お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

スマートスピーカーは音声メディアの未来の音がする!?(前編):第56回トンコネ・ジャム

2017/08/07 14:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
ブログ管理

最近のエントリー



前回もお伝えしたとおり、ニッポン放送、Cerevo、グッドスマイルカンパニーの3社は7月20日、クラウドファンディングを通じて開発したワイドFM対応ラジオ「Hint BLE Radio」を9月初旬に発売すると発表しました。以前からもこのblogでも何度か紹介してきた「ラジオ局が手掛ける"かっこいいラジオ"」がいよいよユーザーのお手元に届きはじめています。

「Hint BLE Radio」は360度無指向性スピーカーをそのまま円筒形にした形状で、ワイドFMの受信のほか、Bluetoothに対応しているので、スマートフォンとのさまざまなやりとりが出来る仕様になっています。そこがこれまでのラジオチューナーとは一線を画しているところ。

それはあたかも今や全米の生活環境を変えようとしている「スマートスピーカー」とほぼおなじ形状であり、やりたいことは同じようなことのように思えます。

ということで、前回「スマートスピーカー」についての現状をまとめましたので、今回はいつものメンバーによる座談会形式で「スマートスピーカー」について議論してみました。

座談会メンバーは、ラジオアナウンサーでIT使いのスペシャリストの吉田尚記さん、吉田さんも共同参画する株式会社トーンコネクト社長CEOの加畑健志さん、吉田ルームの大番頭益子さん、さらにスーパー大学生のTehuさんんと矢倉大夢さんでお送りします。


左から加畑さん、矢倉さん、吉田さん、益子さん

■いよいよ音声インターネットの時代に入ったんです・・・

>スマートスピーカーがアメリカで大ヒット中ということで、日本でもいよいよ注目され始めていますが、吉田さんも大注目されているとのことで、今日はそのスマートスピーカーの魅力について座談会してみたいと思います。

吉田:スマートスピーカーの魅力は、簡単に言えば、これまでコンピューティングはモニター画面経由でしかできなかったのが、音声だけで出来るようになったというところじゃないでしょうか。画面を見て命令を出す(コマンドを打ち込む)といった動作はいいとこここ30年くらいの出来事です。でも本音はみんな画面見ながらなんて面倒くさいんですよ。

加畑:スマートスピーカーとかAIスピーカーとかいろいろ言い方があるんですが、みんなはAIスピーカーと言いたいんじゃないのかな。

吉田:スピーカーでいいんですかね?

加畑:確かに・・・。

益子:スピーカーとして売りたんですかね?

>記事などを見ると、AmazonもGoogleもAppleもiTunesなどの音楽ライブラリを部屋で再生するためのものという位置づけですよね。それをやりながらほかのこともできる(音声入力が出来る)といった説明です。

益子:その説明だと市場を小さくしている気がしますよね。単に頭のいいスピーカーとだけ言われると、未来のもののはずなのに、用途が限られる感じがしてくる・・・。そう言えば、ヘッドフォンがどんどん進化する中、スピーカー需要も高まっているらしいです。

加畑:仕事柄、スマートスピーカーをいろいろ操作したことがあるんですが、結局お出かけの前に「東京の天気は?」とか聞くと答えてくれるのが一番便利だった・・・。

益子:僕は、Siriはカップラーメン作るときのタイマー代わりによく使ってます。「3分タイマー」って声かけるだけでタイマーが始まってくれるから笑・・・。

>ちなみに、スマートスピーカーは、手持ちのスマホとブルートゥースなどでリンクさせると思うんですが、音楽かけたいときは、そのスマホに入ってる音楽を再生させるんですよね?

