■宿題アプリ「作業幇(サギョウパン)」とは・・・
アリペイなどのキャッスレス決済アプリを全世界に普及させるなど、新たなデジタルトランスフォーメーション(DX)が次々と誕生している中国ですが、教育現場では「宿題アプリ」というのが大流行しているのをご存知でしょうか。
「宿題アプリ」を立ち上げて、学校のテストや宿題で出題された問題をカメラで撮影すると、自動的に内容を解析し、類似の問題をデータベースから探し出し、解答と解説を返信してくれるというものなんです。基本無料ですが、有料コースを選べば、人間の講師が出てきてその問題についていろいろ解説までしてくれるそうです。さらに解説してくれる講師も事前のレビューなどから選択が可能。つまり学習塾がそのままそっくりスマホに内蔵されてしまったというわけです。
最も使用されている宿題アプリの一つが「作業幇(サギョウパン=中国よみではZuoyebang:ゾウイエバン)」というアプリで、コロナ禍の状況のため「宿題アプリ」は普及をさらに加速させ、いまや中国内の5~14歳の人口約1億7000万人全員が日々のアクティブユーザーになっているとも言われているそうです。
「作業幇(さぎょうパン)」を運営する「作業幇教育科技(サギョウパン教育工業社)」は、2014年に中国の検索サービスでおなじみの「バイドゥ(百度)」からスピンアウトした人が立ち上げたエデュテックベンチャー会社。ジャンルとしては日本でも増えつつあるオンライン授業サービスのひとつになりますが、生徒側が知りたい宿題などを写真で撮って送るだけでそれについての答えや解説が聞けてしまうといういままでありえなかったサービスに仕上がっています。中国全土から毎日送られてくる問題もどんどん蓄積され現時点で3億件に達しているそうで、これらをAIなどで分析することで今の教育現場でどんなことがおきているかが予測でき、教育という概念そのものをひっくり返す可能性があると言われています。「宿題アプリ」に今後も目が話せません。
■子どもの心が分かる!?中国でAI幼稚園が誕生!?
そんな「宿題アプリ」を生み出した背景にはこんな話題もありました。上海市の「天華(てんか)幼稚園」では、子供たちの心と行動を評価するため2020年(昨年)春からAIシステムを導入。子供たちの表情をつねに高速で認識することで遊びに対する集中度や活性度などを常時めくばりできるようにしていくということです。
また発育の面でも、からだや足の動きなどを常時AIが認識して子供の知能の分析にも役立てていくということです。こうしてそれぞれの子供の表情と動きや心理状態を可視化することで、成長報告書や知能マップなどを作成。これらのデータをもとに、ゆくゆくは子供にあった才能を伸ばすなどして優秀な人材を育成していくことがねらいのようです。
ここから才能のある人材が生まれるようになっていくとなれば、教育分野におけるAI活用は必須のものとなっていくかもしれません。
■ClubHouse(クラブハウス)に物申す・・・
中国の1億7000万人の小中学生全員が利用しているとまではいかないものの、昨年3月ころから英語圏を中心にサービスが始まっていた音声版SNS「ClubHouse(クラブハウス)」が、1月なかばから日本語版のアプリが公開されるやいなや一気に日本中に広まって、現在約50万人〜100万人に向けて利用者がぐんぐん拡大中。ということでみなさんも最近この「ClubHouse(クラブハウス)」についてざわついています。
専用ページに招待してもらいたいと申請しておくか、利用中の友達に招待してもらって始めることができる招待制のサービス「ClubHouse(クラブハウス)」ですが、ログインすると複数のひとたちで何かをテーマに座談会をする「ルーム(Room)」とよばれる部屋がいくつもあります。部屋にはそのテーマや話題が掲げられていて、そのリストを見ながら興味のある部屋に入ります。するとそこはまるでラジオの生放送のような世界。まさに私もお手伝いさせていただいているBayFMで毎週金曜19時から生放送中の座談会ラジオ「金つぶ」がそのままスマートフォンに乗って、リスナーもいつでも参加できてしまうような空間になっているわけです。メインで発言する方は決められているので会話を聞いているだけでも問題ないですし、そこでちょっと発言したいときはボタンを押せば発言させてもらうこともできるので、ラジオの生放送より取り上げて貰える確率は高い感じがしますね。
■ClubHouseと宿題アプリの関係・・・
この「ClubHouse(クラブハウス)」はある日本の会社の決算説明会で活用され、利用者からの質問を生で受け付けて話題にもなりましたし、先日は、電気自動車や宇宙開発などでおなじみのイーロン・マスク氏が「ClubHouse(クラブハウス)」に登場して、以前にもご紹介した、脳とコンピュータを直接つなげるインターフェースの開発をする「ニューラリンク(Neuralink)」の最新情報として、なんとインターフェースを埋め込んだ猿が脳で考えるだけでテレビゲームを操作することに成功したと明らかにしました。そんな大きな反響を受けて中国では利用禁止にもなっていると聞きます。
ただそんな生の話題が満載の「ClubHouse(クラブハウス)」ですが、その一方ガラケーが出始めたころの「パーティライン」の再来かと言った意見や、またいっきにルームが増えすぎて自分が聞きたいルームがどこにあるかを見つけ出す機能が弱く、どれを聞いていいかわからない現状もあります。こうしたところが前出の「宿題アプリ」の検索機能は抜群な性能を持っているとうことがわかります。中国全土のあらゆる宿題やテストの問題が登録整理され、必要な利用者にすぐに見つけられるからこそ小中学生全員が利用しているというわけです。
そんな「宿題アプリ」にも「ClubHouse(クラブハウス)」的な機能があるとより便利かもしれませんね。生徒に出された宿題や問題について生徒同士が会話をはずませたりそこに教師が適切なアドバイスを語りかけるというのも全然ありえることだと思います。さらには音声認識でそれぞれの会話部屋を検索できる機能ができたら更に便利です。コミュニケーションツールの進化は果てしないです。
(出典)
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■ZuoyebangがシリーズE+資金調達で16億米ドル超を調達(21/01/07)
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■Clubhouse