■AIによる顔認証がどんどん進化・・・
最近では監視カメラなどの顔認証の精度がAI(人工知能)のおかげでどんどん上がってきているのをご存知でしょうか?
中国山東省青島市(さんとうしょう/せいとうし)で昨年開催された、毎年10万人以上の観光客が訪れる国際ビール祭りでは、地元の警察が64万平方メートル(東京ドーム約14個分)ととても広い会場の出入口を4ヶ所に限定させ、そこに18台の顔認証カメラを設置し、公安部保有のデータベースを元に「逃亡犯」や「前科のある者」を次々照合し、アラームが鳴るごとに職務質問した結果、なんとイベント開催中のたった3日間で、逃亡犯や麻薬を持ち込んでいた現行犯やスリなど49名を逮捕することができたと話題になっています。
そんな中日本では、株式会社リクルートテクノロジーズが、株式会社ほぼ日、株式会社シロップ、日本アイ・ビー・エム株式会社の3社と協働して、“鼻紋写真”による犬の個体識別に関する実証実験を4月10日より開始すると発表しました。ワンちゃんの顔認証を鼻の模様(鼻紋)でしようという試みです。
■ワンちゃんの鼻をAIが認証・・・
プレスリリースによれば、今回の認証対象となる「鼻紋」は、人の指紋と同様に経年変化がなく、遺伝的に同じとされる一卵性双生児であっても異なる模様をしているそうで、個体識別に最適なものなんだそうです。しかし現時点で日本において「鼻紋」による個体識別を日常的に行っているのは畜産業界(和牛)のみで、それもインクと和紙を用いて鼻の模様を押しあてるという非常にアナログ的な方法で識別を行っているそうです。
また、犬などの確実な個体識別方法としては「マイクロチップ」の埋め込みが推奨されているようなのですが、「痛そうでかわいそう」「費用が高い」といった心理的・金銭的ハードルが飼い主さんにあるようで、平成29年度犬の飼育頭数892万頭(一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」より)に対して、犬のマイクロチップ登録数は1,353,972件(2018年3月13日時点、日本獣医師会「動物ID情報データベースシステム登録数」より)とその普及率は未だ約15%程度に留まっています。
■気軽に簡単な鼻紋認証・・・
そこでリクルートテクノロジーズは、「気軽」かつ「簡単」で「すでに一般的に普及しているもの」を活用した新たな識別方法を開発。ここでは2つの特徴が活かされました。
①スマホ撮影画像でもOKの高精度な自動照合(マッチング)を実現!
まず、撮影された鼻紋画像がどの犬に近いものかをDeep Neural Networkで判別。その上位数件に対して、データベース化されている照合元画像と撮影した照合先画像の「特徴点」を算出し、その特徴点のマッチ数により自動で同一か否かを識別させました。
プレスリリースより
②スマートフォンでの自動鼻紋検知・撮影を可能に
そして、鼻の位置特定のため、犬の顔に6点のポインターを付与した下図画像等を学習させた「顔のパーツ位置検出モデル」を利用。自動的に鼻へフォーカスし撮影、鼻のポインターを中心に画像を正方形で自動トリミング。また、撮影時に犬の顔全体が画面上にある状態を担保するため、額のポインターが画面の上部にあることをフォーカス条件として設定。手ブレが発生した場合は、機械学習を活用しその画像を採用しない仕組みにするなど細部に至るまで調整をし実験に臨むということです。
プレスリリースより
■スマホで迷子犬を発見・・・
リクルートテクノロジーズなどの研究チームは、この技術の活用先の一つとして、「迷子犬の捜索を容易にするアプリ」の制作等を想定しているそうで、現在、近しい特徴点を持つ兄弟犬やより多くの犬種への対応など“実用に耐えうる識別精度”を実現するため、ほぼ日が運営する「犬猫写真投稿SNS『ドコノコ』」やシロップ社の「ペットテックスタートアップ」など3社と協働しながら実証実験を進めていくそうです。
今後はスマートフォンで手軽に迷子犬の発見ができるようになるなど、こんなところでもAI(人工知能)の活用が世の中を変化させていっています。
(出典)