最近頻繁に起きるSNSアカウントの乗っ取り。そしてつい先日は米フェイスブックが今年1~9月に計21億件を超える偽アカウントを削除したと発表。こうしたアカウントは「フェイク(偽)ニュース」や政治的プロパガンダの拡散に悪用されていた恐れがあるとされています。
今回はそんなアカウントについて、お世話になっているBayFMで特集したときにいろいろ考えたので、いまどきのPCとの接し方についてまとめてみたいと思います。
■パスワードは何のためにあるのか・・・
「アカウント」とは、英語で言えば「銀行口座」のこと。これが転じて今では「コンピューターやネットワーク上のサービスなどを使用する権利」の意味になっています。いわゆる「ID」=「identification」つまり「身分証明」「識別番号」ですよね。
つまり身分を証明するものが「アカウント」になります。なので、みなさんが日常使っているLineやフェイスブック、ツイッターなどの、いわゆるSNS(ソーシャルネットワークサービス)は、必ずアカウント登録が必要ですよね。メールアドレスで登録したり独自のIDを作成するなどして、自分だけが知っている「パスワード」でログインすることで自分が誰かを証明した上で、書き込みや閲覧ができるようになります。
現在、facebookの登録者は全世界で20億人を突破(2017年6月)、次いでInstagramが10億人(2018年6月時点)、Twitterは約3.3億人(2017年4月時点)、LINEは約2.3億人(2017年1月時点)という状況だそうですが、そのfacebookの5000万人分のユーザー情報が流出していた可能性があることをこの9月末に発表しました。
きっかけはフェイスブックのアクセスが9月中旬に異常に急増したことがきっかけで調べていくうちに、情報をアップロードする機能にバグが見つかり、これを悪用するとあらゆるユーザーのアクセスコードが誰でも見られるようになってしまっていたというのです。
それをきっかけにアカウントが乗っ取られて、自分が書き込んだつもりもない記事が自分の友達に配信され、多数の方が被害に会われたようです。これが乗っ取りです。
かたや、フェイクニュースなどニセのニュースを広めるなどに使われるニセアカウントが大量にあることも発覚しました。今年になってフェイスブックとツイッターで合わせて7億件の偽アカウントを削除したこともあきらかになりました。フェイクニュースは、インドなどではそのデマを信じた人々が無関係な人を殺害するという事件にまで発展して大問題になっています。
僕は特にありませんでしたが、最近こういうことが頻繁に起きているので、メールアドレスを入れると漏えいしているかどうか確認するウェブサイトが登場しました。「Have I Been Pwned」というMicrosoft Regional DirectorであるTroy Hunt氏が運営しているサービスです。これで自分のメールアドレスが漏洩している可能性があるか調べられます。あくまで可能性なので正しいかどうかは個人の責任で行ってください。何もしないと、みなさんのメールアドレスや生年月日、それに関連したパスワードなどは、使っているサービス会社以外のどこか知らない場所にコピーが出回っている可能性が非常に高い状態だということです。
フェイスブックの5000万件には及びませんが、今から5年前の2013年にはYahooが30億アカウントが流出したというのもあったようです。発覚したのは昨年8月。このときyahoo.comに登録されていたメールアドレスや生年月日が流出していますが、パスワードやクレジットカードや銀行口座の情報は含まれていなかったそうです。
これを街に例えれば、日常的に自分のお財布がどこにあるか丸見えになってて、スリがいつでも盗める街に住んでいる状態ですね。そのスリもニセの名前なので全く捕まらない。そんな状況でもなお我々は街に繰り出している。
