■人類史上初、3カ国の探査機が火星へ、、、
地球から約3億マイル(4億8200キロ)離れた火星では現在NASAの探査機パーセべランスを始め、中国の天問1号、UEAのホープの3基が火星を取り囲んで探査を開始しています。これは宇宙開発事業の中でも歴史に刻まれるレベルの出来事なんだそうです。
まず2月9日、アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「ホープ(Hope)」が火星の周回軌道に無事到達。UEAとしてはもちろん初、火星到着国としては5カ国目、そして翌日の10日には中国の火星探査機「天問1号(Tianwen-1)」も火星の周回軌道に無事到達。中国も初で火星到着6カ国目。現在探査機は火星の周回軌道で回っています。そして日本時間2月19日早朝には、NASAの火星探査ロケット「マーズ」が探査機「パーセべランス」を乗せて火星周回軌道に入り、その後見事に火星に着陸も果たしました。火星に探査機が降り立つ際にパラシュートを開く様子や、地表から砂が舞い散る様子が映像で映し出されましたね。さらに火星で風が吹く音も紹介されました。
アメリカはすでに火星探査は14回行われていて今回が15回めとなるそうです。つまり現在火星の地表および軌道上にはNASAの探査機「パーセべランス」、中国の「天問1号(Tianwen-1)」、UAEの「ホープ(Hope)」が集合。3カ国の探査機が一同に集う「火星探査における歴史的な1ページ」がめくられたというわけです。この3カ国の火星探査機はいづれも昨年7月に順次地球から発射されたもの。3億マイルのかなたで地球の先鋭たちが一緒に活動しているかと思うと感慨深いものがあります。
■月面着陸、そして宇宙寺院、、、
そんな中、人類の月面着陸においてもどこの国が数十年ぶりの1番乗りを果たすかにも注目が集まっています。
中国は昨年12月1日、月面無人探査機「嫦娥(じょうが)5号」が月への軟着陸に成功したと発表。中国はこれまでにも2回月面着陸に成功していますが、3回目の今回は、これから月の土壌サンプル約2キロを採取したのち、12月中旬に月を飛び出して再び地球に帰還に成功しています。これで1976年に旧ソ連時代のルナ24号で持ち帰って以来月のサンプルが地球に持ち帰られたのは44年ぶりとなるそうです。アポロ計画では11号が人類史上初着陸、最後は1972年の17号。現在中国に追いつき追い越せと月着陸についても民間と共同で準備中ですが、いまのところアメリカ(NASA)は民間主導で2024年まで、中国は2022年までに人類月面着陸を実現させると発表しています。
それを横目に、日本では2023年に打ち上げ予定の人工衛星内になんと、京都の世界遺産でもある醍醐寺が「宇宙寺院」を建立する計画であると2月8日同寺院から発表がありました。
これは日本の人工衛星開発ベンチャーの「テラスペース」と醍醐寺の共同企画で、人工衛星内に縦20センチ、横30センチ、奥行き10センチほどのスペースを取って、そこに大日如来像や曼荼羅(まんだら)をまつり、地上からはスマホアプリと連動して常時位置が確認できたり願い事を送ったりすることができるようになるということです。
宇宙寺院は「浄天院劫蘊寺(じょうてんいんごううんじ)」と名付けられ、高度約400~500キロの軌道を約1時間半かけて周回しながら、地球を含む宇宙全体の平和と人類の宇宙での活動の安全に祈りをささげるためのイベント「宇宙法要」も随時行っていくということです。お祈りも宇宙からと一歩神様に近づいたということでしょうか。
■宇宙ロケットもEV時代、、、
そしてなんと、ロケットにも電気の時代が到来という話題が駆け巡っています。カリフォルニア州立大学フラトン校の名誉教授で物理学者のジェームズ・ウッドワード博士は、燃料を燃焼することなく電気だけで推進できるロケットエンジン「メガ(MEGA)ドライブ」の実現性が確認できたと発表しました。
これはロケット燃料などを燃やすことなく、特殊な物質に電気を加えることでマッハ効果と呼ばれる「物質を後ろに押し出す推進力」を発生させロケットを推進させるというもので、この研究をこれまでウッドワード博士を中心とする研究チームがNASAの特別プログラムで行ってきたものです。
ウッドワード博士によれば、今回確認できたマッハ効果は、特殊な物質を使って電気を通し、ある瞬間重くさせ、次の瞬間軽くすることで、ニュートンの運動第3法則が発生し物質が後ろに押し出されることを確認したということです。現在博士が開発したメガドライブエンジンは1台で約100ミリニュートンの推進力を実現させたそうです。ちなみに1ニュートンは約100グラムのりんごを手のひらに乗せたときに手のひらにかかる力なので、博士のエンジンはりんごが落ちる力の10分の1まで出せるようになったというわけです。
もちろんこれで本物のロケットを動かすとなると無数のメガドライブエンジンが必要になってしまいますが、現在たった一辺が6センチの立方体のエンジンでの実績ということで、これを拡大していけば確実にロケットの推進エンジンとして使えるようになると確信したということです。このメガドライブが実現すれば、ロケットが宇宙を行き来する際に燃料がほとんど必要なくなることで飛距離を格段に長くすることが可能になるほか、宇宙ステーションを太陽電池だけで永遠に回転させ続けられるようになるのではということです。宇宙への人類の夢は果てしないものです。