で発表しました。LiFi(ライファイ)とは「ライトフィデリティ(Light Fidelity)」つまり「Wi-Fi」のライト(光)版といわれるもの。
例えば各部屋の天井の「シーリングライト」などにこの「LiFi@Home」を設置すれば、いまのWi-Fiとほぼ同じように無線通信が使えるようになります。そのうえ光なので、現在の室内Wi-Fiが約30メガbpsとすれば、それの約300倍(最大で224Gbps)の通信速度、1秒で2時間の映画18本分のデータがダウンロードできちゃったという記録もあるそうです。
家の中の「wi-fi」は、これからはこの「LiFi(ライファイ)」になるかもしれません。またこれを惑星間通信などにも応用できないかという研究も進められています。電波が光になればいまの何百倍もの情報を一気に送受信することができます。夢の通信技術ももはや夢から覚めつつあるんです。
(出典)
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■A'seedbot:globalgradshow
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■University of Florida official
https://blogs.ifas.ufl.edu/news/2022/05/12/a-first-scientists-grow-plants-in-soil-from-the-moon/
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■Orbital Assembly Corporation
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■pureLiFi