■体重に関係なく早歩きは長生きの秘訣・・・「
ウォーキング好きに朗報です!! 歩くスピードが早い人は、なんと体重に関係なく、ゆっくり歩く人に比べて最大15年も長生きすると、英国レスター大学( the University of Leicester)の研究チームが医学専門誌『メイヨークリニック(Mayo Clinic Proceedings)』に発表しました。
研究チームは2006年から2016年までの10年間にわたって、平均年齢58.2歳の47万4919人(約50万人)を対象に、日々の平均歩行速度とその人の寿命を収集。その結果、歩くスピードが比較的早い人の平均寿命は、女性では87歳(86.7歳~87.8歳)、男性も86歳(85.2歳~86.8歳)だったのに対し、ゆっくり歩く人の平均寿命は、女性は72歳(72.4歳)で、男性は65歳(64.8歳)だったということです。
そしてその人がたとえ太っていても、歩くスピードのほうが体重よりも寿命に関係がある、即ち歩くスピード早い人が寿命が長いという関係は、異なるレベルと肥満の指数にわたって一定であることが証明されたというわけなんです。
■時速5キロで歩けると95歳まで生き延びる?・・・
これまでにも歩行スピードと健康の関係性については世界中で研究されており、早く歩ければ歩けるほど体が健康であるということに関しては以前から経験則としてはわかっていました。
例えば、2011年にアメリカの科学専門誌「The Journal of the American Association」に発表された「Gait Speed and Survival in Older Adult」という「歩行速度と寿命の関係調査」でも、65歳以上の男女、34,485人について歩行スピードと寿命の関係を6年間〜最長で21年間データ収集。この結果でも「歩行速度が速い人ほど生存率が高く、遅ければ生存率が低い」と結論づけています。ちなみにこの論文には、少し早歩きの「秒速0.8m (時速2.88km)」 の人の寿命は約80歳、それに対し、「秒速0.2m (時速0.72km) 」の人の平均寿命は約74歳、逆に「秒速1.6m (時速5.76km) 」で歩行する人の平均寿命は95歳以上になると書かれています。
■ついに寿命と歩行の関係が明らかに・・・
さらに歩くことで「大腸がんを予防する効果がある」という事例や、1日30分以上、1週間で合計2時間以上の早歩きを行うと、善玉コレステロールが増えるという調査結果も報告されていたり、1週間に3~5時間歩く人は、1時間未満しか歩かない人に比べて、乳がんによる死亡率が50%低くなるという研究報告も出ています。逆に歩かないことで、心臓疾患のリスクが増大し糖尿病になりやすくなる、これは糖分の約70%は筋肉で消費するからだそうで、糖尿病患者でも、運動をしていればインスリンが不要になることがある、ちなみに宇宙飛行士は、無重力空間で筋肉を使っていないため、2週間宇宙に滞在するだけで糖尿病になってしまう危険があるんだそうです。
こういった「歩行と寿命に関する一連の因果関係」を改めて今回の研究で実証ができたというわけです。
今回のレスター大学のトム・イエーツ教授によれば「寿命は肥満度を示す「BMI値」(体重kg / (身長m)2乗)よりも、体力に関係があるということを改めて証明させた」と話しています。
■みなさんもぜひ実行してみては・・・
ちなみにここでいう「早歩き」とはどのくらいのものなのか。健康専門サイトをいくつか確認したところ、理想的な歩幅は、身長×0.45だそうです。例えば身長150cmの人の理想的歩幅は約67cm、155cmの人は約70cm、160cmの人は約72cm、170cmの人は約76cmということになります。「早歩き」はこの基本の歩幅にあと10~15cm広げるつもりで「やや大股」で歩くことを表しているといえます。
「早歩き」は30分連続して歩いても、10分を3回に分けて歩いても、体脂肪量の減少率に関しては変わらないという結果が出ていることから、運動は連続して行っても小分けにしても効果は変わらないので、誰もが今からでも「早歩き」を心がけていくのがよろしいのではないでしょうか。
(出典)
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■メイヨークリニック(Mayo Clinic Proceedings)
https://www.mayoclinicproceedings.org/article/S0025-6196(19)30063-1/fulltext