つまりこうしたアカウントの漏洩や乗っ取りは、もはや避けられないと思ったほうが良いです。それにもかかわらず、我々は相変わらずインターネットを使わねば生活ができない・・・。なので誰でもできる、インターネットを賢く使う「秘伝」を紹介したいと思います。
■インターネットで乗っ取られないようにするための秘伝
<第1の秘伝>パスワードを1ヶ月に1回は変える。
これをやるだけで、たとえ流出したとしても、そのパスワードは過去のものになるので乗っ取られることは激減します。
さきほどの「Have I Been Pwned」で漏洩が発覚したときの対処が書いてあるんですが、まずはパスワードを変更して「強力なものにする」とあります。強力なパスワードとは「8桁以上で16桁以上だとさらに望ましい」「英数字混合で大文字小文字も組み合わせる」自分で作れない場合は、強力なパスワードを作ってくれるウエブサービスもあります。
さらに2段階認証(2 factor authentication)を使うとさらに良いとあります。2段階認証はツイッターなどに備わっている機能で、登録したパスワードを入力すると、改めてサービス側からショートメールが送られてきて、そこに書いてあるコードを再び入力することで、本当にサービスを使っている人間がいることを確かめるものです。これ専用のウエブサービスもあります。
ちなみにいくら複雑なパスワードを登録していても、インターネット上にある以上必ず盗まれるということなので、最近のスマートフォンなどで採用されている指紋認証や顔認証などにこれからどんどん変わっていく可能性があります。指紋認証や顔認証のデータはあくまで自分のスマホの中にあるので盗まれにくいからです。(同様にwin10のpin認証もおすすめ)続いて
<第2の秘伝>見覚えのないフォローやツイートは削除しよう。
フェイスブックやツイッターをやっていると、友達でもないのに「いいね」とか関係ない書き込みをしてくる人がたまにいます。こうした連携から乗っ取り犯はあなたを狙っています。
こういう投稿はこまめに削除しましょう。また知らずしらずのあいだに、Lineやツイッター・フェイスブックが何らかのアプリと連携していることってありませんか? それは設定の中のアプリ連携というところを見るとわかるのですが、たまにそこをみてみると、全然知らないアプリとあなたのツイッターが連携していることがあります。そのときはすかさずそのアプリ連携を解除してください。
また友達にそういう書き込みやわけのわからないアプリ連携をしている人がいたら、注意してあげましょう。自分もそのとばっちりを受けることがあるので注意する必要があります。
例えば、LINEはひとつのアカウントにつき1台のスマートフォンしか利用できません。そのため、乗っ取られたときは起動しようとすると「利用することができません」と表示されて、ログインできなくなるのですぐにわかります。
かたやインスタグラムでは、メガネブランド・レイバンのサングラスの宣伝画像が勝手に投稿されて、自分のインスタグラムがレイバンの広告だらけ、というユーザーが急増しているそうです。もし周りに「レイバン」の広告ばかり表示されている友達や知り合いがいたら教えてあげましょう。
■パソコンやスマートフォンを快適に使うための秘伝
続いて、乗っ取り対策の常識としての秘伝をご紹介したいと思います。それは
<第3の秘伝>アップデートはこまめに行おう! です。
これまでは冷蔵庫でもテレビでも洗濯機でも、新しいバージョンができたら、まるごと買い換えるしかなかったわけですが、パソコンがお茶の間に入り、インターネットが普及したことで、機械はそのままでも、それを動かすシステムだけ変えれば、最新のものになるという時代になったわけです。
でもみなさん意外とアップデートしないんじゃないでしょうか。そもそもそのような習慣がなかったので、買ったときのまま使いたいとか、買ったときのままで何が悪いんだ、だったら売るなよ!みたいに思われている方もいらっしゃるかもしれません。でもいまは本体を買い直さなくても良くなったと考えれば、それも無料でアップデートしてくれると考えれば、やらない手はないと思いませんか?