加畑:スマートフォンで音楽聴き放題の契約をしておけば、スピーカーが直接再生してくれるようになります。

吉田:いよいよ音声インターネットの時代に入ったんですね。今のスマートスピーカーを評価する上で「コール&レスポンス」に目を向けてしまっているところが違うのではないかと思うんです。

そもそもコンピュータは「コール&レスポンス」以外のところに入り込むことで効果を出している。それってラジオもそうだと思うんです。ラジオはゆるい感じで、コンピュータでも精度の低いシステム程度なら今でも提供できているんです。

例えば「雨が降ってきましたね」って自分とは違う場所の人が教えてくれる。インターネットの本質はテレビレジスタンスだとするならば、常に1xNの形で提供し続けていると思うんです。いまではNxNで提供できるベースが整ってしまったのであまり使いみちがないけれど、これからアメリカのような勢いで普及していくならそこに乗っかっていける可能性が十分にあると思います。

実際、Amazonエコーに搭載されているAlexa(人工知能モジュール)の普及によって、全米ではラジオの広告費が伸びているそうです。ラジオとコンピュータの間にある「何か」が正解(スマートスピーカーの正体)なんです。

いまではラジオが正解だったことを忘れている、テレビとインターネットのせいで・・・。つまりこういう状況のときにラジオの正体って一体何なんだってことを考え直さないといけないんです。

■音声インターネットに相応しいコンテンツの形って・・・

ラジオの再活用ってことですか?

吉田:現状のラジオがなぜいまのようになっているかを考えてみたいんです。例えばリクエスト番組なんて今や当たり前なんですが、そもそもリクエスト番組って一体何なんだ?ってことなんです。僕が想像するに、リクエスト番組を初めて考え出したときは、こいつは頭おかしいんじゃないかと思われたのではないかと思うくらいなんです。

ラジオメディアが始まってまずは「番組」の制作、番組が発明品だった。最初はみんなが聞いて楽しいものを作ろうなんて意図は全く無かった。単に劇場の舞台で行われていることをそのまま持ってきただけだけだったのではないかと思います。舞台では出演者を揃えて、台本作って、こういう段取りで進めて持ち時間を埋めることが目的だった。例えば朗読劇などが始まりだったのではないかと想像します。

そのうちに、舞台では目の前の客の様子はわかるが、ラジオだと聴取者とコミュニケーションが取れないことに気づくわけです。舞台ではアンケートを取っていた。ではその代わりにラジオでハガキをもらおう。そんなことをしているうちに、リクエスト番組が出来ることになる。

リクエストで番組を作るってどんなこと?内容が決まらないまま始められるのかと思ったが、やってみたら面白かった。

そんな状況が、いまの音声インターネットの時代に突入し、スマートスピーカーでインフラの整備が整ったところで、再びリクエスト番組に匹敵するような何かを発明をしなければ行けないときに来ているんです。

それのヒントになりそうなことがあります。ラジオから自分が持っている楽曲が流れてくると100%聞いてしまうんです。自分が買ったりダウンロードした曲を社会で認めた瞬間に耳が向いてしまう。

東大の稲見昌彦教授と話したとき五感の話題になったんですが、例えば「寂しい」という感覚も五感の一つじゃないかと思ったんです。「寂しい」は普通に考えると「感情」の一つなんだけれど、むしろ「感覚」に近いと思うんです。寂しいときは誰ともつながっていない感覚。これは群れ生物が持っている感覚ではないか。

ラジオで音楽がかかったとき「嬉しい」って言うんですよみんな。さらに良く問い合わせで聞かれることは「これは生放送ですか?」なんです。「生放送ですか?」と聞かれて「そうです」と答えると「やった!」と喜ばれる。どうも人間は誰かと一緒にいること、ゆるくつながっている感覚を「良し」と思っているらしい。ラジオリスナーの本音は寂しいの(つながりがないこと)は嫌だけど、煩わしいのも嫌である。

リクエスト曲がかかったときに何が嬉しいかと言えば、この曲を聞いているのは俺だけではないと思えること。番組の製作者も受け入れているし、ラジオを聞いている人の多くも受け入れてくれている。

