ついに昨年4月、今年1月に次いで3度目の緊急事態宣言が東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に今週末(4/25〜)から発令することになり、酒類の販売禁止や不要不急の外出禁止、スポーツイベントの無観客開催、百貨店やテーマパークなど多くの人が集まる場所の休業要請などこれまで以上の制約が課せられるということですが、国民が静かに従うのか疑問な状況です。
もちろんみんなで自粛して新型コロナの感染拡大を阻止していかなければならないことは重々理解しているわけですが、いまでも「まん延防止等重点措置=マンボウ」で生活しづらい状況は続いていて、それでも感染者が減らない現実が我々に疑問を投げかけてくるんです。この状況を打破するのは「ワクチン」をおいて他にはないでしょう。早期のワクチン接種を何より「重点措置」にしてほしいものです。
そんな中、アメリカのNASAが火星に送り込んだヘリコプター「インジェニュイティ」が、歴史上初めて地球以外の惑星での飛行に成功し世界を沸かせています。火星のヘリが初飛行に成功した場所は、初の有人動力飛行に成功したライト兄弟にちなんで「ライトブラザーズ・フィールド」と命名されました。コロナ禍で世界が不安になっている中、宇宙開発事業は着々と夢を実現させています。
■夢に立ち会えた!大学生が手作り人工衛星打ち上げに成功!!
火星にヘリコプター「インジェニュイティ」が持ち込まれたのは今年の2月。このブログでも書きましたが、2月はアラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「ホープ(Hope)」、中国の火星探査機「天問1号(Tianwen-1)」、そしてNASAのマーズも探査機「パーセべランス」と「インジェニュイティ」を積んで火星に到達するという、世界3カ国の技術の粋が火星に集中した歴史的な瞬間でした。そして3国の先人を切って「インジェニュイティ」が見事に空中散歩に成功したというわけです。
時を同じくして宇宙では日本の民間も頑張っていました。日本時間2月21日深夜に、大阪府立大と室蘭工業大の学生が共同開発した超小型人工衛星「ひろがり」がNASAの補給船「シグナス」に搭載されて打ち上げられ、翌日ISS国際宇宙ステーションに長期滞在中の野口聡一飛行士によって無事キャッチされました。
衛星「ひろがり」は、縦横10センチ、高さ20センチで、重さは約2・4キロという片手でも持ててしまう超小型衛星。このあと再び宇宙に放出され、宇宙空間での「ミウラ折り」という方法で折りたたまれた厚さ2ミリの板(12センチ四方)を広げる実証実験などを行いました。また同補給船には東京江戸川区の趣味の宇宙開発民間団体「リーマンサットスペーシズ」が開発した人工衛星「セルフィッシュ」も搭載されていて、こちらは宇宙放出後内蔵されたロボットアームが飛び出して宇宙での自撮りに挑戦したんですね。
ちなみにこうした宇宙ステーションへの物資の補給船は、宇宙ステーションの船外で待って、近くに来たらロボットアームで捕獲して物資を運んでいるんですね。ISSでこうした補給船をキャッチした日本人は2016年の大西卓哉飛行士に続き2人目だそうです。先日4月24日には星出彰彦飛行士を乗せたクルードラゴンがISSに到着して、今現在ISSには野口さんと星出さんの2人の日本人宇宙飛行士が滞在しているんですね。野口さんがこのあと地球に帰還して星出さんがISSのキャプテンを約半年間務めるということのようです。
■映画の世界を実現!?宇宙ゴミ回収衛星が発射!
さらに日本の宇宙開発技術は進みます。日本の民間宇宙企業アストロスケールという会社が世界に先駆けてスペースデブリ除去実証実験衛星「ELSA-d (End-of-Life Services by Astroscale - Demonstration)」を3月23日、ソユーズロケットでの打ち上げに成功。無事軌道上に投入したと発表しました。これまでもこのスペースデブリを回収するという計画はたくさんありましたが、人工衛星による宇宙ごみ回収の本格的な実証は、今回の日本が世界初となるそうです。
ちなみに2月に公開されて日本でもネットフリックスなどで大人気となっている韓国初の宇宙SF映画「スペース・スウィーパーズ」をご存知でしょうか? 2092年、地球は砂漠化や土壌の酸素化が進み、人間がほとんど住めなくなり、宇宙空間では新たな居住地を求めて建設ラッシュが始まっていました。そんな中、そんなところに住むお金のない主人公たちは、宇宙に散乱する金目のゴミを回収しようと「宇宙空間の掃除」に励む日々、、、。そんなストーリーなのですが、現実でもそんな宇宙のゴミ掃除がはじまるわけです。
思い起こせば映画「ゼロ・グラビティ」でも船外活動中に宇宙ゴミ=スペースデブリが突然宇宙ステーションに衝突し、ジョージ・クルーニーとサンドラ・ブロック扮する2人の宇宙飛行士が宇宙の無重力空間「ゼログラビティ」に放り出されるというシーンがありました。あれは夢物語ではなく現実も深刻な問題なんです。2010年時点で、地球の軌道上には10cm以上のものが約20,000個、10cm未満1cm以上のものは約50万個。 また運用中の人工衛星は約1,000個あり、運用が終了した人工衛星についても約2,600個も残されているという記録があります。
今回の宇宙ゴミ回収試験は高度550キロメートルの上空で行われ、カメラとレーダーを利用して目標に接近した後、強力な磁石で宇宙ゴミを回収。相当数の回収が終わった後は、ゴミとともに衛星が自動で大気圏に突入して自己焼却するんだそうです。
■中東初?UAEが月に探査車を送り込む!?
さらに日本の技術は世界の宇宙開発事業を支える役割も果たし始めています。日本の宇宙開発ベンチャー「アイスペース」は4月14日、アラブ首長国連邦(UAE)の宇宙機関「ムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター」と、月探査に関する契約を結んだと発表しました。
「アイスペース」社は、2010年ころから月面探査を目的として設立された日本の民間会社で、Googleが開催した「月面探査コンテスト」グーグル・ルナ・エックスプライズ(Google Lunar XPRIZE)の最終候補にも残った「HAKUTOプロジェクト」の運営会社で、2022年には月面探査船で月の表面の土壌サンプルを採取すると宣言していたことでも有名。
すでに着陸船や月面探査車の開発も始まっていて、その技術の高さや探査車との相性の良さから「UAE」という強力なパートナーを得て本格的に月探査に乗り出すことになりました。もしこれが成功すれば、中東で初めて探査車を月へ送り込む国の協力企業となります。「アイスペース」の袴田武史・最高経営責任者によれば「UAEが歴史的な瞬間を我々に託してくれたのは光栄だ」と話しているそうです。日本の新型コロナワクチン技術もこれくらい世界を支えるだけのポテンシャルを持っているはずなんですが、頑張れニッポン。
(出典)
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■NASA、火星ヘリコプター「Ingenuity」の初飛行に成功--地球以外の惑星では史上初の快挙
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■人工衛星”ひろがり”
https://www.sssrc.aero.osakafu-u.ac.jp/activity/opusat-ii-project/
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■アストロスケールが民間世界初デブリ除去衛星ELSA-dの打上げ・軌道投入に成功
https://astroscale.com/ja/astroscale-celebrates-successful-launch-of-elsa-d/
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■ispace、UAEドバイ政府宇宙機関MBRSCとペイロード輸送契約を締結