特にパソコンの場合、windows10になって、アップデートは頻繁に行われるようになっています。以前のwindows7やwindows8のときは、アップデートするかどうかを選択することができたんです。しかしwindows10になってこうした選択画面が出てきません。そのうえ、アップデートが間に合わない場合は、システムに関係あるワードなどのオフィスアプリケーションやプリンター、インターネットブラウザなどがシステムストップするほど重要なものになっています。
windows10になって、パソコンの動きが重たい、良くシステムストップして青い画面になってしまう、という声を聞きます。それはwindowsアップデートが上手く行われていないことが原因の場合が非常に多いです。
特にパソコンをたまにしか使わない方。また、毎日使うけど、1日1時間〜2時間くらい使ったらシャットダウンする方。さらにはシャットダウンはしないけど、インターネットの無線ルーター(モバイルルーター)の電源を落としてしまう方。windowsアップデートは、みなさんがパソコンを使っている裏側でもくもくと行われていることが多いので、完全にアップデートが終わるまではパソコンの電源を落とさない、ルーターなどの電源も落とさないことが、パソコンを最新に保つために重要です。
windows7は、2020年にサポートが終了します。つまりwindow7の方は、あと2年でこうしたアップデートなどのサポートも終わってしまうというわけです。つまり乗っ取られる可能性が増すというわけです。以前にもwindowsXPのサポートが終了したときにお話しましたが、インターネットにつながないのであれば、2020年以降もwindows7をお使いになれると思いますが、ネットにつなぐのであれば、windows7はあと2年で使うのをやめるか、早めに10にバージョンアップすることをオススメします。
■パソコンを賢く購入するための秘伝
今年5月に総務省が発表した2017年の通信利用動向調査によると、個人がインターネットを利用する機器はスマートフォンが54.2%と、初めてパソコン(48.7%)を上回ったそうです。世帯の機器保有割合も、スマホは75.1%と、パソコン(72.5%)や固定電話(70.6%)を初めて逆転しています。
今後インターネットに接続する機械(デバイス)は、パソコンからスマートフォンなどの携帯機器にどんどん移行していくと考えられますが、そんな中、意外にも売上好調なのが「ゲーム向けノートPC」なんだそうです。つまりオンラインゲームをする方のための、グラフィックプロセッサが強化された専用PCは売上倍増だそうです。
つまりパソコンの購入傾向は「汎用(はんよう)的な何でもできるマシン」から「目的指向」がより強くなっていくというわけです。みなさんもさすがに、ワードやエクセルなどで資料を作ったりする際にはパソコンを使いませんか? また写真の編集やグラフィックのデザインなどを手がける方も、最近はタブレットでもかなり便利にできるようにはなってきましたが、こうした専門的な作業はやはりまだまだパソコンが使いやすいですよね。
でもパソコンはこうした生活手段の一部でしか使わなくなってきたので、ここに多くの出費はしたくない、スマートフォンはライフラインでもあるので出費は惜しまないけど、パソコンに同じくらいの出費はしたくないとか思いませんか。そんなみなさんのための・・・
<第4の秘伝>パソコンは中古市場が熱い!!(中古を狙え!!)
もはやパソコンの進化はほとんど止まっています。いま進化し続けているのは圧倒的にスマートフォンのCPUであって、パソコンのCPUは、さきほどのゲーミングPCやAIディープラーニング専用マシンとか以外は、進化していません。つまり、1〜2年前のパソコンでも十分使えるというわけなんです。
中古パソコンなら、元の値段が20万円近くしていたものでも、3万円〜5万円で購入することが可能です。20万円近くしていたスペックのパソコンをこの価格で使えるんです。これはチャレンジしても良いと思いませんか?
数年前のものですから、いちばん消耗しやすいのが、キーボードのキータッチ、そして、パソコン内の鉄の部分が何らかのことで錆びていないかどうかは確認する必要があります。
最近はハードディスクなどは新しい速度の早い「SSD」というものに載せ変わっていたり、システムも、元はwindows7でも10にアップデートしていたりしますので、そういったバージョンアップがどのようにされたのかも確認してください。
■パソコンと仲良く付き合っていく・・・
いまやパソコンの世代交代は2〜3年。そのくらい動けば良いと考えられる方なら、中古パソコンは大いに我々の味方をしてくれます。
ちなみに最近では、中古パソコンに保証書がついているものまで現れました。これなら安心! 中古パソコンなのにちゃんとメンテナンスしてあるので、もし動作がおかしくなったら新しいのと替えてくれる・・・。
そしてもっとすごいのが現れました!! IT機器のリユースを手がける「リングロー」という会社が始めた「R∞PC(アールピーシー)」というサービスです。
「R∞PC(アールピーシー)」は、デスクトップやノート型の中古パソコンを修理・クリーニング・検査工程を終えたものに、なんと「永久保証書」をつけて販売しています。中古パソコンでも初心者が安心して使えるようにと、これまでも1年間の製品保証なども、ほかに先駆けてやってきたそうなんですが、この4月からついに「永久保証」に踏み切ったということです。(何かあれはそのPCを使っているあいだは永久的に修理してくれる)
「リングロー」は、購入のハードルを下げることで、全年代がパソコンに触れる機会を増やし、日本全体の一般的なパソコン操作レベルの底上げに貢献したいと話しているそうです。
ということで「インターネットやパソコンをもっと賢く使うために」ということでお話してきましたが、我々の生活環境は、もはやパソコンやスマホなどとインターネットによるコミュニケーションなしには語ることはできません。そんな生活を快適にすごすためには、我々も賢くなっていかねばなりません。