■人工クレーターも成功・・・
日本の宇宙開発における偉業をさらに轟かせる話題が舞い込みました。それが小惑星「りゅうぐう」の表面に衝突装置を射出して人工クレーターを作る実験。これを4月5日みごとに成功したということです。もちろん小惑星への衝突実験は世界初のこと。しかしながらこうした偉業の背景に宇宙開発のプロの力だけでなく、日々研究を続ける学生さんの力があることを知っていましたか?
それは、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) による宇宙探査機「はやぶさ2」が2月22日朝、小惑星「りゅうぐう」に初着陸(タッチダウン)に成功したことから明るみに出ました。
ライブタッチダウン動画
https://youtu.be/WmPQmVVtE5A
「はやぶさ2」は2014年12月に種子島宇宙センターより打ち上げられたH-IIAロケット26号機。それから約4年後の昨年2018年6月に、小惑星「りゅうぐう」に到達。9月には搭載された地表探査車の「ローバー・ミネルバ」を着地させ、世界初の小惑星上の探査車写真を撮影成功していました。
想像動画
https://youtu.be/OR-vN1xyfF0
■地球から2億8000万キロ離れた小惑星に探査機を飛ばすということ・・・
「りゅうぐう」は地球から約2億8000万キロ離れた、火星と木星の間の小惑星帯にある大きさ約900メートルのほぼ球形の小惑星で、太陽系が出来た初期のころの情報が保存されているため、調査することで生命の起源などの解明に役立つとされています。
2005年には「はやぶさ2」の前の探査機「はやぶさ」がやはり同じ小惑星帯にある「いとかわ」に着陸してサンプル採取に成功し、2010年にはサンプルと一緒にはやぶさ本体が地球に帰還し、世界初の偉業をなしとげましたが、今回の小惑星「りゅうぐう」では、それぞれの小惑星の成り立ちの違いなどから「いとかわ」では採取できなかった、さらに生命の起源に関わる物質が発見されるのではないかと期待されています。
ロケットは発射するときの事故が多いため、一般人からすると、発射が成功すればあとは目的地まで腰を据えて待っているだけで到着できるだろうと思いがちですが、今回の小惑星「りゅうぐう」への着地には、想像を絶する技術力が必要のようです。
■そんな偉業を成し遂げられたのは学生さんの叡智・・・
今回のミッションでは、地球から約2億8000万キロ離れた大きさたったの900メートルの小惑星に探査機を着陸させるということなので、例えてみればドローンを操作して日本からブラジルにある6センチの的に当てる(バッテリーは保つと仮定して)ほどの精度が必要になる技術が必要だということなんです。驚くべきは、なんとこうした技術力の一端を学生さんが担っているということなんです。
その偉業をなしとげた縁の下の力持ちは、立教大大学院の亀田真吾教授(惑星物理学)率いる研究室の学生さんたちチーム。2011年から「はやぶさ2」に積む高精度カメラの設計や性能試験を担当してきて、着陸の際には「はやぶさ2」に搭載された3台のカメラから送られてくる画像を解析して正確な位置を割り出し、わずか900メートルの小惑星への着陸成功に大きな貢献を果たしたというわけです。
研究室メンバーの修士2年の諸井圭市(けいいち)さんや修士1年の石田茉莉花(まりか)さんは、1カ月近くの間、連日画像をにらみ続け、星の動きの特徴をつかんだうえで、画像処理技術も駆使して、安全な着陸へと導いたといいます。
■宇宙はみんなに任せたぞ・・・
「はやぶさ2」の公式ページには、その着陸(タッチダウン)後の彼らの細やかな対応について書かれています。
はやぶさ2公式ページ
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/
「接地後、(地面が斜めだったために)探査機は斜め方向に上昇しました。 そこからホームポジションへ戻るには、そのままの状態では、 探査機のスラスタの配置の関係上不得意な方向に噴射する必要がありました。 そこで、Y軸回りに20分の1回転、Z軸回りに6分の1回転、姿勢にひねりを加えてから、 効率よいスラスタを使った噴射を行い、さらにその逆のひねりを辿って元の姿勢に戻しています。 月面宙返りならぬ、リュウグウ上空宙返りを決めてから、颯爽とホームポジションへ戻る、 最後まで工夫しぬいた演技でした。」
すごいぞ学生さん!日本には世界でも通用する宇宙技術がこんなところにもあります。