これを今の現状に置き換えると、スマートスピーカーに「サカナクションが聞きたい」と言って楽曲がかかったとしても、全く嬉しくないんです。それは蛇口ひねって水が出るだけじゃ感動がないのと同じ。

もっと人とのつながりを意識させる方向にスマートスピーカーが行かなければならないと思っているんです。

益子:スマートスピーカーを登録している人同士で、誰々さんのおすすめはどうですかと聞けるとか・・・。

吉田:例えがちょっとダサいですが、そういうことです笑。音楽に絞ってスマートスピーカーを見てみるとわかりやすいと思ったのは、音楽って流れにそぐわないものがかならずあることなんです。DJなんて商売が成り立つのもそういう理由。気の利いたDJがもてはやされる。

そんなときに一番満足度高く曲を聞かせる方法は何なんだろうと考えたとき、その曲は誰々さんが今リクエストしてきた曲なんですよと言われることだと思ったんです。

加畑:誰かと一緒、誰かとつながっている、ということが伝わってくることですね。同じようなことをスマートスピーカーでやろうとするなら、「聞いている誰々さんからのリクエスト・・・」みたいなコメントが入ってくればいいのでは? ラジオならパーソナリティ1に対してリスナー500とか1000以上のオーダーですが、スマートスピーカーでもそれくらいの同時リスナーが確保できるかどうかですね。

矢倉:たくさん聞いているというのが必ずしも満足感につながるわけではないと思いますが・・・。

益子:シチュエーションに依るんじゃないですかね。自分が聞きたい曲がちゃんと流れるかどうか、僕の気分を察知してくれるかどうかのほうがラジオの真髄じゃないかな。

■音声ガイド専門のDJの登場か!?

>DJやパーソナリティが聞きたい曲を提案し、それにリスナーが乗るというシチュエーションですね・・・

加畑:聞きたい曲をかけてくれるのが良いDJなのか、知らない曲だけど新しい発見をさせてくれるのが良いDJなのかありますけど。ちなみに昔は、ツイッターとかなかったから、自分のおすすめの曲をかけて、その瞬間にリスナーがいい感じだと思ってるかどうかはわかりませんでした。そんな状態で昔のDJはどうやってリスナーを満足させる選曲が出来たんだろうかと思ったんです。昔の良いDJは何を以って良いという評価だったんだろう?

益子:DJが本心からかけたい曲をちゃんとかけていたからじゃないですかね。今は編成上かけなければいけない楽曲が多いから思うようにならない笑・・・。

吉田:人が気になっているものが気になるんですよ・・・。それは群れで暮らしていて危険に怯えていた人間のおそらく本能ではないかと・・・。

益子:寂しいという五感がそうさせる笑・・・。

吉田:「寂しい」はアラート(注意喚起)。今この瞬間に死ぬわけではないけれども、あなたはこのままの状態でいると危険に襲われますよというネガティブ感情です。

対して、横にいる人の情報が気になるというのは、情報伝達の基本だと思うんです。例えばいま、横の人が見ているスマホの画面、気になるじゃないですか。どうでもいい横のおっちゃんの画面でも気になるのは、近くで山火事が起きてそれに応じて動かなければならないというのに似ていると思うんです。

つまり隣の人が気になるようにさせなければならない。俺が今気になっている曲だから聞け!っていうことを伝えなければならない・・・。それが伝われば、自ずとその人も聞きたい曲に変わっていくんです。

益子:聞きたい曲なんてそもそも普通の人にはないんですよ・・・。

加畑:だからその気にさせるDJが良いDJなんです。

矢倉:選曲ってハズレが多くて大当たりも少ない。でも最初にハズレにならずにうまく曲で乗せていって大当たりの気分にさせられる人が上手いDJと言われるんでしょうね。

吉田:矢倉くんはDJになれる!!

>ということで「スマートスピーカー」にはラジオのリクエスト番組のような、リスナーとリスナーのゆるいつながりを演出できるものがあったらさらに良いということがわかりました。今回はここまで。次回に続けます。


(参考リンク)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー