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ラジオは「謎」を作り続け、リスナーはそれを追いかけ続ける!?:第55回トンコネ・ジャム

2017/07/14 11:00
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プロフィール

土屋夏彦

radikoが有料で全国が聴けるようになり、いよいよ聴き逃しサービス「タイムフリー」も始まるかと思いきや、2016年になってしまいましたが、AMが在京3局も含め順次ワイドFM化を始め、TOKYOFMグループのi-dioもいよいよこの3月から始まるようで、今年の地殻変動はかなり大きいかも!
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今回は、ふたたびラジオメディアについて座談会。以前、ネットメディアが出現したことで、様々な情報の「まとめ」がとても簡単にできるようになった。引用が簡単にできるため、大量のニュースまとめサイトが出現した。でもそれは果たしてジャーナリズムと言えるのだろうか? やはりメディアにとって重要なのは一次情報が流せるかどうかであって、コピペやまとめはメディアとはいい難い。

ただ、ユーザーにとっては別問題。まとめサイトは大いに活用できる。まとめサイトはある意味「情報の圧縮」が行われたサイトである。圧縮された情報はわかりやすいし短時間で理解できる。現代人はそれに慣れっこになっているから、元の長たらしい情報に興味なくなってきている。

それでも専門的な話題についてはやはり元の「ローデータ(生情報)」が魅力的である。なぜならそこには好奇心を刺激する「謎」が溢れているから・・・。果たしてラジオはネットに流れ出たユーザーを取り戻し、ふたたび魅力的なメディアになれるのか?  そんな話題での座談会です。

メンバーはラジオアナウンサーでIT使いのスペシャリストの吉田尚記さんと「吉田ルーム」の大番頭さん・益子和隆さん、吉田さんも共同参画する株式会社トーンコネクト社長CEOの加畑健志さん、さらにスーパー大学生のTehuさんと矢倉大夢さんのフルフルメンバーでお送りします。


左から益子さん、加畑さん、吉田さん、矢倉さん、Tehuさん

■知識を超越すると謎はなくなってしまう・・・

>これまで、ラジオはなぜyoutubeを始めとするネットメディアに負けている気がするのか、力を発揮するとしたらどういう「話題」を発信していくべきかを議論してきましたが、どうやら「謎」と「圧縮」というキーワードにたどりついた。「圧縮」されていない話題は「謎」が多く魅力的。でも「謎」を極力なくして誰にでもわかりやすくした話題は「圧縮」されたみたいなもので魅力が半減している。どれだけ圧縮していない話題を提供できるかが魅力的なメディアを形成出来るかに懸かっている。そんなところから議論を始めます。

吉田:誰にとってもわかりやすいか、宇宙の起源は誰にとっても謎。誰もが興味はあること。

加畑:「宇宙は大爆発(ビッグバン)から生まれたんだよ」って言われて納得するものもいれば、最初の爆発の前には何があったのかを疑問に思う人もいて、納得できるエリアがどこまで行っても8割みたいな構図になっているのでは?

吉田:割と相対的な関係ですよね。例えばこのドアの向こうに人がいると言われて「嘘だ!」と思えば謎が深まるみたいな笑・・・。

加畑:どこかでやってましたねそれ。子供が鏡に写っている自分を自分として認知できるのが3歳くらいで、ある日あるタイミングで突然これが自分だということに気づくんだそうです。なぜそう思うようになれるのかは謎、目も耳も聞けないヘレン・ケラーが「ウォーター」と言えるようになったのと同じ。でもある日突然自覚するんだそうです。それこそ謎ですね笑。

もしそれが子供にとって謎だとすれば、謎が解けて嬉しいと思うのか・・・。嬉しいがあるから謎を解こうというモチベーションが目覚めるのかもしれない・・・。

吉田:自分なりの謎があればいいんじゃないでしょうか。例えば僕は常々思っているんですが、人間はスキルをどんどん積み重ねていく動物だと思うんです。だったらお年寄りが一番幸せ(スキルが豊富だから)でなければいけないはずなんです。でも必ずしもそうはならないのは何故なんだろう・・・。

益子: 僕はエロで考えたとき、一番エロい瞬間は童貞を喪失する瞬間だと思ってて、それ以降はわかっていることの繰り返しになるから、女についての根本的な謎が解ける瞬間こそが一番楽しいのではないかと思います。

>お年寄りはある時以降は同じスキルの繰り返しになってしまうと、そこまで幸せの頂点に行けないということ?

益子:でも、オカルトは終わりがないから常に楽しいのかもしれない笑・・・

吉田:僕はある学校のクイズ研究会顧問をしているんですが、クイズ好きの特徴の一つが「オカルトが大好き」だということ、そしてみんな「過剰なノンポリ」なんです。この2つの特徴がとてもユニークです。

クイズを作成するために知識を集めていくと、右寄りの知識と左寄りの知識に差がない(差があるように感じるのは認知の歪みでしかない)ことがわかってくるんです・・・

>つまり知識を超越すると謎はなくなってしまう・・・

吉田:そこを究極まで突き進むのでクイズ研究会は神々の遊びに近いんです・・・。それに対して怪しいもの・・・例えば局アナは全然謎めいていない。謎めくべきなんですよ笑

>言葉で話すということはある程度わかりやすく説明しているということ。NHKでやってはいけないとされることは、ニュースの感想を言わないこと。ニュース(事実)に対する個人的な感想を言うと、情報が(感想言った人の形に)圧縮されてしまうからなのでは?

矢倉:逆に(謎が謎のままの)圧縮されていないものを圧縮された言葉で表現できる作家が、文豪と呼ばれるんじゃないですかね?

益子:テンプレートは圧縮の極地!!

