■AIがスタンフォード大学の読解力テストに挑戦・・・
ネットショッピングモール「淘宝(タオバオ)」の運営などで知られる中国のアリババ・グループ・ホールディング(Alibaba Group Holding Ltd.)は、米マイクロソフト(Microsoft)と共同開発したAI(人工知能)が、スタンフォード大学の読解力テストで人間よりも優れた成績を残したと発表しました。
そのAIは、アリババの研究機関「Institute of Data Science and Technologies」と米マイクロソフトで開発したもので、米スタンフォード大学のデータセット「Stanford Question Answering Dataset(SQuAD)」を使った読解力テストに挑戦したそうなんです。
■自動車を人間の足代わりに開発していたら・・・
「SQuAD」は、ウィキペディアの記事500件以上を基にした一連の質問で構成されていて、それらの記事の中から答えを見つけられるようになっているんだそうです。アリババが開発したAI(人工知能)によるディープニューラルネットワークのモデルは、このスタンフォード大学のデータセットテスト(SQuAD)でクイズを含む100,000以上の質問に正確な答えを出すようにという課題で、スコア82.440を獲得、これは人間が達成した82.304を上回ったということです。
アリババのジャック・マー会長は、この3年で150億ドル(約1兆6900億円)の研究開発費を投入して、人工知能(AI)やインターネット・オブ・シングス(IoT)、量子コンピューティングの研究などに注力し、世界各地に研究所を7カ所設立すると発表していて、特に人工知能については独自の思想を持っているようです。
また、昨年の6月に中国・天津(てんしん)で行われた「世界AI大会」では、「人は知恵を持ち、マシーン(人工知能)は知能を持ち、動物は本能を持つものだ」と話しています。自動車をもし人間の足の代わりにしようと開発していたら2本足で歩く乗り物が出来ていた、それでは永遠に遅いままだった。マシーン(機械)には人間と違う独自の機能を持たせるから発展する、つまり人工知能を人間の脳に見立てて人の代わりをさせるのではなく、人と全く違う思考回路を考えることで、世界が発展するということなのだと思います。
人工知能においては、今はまだ人間の脳を模した回路で動いているものが多いわけですが、蒸気機関や自動車が発明されたときのように、全く違った発想の人工知能が現れるのかもしれません。
■AI翻訳が人間の能力を越える・・・
時を同じくして、日本でも賢いAI(人工知能)が民間で提供を始めるという話題。NTTコミュニケーションズが、TOEIC900点レベルの「AI翻訳プラットフォームソリューション」の提供を3月1日から始めると発表しました。
「AI翻訳プラットフォームソリューション」は、NTTコミュニケーションズの最新のAI翻訳技術と、みらい翻訳が国立研究開発法人情報通信研究機構と共同開発した翻訳エンジン「COTOHA Translator(コトハトランスレーター)」を組合せることで、簡単な操作で、ビジネス文書などを超高精度で翻訳できるようにしたもの。
事前に実施した精度評価実験でも、5段階評価で平均4.0を達成し、汎用的なインターネット翻訳(平均3.7)を約14%上回る結果が出たほか、人間による翻訳との比較でも、TOEIC900点レベルの被験者と同等の平均点を取ったそうです。ちなみに人間はそれだけの点数を獲得するまでに平均7時間を要したのに対して、AI翻訳プラットフォームは約2分以内で翻訳したそうです。
■AIが人間を越えるには・・・
現在は、日本語から英語および、英語から日本語への翻訳に対応するが、今後は中国語など他言語への対応を予定しているとのことです。
Google翻訳も人工知能を活用して、かなり精度があがりましたが、それを上回る精度で翻訳できそうなこの「AI翻訳プラットフォームソリューション」に今後も注目していきたいとおもいます。
(出典)