■いよいよ宇宙ホテル事業が始まる・・・
イーロン・マスクCEO率いるテスラ【TSLA】の株価急騰が止まらない。昨年12月には300ドル程度だったのが、年明けに一気に500ドルまでアップ、現在(2月7日)時点で約750ドル。昨年7〜9月の黒字決算の発表をきっかけに一気に注目を浴び始めたと言われているが、私はマスク氏のもう一つの事業「スペースX社」の宇宙開発事業にも期待がよせられていることも関係ある気がしてなりません。そんな民間へ開かれた宇宙開発事業にさまざまな新事業が誕生を始めています。
昨年6月7日、NASAは国際宇宙ステーション(ISS)への「民間人」の受け入れを、早ければ2020年から始めると発表。NASAは2024年までにISSのサポートを終了する予定で、その後の運営を民間への譲渡を検討中なことから、国際宇宙ステーションも民間ビジネス化していくと言っていたのですが、なんと先日(2020年1月28日)にはISSを民間宇宙事業支援の場とすることを正式に発表しました。発表によれば、個人向けの宇宙旅行プログラムの提供や宇宙開発のサポートを行っていく「Axiom Space(アクシアム・スペース)」社がISSを買取り、「AXIOM STATION(アクシアム・ステーション)」という名でホテル事業を展開するということです。
国際宇宙ステーション「ISS」は地上から約400km上空に建設された巨大な有人実験施設で、1周約90分というスピードで地球の周りを回りながら、実験・研究、地球や天体の観測などを行っています。記録によれば、アメリカ、ロシア、カナダ、日本、そして欧州宇宙機関(ESA)が共同で、1998年11月20日から軌道上での組立を開始し、2011年7月に完成。当初の運用期間は2016年までの予定だったそうですが、利用価値が見いだされ、現在2024年までは運用を継続することになっています。ですがその経費は莫大で、運用終了までに要する費用は1540億USドル(約17兆円)と見積もられているということで、その後の処遇が注目されてきました。
今回の発表でいよいよ宇宙旅行だけでなく、宇宙滞在、宇宙観光などの事業も始まると予想されますが、肝心の費用については、以前から予告されている滞在費用によれば、15週間に及ぶ地上での事前トレーニングののち、往復の費用がおよそ5200万ドル(約56億円)、ISSへの滞在費は1日あたり3万5000ドル(約380万円)という金額は変わっていないようなので、まだまだ一般人には夢のホテルになりそうです。
■月の砂から酸素の取り出しに成功!!
そんな中スコットランドのグラスゴー大学のBeth Lomax(ベス・ロマックス)博士は、月の砂(レゴリス)から効率的に酸素を抽出する方法を見つけたとESA(欧州宇宙機関)を通じて発表がありました。
月の砂には以前からも豊富な酸素が含まれていることはわかっていたのですが、ほかの鉱物などと結合していて、酸素だけ取り出すためには1600度という高温にして溶かすしかなく、それでも微量の酸素しか取り出せなかったそうなんです。
ロマックス博士は、溶融塩電解という特殊な方法を編み出してためしたところ、ほぼすべての酸素を取り出すことに成功。現在は96%の酸素を取り出すのに50時間ほど必要ですが、今後改善されていくことで月面での燃料供給や生命維持に役立つことは間違いないということです。また火星などほかの宇宙活動でもこの技術を応用することで新たな効果をもたらすことになるのではないかということです。宇宙での生活の準備が着々と進んでいます。
■ESAの重要なミッション!宇宙ゴミを取り除け!
そしてESA(欧州宇宙機関)からはもうひとつ、世界初の地球の軌道から宇宙ゴミを取り除くミッションを開始すると発表がありました。
地球の低周回軌道(高度約1200マイル)上には現在、大量のゴミ(スペースデブリ)があるそうです。それは3000個以上の衛星の残骸とそれらが衝突を繰り返して飛び散った数千万の破片が散乱していると言われています。計算によれば、約1億2000万個の小さな破片と数万個の塊が地球を1時間あたり17500マイル(時速28000キロ)の速度で周回しているそうです。
宇宙ゴミの取り除きミッションは、スイス連邦工科大学ローザンヌ校の専門チームが立ち上げたスタートアップ企業「ClearSpace」を中心とするコンソーシアムが実施するもので、2013年にESAが軌道上に残したままのVespa(ベスパ)と呼ばれるロケットの上段分離部分をターゲットに、捕獲ロボット「チェイサー」を打ち上げ、4本のアームを使って捕獲。その後一体となって大気圏に落として燃え尽きさせるというものです。
このミッションを成功させることで、我々の家に来るゴミ回収車のように、定期的な宇宙ゴミ回収作業を実現させることを目指します。実施開始は2025年の予定。これをきっかけに宇宙ゴミ除去ビジネスも各国が乗り出してくるということになります。地上では新型コロナウイルスが猛威を奮っていますが、宇宙では着々と新たな時代が始まろうとしています。