■芥川賞は謎です・・・

>赤川次郎と夏目漱石の違いみたいな話ですね。

吉田:僕は今思ったのは、文学から一番遠いものは何なのかなと思ったとき「パワーポイント」じゃないかと思ったんです笑。究極にわかりやすくするテンプレートがある!!。パワーポイント版の「坊っちゃん」があったら全く文学を逸脱している笑!!でも読んでみたい!!「パワーポイントで文学を・・・」という企画はありかもしれません笑・・・。

益子:「主人公=>猫」・・・みたいな笑!!

加畑:話を戻すと、ラジオは「◎◎の謎」が一番活きるメディア。昔のラジオ番組はどれも「謎」が多かった気がします。だから伝えること、伝わることが重要だった。そこにテレビやインターネットが出現し「謎」はどんどん謎でなくなっていった・・・。

吉田:そのとおりで、昔から面白い番組は「謎のラジオ」なんですよ。「談志円鏡歌謡合戦」という名物番組があって、今聞いても2人の会話は何言ってるのかさっぱりわからない笑。でも聞き耳をたててしまう。謎のラジオなんです。これが今でもできればいいんですよ。

でも世の中的には「謎の◎◎」は求められていない(できるだけわかりやすく説明せよとなる)。でもうまく書くと(書くスキルがあれば)わからないことも分かる言葉で書けるんです。さきほどの文豪の書物がまさにそれ!!

>さきほど矢倉さんが言っていたように、文章で美意識を圧縮出来る天才が文豪だとすれば、ラジオパーソナリティは言葉(音声)で謎を圧縮したことばに置き換えられる天才ですよ。単に圧縮してわかりやすくするのではなく、謎を醸し出したままわかり易い言葉で表現できる・・・。

吉田:圧縮の仕方に芸があるということですよね。

>そいういうところの話術や言葉の圧縮の芸風にまだまだラジオは可能性がありますよね・・・。ユーチューバーは突っ走っているので圧縮に芸風を施せていない(単にパターン認識)・・・

吉田:そういう意味では「前野健太のラジオ100年後」はヤバイです笑!! radikoタイムフリーが始まって全国のラジオ番組がオンデマンドで聞けるようになったので、企画も始まって、いま猛烈にユニークなラジオ番組を聞いている中、この番組を見つけたんです笑。ラジオにはまだまだありますね。テレビには謎の番組は少なくなってきているんです。

前野健太のラジオ100年後
http://www.jorf.co.jp/?program=maeken

加畑:情報は売れた瞬間にヤバくなる。ヤフートップに載ったりするとその番組の謎感は失われていくんです。

吉田:それでいうと「メープル超合金」ってまだ見た感じ謎・・・。芸人さんでもすでにテレビのひな壇に座っている人たちは謎はなくなっている・・・。

加畑:謎の詳細をいかにキープできるかかもしれない・・・。僕にとってケンコバさんはけっこう謎なんですよ。あれだけテレビに出てても謎っぽいところがある。

吉田:僕は芥川賞は謎です笑。なんでピース又吉さんが芥川賞なんか取っちゃうのかも謎。でも面白いのは、これで有名になってもどうせファンは本なんか読みゃしないってところ笑。

■次に来るのは「謎のアイドル」!?

>どうやらメディアにとっての「謎」が見えてきましたね・・・。

加畑:この会議室のメンバーで言えば、Tehuくんと矢倉くんは「謎感」で対照的ですよね。矢倉くんの謎は聞いてみたいが、Tehuくんは同じ大学生でもわかりすぎている(ように見える)。

Tehu:大夢は謎キャラで成り立ってますから笑・・・。

吉田:そうでもないと思う。謎がキャラになったら謎ではなくなってしまうから。キャラという外見のさらに外側にあるものが謎、例えばキャラが一般人だったとき「謎の一般人」と言えばキャラからはみ出している部分が謎を意味するんです。

益子:僕らの世代だと10代のころ「ケイブンシャの本」は謎だらけでした。例えば「原色怪獣怪人大百科」なんかがあったりして・・・。

吉田:富野由悠季監督がおっしゃっていたんですが、人間は10歳くらいまでに夢中になったものしかモノにならないそうなんです。それって性的に成熟する以前に夢中になる必要があるってことなんです。子供の頃は謎の本が大好き。成長とともに謎は好きじゃなくなっていくとつまらない人間になっていく・・・。ずっと謎を追いかけている人が面白い(魅力的)。謎はいっぱいあるんだから、(勇気を持って)追っかけ始められるかなんです。つまり謎を追っかけさせられれば売れる(注目される)んです。

例えばももクロが売れたのは、なんであんなに一生懸命なのかがわからなかったから。謎の一生懸命だったからファンが付いてきた・・・。だから次に来るのは、やる気が無いのに人前に出ているアイドル!!それが「謎のアイドル」!!

韓流が何故受けたかといえば、ペ・ヨンジュンがゴミを捨てているところは想像できなかったから。俳優は謎だらけ。あっそれって「中島みゆき」ですね!!謎の権化!! 中島みゆきはいつまでたってもオワコンにならないんです!!

>結論が出ました。ラジオはリスナーが追いかけたくなる謎を、出来るかぎり出し続けることなんです。それはテレビには出来ないこと。ユーチューブやSNSもどんどん圧縮されていくから追いかける価値を見失ってしまう。残るはラジオが「謎」を出し続け、リスナーが追いかけ続けてくれるのが一番良い構図なのではないでしょうか。

以前私が制作していたラジオ番組に「ゲルゲットショッキングセンター」というのがありました。この「ゲルゲ」とは「怪しいもの」「謎なもの」という意味のキーワードで、そんな怪しいものや謎のものを次々紹介してリスナーにゲットしてもらう番組でした。いままさに「ゲルゲ」を復活させるべきなんです。


(参考リンク)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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